「マンガ好き」を公言されているお笑い芸人・NON STYLE 井上裕介さん。
なんと現在はジャンプ、マガジン、サンデー、ヤングマガジン、ヤングジャンプ、スピリッツ、モーニング、イブニングを購読しながら、単行本もたくさん読まれているそうです。
さらに2020年7月には電子コミックサービス「LINEマンガ」において、4作品の編集担当としての活動を開始されました。
LINEマンガを利用し始めた井上さん。LINEマンガで連載中の『コッぺくん』(著 やじまけんじ)、『ムラサキ』(著 厳男子)、『りさこのルール』(著 つのだふむ)、2020年8月連載開始を予定している『宇宙検閲官』(著 貞松龍壱)の編集担当として作品づくりに伴走します。
LINEマンガ特命編集部の詳細はこちらの記事をご覧ください。
そんなマンガ通の井上さんにインタビューする機会をいただけたので、「強い影響を受けたマンガ3選」と「今ハマっているマンガ3選」をお聞きしてみました。
強い影響を受けた3作は『名探偵コナン』『SLAM DUNK』『ONE PIECE』
ーー井上さんは、ものすごいマンガ好きだと伺っています。今日は、「強い影響を受けたマンガ3選」と「今ハマっているマンガ3選」について語っていただきたいです。
じゃあ、強い影響を受けたマンガから。うわー、どれにしよう、難しいな。そうですね…一つ目は『名探偵コナン』(以下、『コナン』)にします。
ーーおお、『コナン』!
『コナン』は僕がマンガを好きになったきっかけですね。たしか中1くらいかな。友だちの家に置いてあったのを読んで、もう「なんだ、この推理マンガは」ってなって。もともと推理小説が結構好きで、小学校のときは読書感想文を書いたりもしていて。
ーー井上さんにそんな一面が。
当時は『金田一少年の事件簿』も連載していたんですけど、どちらも読むようになって。それから、いろんなマンガを読むようになったんですよね。
ーー『コナン』が入り口だったんですね。
いろんな要素が詰まった『コナン』から、マンガというエンタメの面白さを教わりました。ミステリの要素だけでなく、サッカー好きなコナンくんからスポーツの楽しさを学び、蘭と新一の関係から恋愛を学び…といった具合に。
ーーたくさんのことを教わった作品なんですね。次に、2つ目の作品について教えいていただけますか?
次は『SLAM DUNK』でいきます。この作品は外せない。
ーー『SLAM DUNK』、僕も大好きです。
僕は小学校のときから、バスケットボールが好きで。というか、バスケ部に入りたくて。そのきっかけが、小学校の体育の授業でやっていたポートボールなんです。
ーーポートボールって、たしかバスケに似た球技ですよね。
僕、ポートボールがめっちゃ上手かったんです。体育の授業で活躍して、女子に「すごいやーん!」とかチヤホヤされて。「中学では絶対にバスケ部に入ろう」と思っていたんですがバスケ部がなくて入れなかったんですよね。
ーーそれはショックですね。
でも、高校でやっとバスケ部に入れたんですよ。そのとき、『SLAM DUNK』がめちゃくちゃ流行っていて。
ーーおお。
初心者が高校からバスケを始めようとしているから、先輩から「お前どうせ『SLAM DUNK』読んで入ってきたクチやろ」「桜木花道に憧れて入ってるくるやつ、多いねん」みたいに言われて。でも、僕は『SLAM DUNK』を知らなくて、「なんだ、そのマンガは」と。
ーー『SLAM DUNK』がバスケにハマったきっかけではなく、逆だったんですね。
そうそう、バスケを始めてから『SLAM DUNK』を読んだ側なんです。読んでみて、「こんなに面白いバスケマンガがあるのか」と。それまでいろんなスポーツマンガを読んでいましたが、「バスケをこんなに面白く描けるのか」と感動させられた作品でした。
ーーめちゃくちゃ分かります。続いて、3作目についてお聞きしたいです。
あと1個ですよね、どうしようかなあ…。ベタですが『ONE PIECE』にします。王道でごめんなさい。
ーーやっぱり『ONE PIECE』は上位に食い込んできますよね(笑)。
『ONE PIECE』を読んで、こんなにサブキャラがかっこいいマンガは初めてだなって思ったんですよ。主人公以外のキャラが際立ったマンガって、より面白いんやなと教えてもらえた。
ーーそれぞれのキャラが本当にしっかり描かれていてすごいですよね。
それに、仲間に助けてもらうことの素晴らしさを教えてくれました。ルフィがアーロンと戦っている最中に「おれは助けてもらわねェと生きていけねェ自信がある!!!」と話すシーンがあるんですけど。
ルフィ:おれは助けてもらわねェと生きていけねェ自信がある!!! アーロン:シャハハハハハ…てめェのフガイなさを全面肯定とは歯切れのいい男だ!!!てめェみてェな無能な男を船長に持つ仲間達はさぞ迷惑してるんだろう なぜてめェ仲間は必死にてめェを助けたんだかなァ… そんなプライドもクソもねェてめェが一船の船長の器か!!?てめェに一体何ができる!!! ルフィ:お前に勝てる
ーーめちゃくちゃ良いシーンですよね。
そのシーンを読んで、「あっ、一人で何でもしなくていいんや。自分ができないことは、仲間に助けてもらえばいいんや」と思えたんです。それはお笑いも同じで。
ーーどういうことでしょう。
昔は一人で、全部のお笑いをやりたいと思っていたし、できると信じていたんですよね。でも頑張ってもできなかった。だったら相方や同じ事務所の先輩、後輩に頼ればいいと気づかせてもらったんです。
ーーすごく良い話。
自分ができることを頑張ればよくて、できない部分はチームの他の人が支えてくれる。チーム全体で大きな笑いを生み出せればそれでいいと教えてくれたのが、『ONE PIECE』なんです。
今ハマっている3作は『龍と苺』『SPY