作品概要
ヤマザキコレ先生によるイギリスを舞台にした異類婚姻幻想譚で、2013年11月から「月刊コミックブレイド」で連載開始。略称は「まほよめ」。妖精や精霊、竜が存在する世界の魔法と魔術にまつわる壮大な物語です。
あらすじ
15歳の赤毛の少女、羽鳥チセをオークションで買い取ったのは、骸骨の顔をした魔法使いのエリアスでした。チセは夜の愛し仔(スレイ・ベガ)と呼ばれる特殊な体質で、強大な魔力を扱う素質がありますが、魔法の適切な扱い方を知りません。エリアスはチセを弟子として迎えながらも、同時に嫁にするつもりでいました。チセはエリアスに魔法について習いながら、普通の人間には見えない者たちと関わり合っていきます。
受賞歴
2014年9月 | コミックナタリー大賞2位 |
2014年12月 | コレ読んで漫画ランキング6位 |
2014年12月 | このマンガがすごい!2015オトコ編2位 |
2015年2月 | 全国書店員が選んだマンガランキング2015 1位 |
2015年2月 | 次にくるマンガ大賞2015「これから売れて欲しいマンガ」部門2位 |
2015年3月 | マンガ大賞2015 12位 |
2015年4月 | 累計130万部突破 |
2018年5月 | 第52回造本装幀コンクール 文学・文芸 (エッセイ)部門 『豪華版 小説 魔法使いの嫁 金糸篇』日本書籍出版協会理事長賞 |
2018年9月 | 累計600万部突破 |
2020年3月 | 累計650万部突破 |
アニメ情報
2017年10月からアニメが公開され、2018年冬に第2クールがスタート。映像化はWIT STUDIOが担当。
【同人ラジオイベント】先程、 「好きです!同人ラジオイベントFinal」が終了いたしました♩ ご来場頂いた皆様の本当にありがとうございました!イベントビジュアルと同じポーズで写真を撮りました(^ ^) 今後も『魔法使いの嫁』をよろしくお願いします!(宣伝ポン)#TVまほよめ pic.twitter.com/zoE58Ozg49— TVアニメ『魔法使いの嫁』 (@mahoyomeproject) June 10, 2018
羽鳥チセ役:種﨑敦美
エリアス・エインズワース役:竹内良太
ルツ役:内山昂輝
シルキー役:遠藤綾
シリーズ構成 / 監督:長沼範裕
舞台情報
2019年に舞台化、2020年に第2弾「老いた竜と猫の国」が公開。
脚本・演出:高羽彩
羽鳥チセ役:工藤遥
エリアス・エインズワース役:神農直隆
作品の魅力
古の妖精たちや唱えられる美しい呪文など、つくり込まれた世界観が美しい作品です。人よりもはるかに長い時間を生きる人外の魔法使いが、チセと出会って徐々に感情を学んでいく、心の触れ合いも魅力。人外の生き物や人でありながら身体が変化した者たちのビジュアルも素晴らしいです。
登場人物紹介
羽鳥チセ(智世)
自らをオークションに出品した夜の愛し仔と呼ばれる希少な体質の15歳。妖精たちの姿が見える体質は、母から受け継いだもの。母の智花はチセの首を絞めた後にチセの目の前で死に、父の夕輝はチセが幼い頃に小さな弟・史輝(ふみき)と出て行って親戚の間をたらい回しにされていました。魔法を使うのに適した赤毛で、日本ではすでに死亡したことになっています。
夜の愛し仔は、周囲の力を吸収しそれを魔力として体に蓄積するのにとても長けているため、使える魔力が巨大ですが、生きているだけで魔力の吸収と生産を繰り返すため、やがて身体が負荷に耐え切れなくなり、何も処置をしなければ3年程度で死ぬと考えられています。竜の呪いを左腕に受けて死にかけます。
カレッジには聴講生として入学した際、魔法使いなので魔術の実習は免除。その代わり、一般教科で優秀な成績を求められています。
別名:夜の愛し仔(スレイ・ベガ)、鳥の名を血に戴く子
💍エリアスからの贈り物リスト✨
まじないの石:川底で自然に穴の開いた石でチセを守ります。
指輪:魔力の生産を抑えるものでアンジェリカが制作。
テディベア:眠っている間に体内で作られた余計な魔力を吸い取ります。
ループタイ:チセ自身を大事にして欲しいという想いで渡されたエリアスの大事なもの。
エリアス・エインズワース
オークション会場でチセを弟子にしようと500万ポンドで買いますが、同時にチセを嫁として迎えるつもりでいます。本物の魔法使いでロンドンの西、イングランドの端の田舎に家があります。町の人のために薬をつくって売っています。二本の角が生えた骸骨頭で、外出時には顔を布で覆っていますが、人前に出る時にはサイモンに似た風貌の男性に化けます。子どもが嫌い。骸骨部分は大型犬、角はヤギ系で完全な骨というより皮膜を被っている感じ。にんげんを食べたことがあるかもしれません。チセが学院に入学する際に、学院の臨時教師となります。
別名:茨の魔法使い、影の棘(ソーン)あるいは影の茨、裂き喰らう城(ピルム・ムーリアリス)、肉の殻を持つ者(リャー・アナム)、茨の子
シルキー
住み着いた屋敷の炊事洗濯、掃除や火の番までしてくれる妖精。エリアスの家に住んでいます。憑いていた家族が絶えて泣き暮らしていたところを丘の防人(スプリガン)に助けられ、新しい家に導かれ、主人が留守の間でも家と明かりを守り続けます。
別名:銀の君、泣き女(バンシー)、絹女給(シルキー)
アンジェリカ・バーレイ
絶滅寸前の魔法使いのひとりで、魔法機構(マギウス・クラフト)の技師。娘の名前はアルシア。使い魔(ファミリア)は水妖ヴォジャノーイのヒューゴ。父もマギウス・クラフトの技師でしたが、魔術師でした。
別名:石切蜂(ジェムズ・ビー)
デイビッド・バーレイ
アンジェリカの夫。普通の人間。
サイモン・カラム
神父。エリアスの監視役で10年近く監視を続けてきました。母はイタリア人で離婚後に麻薬に溺れて服役。祖母はお菓子作りの名人。作ったお菓子を振る舞うことで、意図せず呪いをばらまいていました。
ガブリエッラ
修道女。
リンデル
竜の巣の管理者で魔法使い。竜の国を普通の人間から隠す役目を担っています。エリアスより年上で300年以上生きている遊牧の民。薬の手の持ち主で、死なない傷なら触れるだけでたちどころに治せます。
別名:百花の歌(エコーズ)
ネヴィン
ウーイルという種の竜で死ぬと樹や草になります。500年近く生き、最期の夢をチセと共に見ました。杖が必要になったら、自分から生える枝からつくるといい、とチセに言い残して眠りにつきます。ネヴィンという名前はリンデルがつけたもの。
ミハイル・レンフレッド
魔術師。アリスをかばったために左腕をカルタフィルスに奪われ、アリスを守るためにカルタフィルスに従っています。顔に大きな傷があるのは、アリスを庇った時にできたもの。アリスを娘として育て守っています。北方の血が半分混じっていますがお酒には弱いです。人外が嫌い。
アリス・スウェーン
レンフレッドの弟子で、ヤク中の親に仕入れをさせるために無理やり薬をやらされ、薬を売って暮らしていたところをレンフレッドに拾われました。今年で18歳。魔力量は多いですが、才能はそこまで特異ではありません。レンフレッドの護り手。
丘の防人(スプリガン)
妖精。
エアリアル
風の精霊。チセのことが気に入っています。
ティターニア
妖精女王(ゲアラハ)。常若の国(ティル・ナ・ノーグ)に棲む妖精たちの女王。
オベロン
妖精王(グリーアン)
ルツ / ユリシィ
黒妖犬(ブラックドッグ)あるいは教会(チャーチ)グリム(墓守犬)と呼ばれる黒い犬で、自分のことを人間だと思っています。妹が赤毛のイザベルで、彼女が目を覚ますのを待っていました。チセに使い魔になると申し出て、ルツの名をもらいます。ルツはヘブライ語で「哀れみ深い友」の意味。
カルタフィルス / ヨセフ
はるか昔、神の息子に死ねない呪いをかけられたと言われている男。苦しむなく生きることを目的とし、カルタフィルスと呼ばれることを嫌っています。ヨセフは死霊呪術師の家系の墓堀り人で、薬師もやっていました。治らないけど死にもしないカルタフィルスを助けるために彼と融合し、2000年間生きたまま朽ち続けています。死霊呪術は死者を慰める術のこと。何も食べず、排出もせず水だけを摂取しています。チセと目を取り換えたことがあり、そのためにチセは1000年分くらいのカルタフィルスの記憶をのぞき見ました。左目はチセが持ったまま。
別名:彷徨えるユダヤ人
リャナン・シー
男の血と引き換えに才能を与える吸血鬼。
別名:赤スグリ(カラント)
海妖馬(ナックラビー)
真水が苦手。
ラハブ
リンデルの師匠でリンデルとエリアスの名前をつけた人物。片眼鏡。エリアスが人間と折り合いをつけるために仕草を真似た人物。
灰ノ目
人狼になれる毛皮をチセに渡しました。ステラの弟イーサンをさらった張本人。
シャノン
人間の子供と取り替えられて人間の両親に育てられた妖精で、妖精の取替え子(チェンジリング)。妖精たちにも人や獣のように病や老いで弱る種があり、それを治療したり調べたりするのが役目。夫はシャナハン。
ステラ・バークレム
10歳の女の子。弟はイーサン。わがままな弟いらない、と声をかけたことが呪いになり、弟は連れ去られ、家族の記憶からもいなくなってしまいました。お菓子作りが得意。
イーサン
ステラの弟で8歳。
山羊飼いのマリエル
魔女。はるか昔に男に力を分けるために身を売っていた神殿娼婦の血筋。
ピュリス
カヴンの司祭。カヴンとは魔女たちのグループのこと。樹に身を移した呪いを封じようとして捕まり、根が生えていて動けません。
ライザ・クウィライン
英国学院の学長。
アドルフ・ストラウド
学院(カレッジ)の事務員で、学院に来たチセとエリアスを案内しました。リンデルにもらった髪飾りをしています。長髪で眼鏡をかけています。故郷はドイツのドレスデン。リンデルと会ったのは1940年の5月。
トーリー・イニス
学院(カレッジ)の人。長い黒髪と黒眼鏡。口元に傷があります。カルナマゴスの遺言という書を学院に内密にエリアスに貸し出しました。トリスタンという名前で呼ばれていたことがあります。
ナルシス・モーム
学院の先生。
アレクサンドラ・ヒース
救護室担当でチセのメディカルチェックを行いました。人体好きが高じて身体が変異した魔術師。全身が芋虫のようになっていて、変異レベルは5段階中3。
グレゴリー
学院の副学長。
シメオン・パラディール
音の魔術を研究しています。下半身が転変して四つ足動物に。
ルーシー・ウェブスター
学院でチセと同室になった学生。人と喋るのは得意ではなく、いつもギリギリまで寝ています。初等部の中頃からの編入生。ウェブスター家の生き残りで、セスの妹。
セス・ノエル
チセが出品されたオークションで働いているルーシーの兄。ウェブスター家の長男でしたが、魔力を操る才能がなく家を追い出されました。
ヴェロニカ・リッケンバッカー
チセと同じ学年の生徒。
フィロメラ・サージェント
ヴェロニカを様づけで呼ぶ学院の生徒。体調を崩し、チセから薬をもらいました。諜報が専門の家の出。リアンのまたいとこ。リッケンバッカー家が主家で、ヴェロニカの厚意によって学院に通っています。
アルキュオネ
フィロメラに仕える人造精霊。長い髪で目を覆う仮面のようなものをつけています。
ベアトリス・バーン
眼鏡の女子学生。
リアン・スクリムジョー
学生。チセに魔法を教えて欲しいと頼みました。
ジャスミン・セント=ジョージ、ヴァイオレット・セント=ジョージ
双子の男子。セント=ジョージの家の出。
アイザック・ファウラー
フードを被っている学生。
ゾーイ・アイビー
聴覚過敏のため、いつも防音用の耳当て(イヤーマフ)をつけています。蛇髪族(ゴルゴーン)。蛇髪族は目の合った相手を動けなくする邪眼を持ち、かつて肉や体液、邪眼欲しさに乱獲されたために保護されています。発声の音域が人類と違うため、蛇髪族は人間とは会話できないと言われています。黒海のほとりにある蛇髪族の隠れ里で育った母と魔術師で亜人言語研究者の父との間にできた卵から生まれました。小さい頃から身体が不安定で感覚もコントロールできないでいたために、イヤーマフとゴーグルが必需品。光に弱く、音や匂いに敏感。イヤーマフがないと髪が勝手に蛇に変わってしまう。また、邪眼の力はほとんどありません。
ファビオ・ザッケローニ
黒眼鏡をした褐色の肌の男性。廃棄塔に縫いとめられた魔術師。
世界観
妖精
妖精たちのことは「お隣さん」や「良い友達」と呼ぶのが、妖精たちには好まれます。妖精たちは鉄に弱い。冬至、夏至、秋分、春分になど季節の境に増えます。
魔法
魔法使いが使うもので、妖精や精霊、幽霊や悪魔の力を借りて起こす奇跡のこと。魔術よりも適性が必要。魔法使いは周囲から魔力を取り込み、魔術師は身体の中で魔力をつくります。
魔術
魔術師が扱う科学で魔法から生まれたもの。ハッカーやクラッカーなどと呼ばれることもあります。実験で身体が大きく変わることもあり、転変者(ムリアン)とも呼ばれます。魔術師を護衛するのが護り手。魔法使いの使い魔は妖精や精霊ですが、魔術師は生物を使ったり死体を使ったりします。
魔力
精気やマナとも呼ばれるエネルギーの一種。世界を廻るエネルギーで理へ触れるための通貨。魔術師の髪は魔力の倉庫でなかなか伸びません。
魔法機構(マギウス・クラフト)
電気の代わりに魔力を動力にする道具や絡繰(からくり)のこと。宝石の加工やナイフづくりなど仕事は多岐に渡ります。
魔女
呪いが専門分野で解くことも打ち返すこともできます。魔女は仲間を裏切りません。「魔女」と呼ばれていますが男性もいます。
猫
9つの命があると言われており、命を経るごとに賢くなり、国を理解し王を掲げます。猫の集う町はウルタール。猫たちは魔術師が嫌い。崇敬を受ける代わりに、自らの命を使って永久に澱みを縫いとめるのが、代々の猫の王の役目。
杖について
呪文と杖があると魔法使いは扉(ゲート)を開きやすくなります。髪には魔力が宿るため、杖をつくる時には髪を杖の芯にします。チセの杖は、ネヴィンの枝からつくられます。
学院(カレッジ)
魔術師の互助組織のようなもので、将来有望なものを適切に教育し、魔術という学問を後世に残す機関。主に管理棟、宿舎棟、教室棟、図書管理棟、鍛錬棟、廃棄棟、実験棟の7つの棟があります。施設全体が地中に柱として埋まっていて地下にありますが、魔術で空が見えるようになっています。初等部は4人部屋が基本で、中等部は2人部屋。寮母は猫で、家にしたい猫を自分で選びます。チセはローズ・リンを選びました。中等部は5年間。
7つの盾
学院を創立した7つの魔術の大家のことで名門。使役のロージングレイヴ、獣殺しのセント=ジョージ、医術のリッケンバッカー、占術のフォーサイス、錬金術のホーエンハイム、音楽のナイチンゲール、守護のスクリムジョー。家ごとに主張が違い、浮き沈みもあり、また仲がの良い家と悪い家があります。
カルナマゴスの遺言
魔導書。ロンドンのカレッジには写本があります。原本はアメリカのカレッジに。原本は第一種警戒指定されています。
教会
多宗教組織に変化しつつあるため、近年では協会と呼ばれています。協会の役割は大まかに監視・維持・排除。雄鶏と鳩は対象の監視を任され、その上に現状維持に動く鴉(カラス)と蟻、さらに危険を排除し人々を守る狼や飛蝗(バッタ)がいます。取りまとめるのが羊飼い。
書紡ぎ蜘蛛の悲劇(ウェブスター)
ウェブスター家は魔術書の作成や写本を生業にしていました。8年前にひとりを遺して、一族の全員が殺害。写本や製本のために必要な蜘蛛は、すべて何者かに奪われました。
作者情報
ヤマザキコレ先生の個人ブログはこちら。
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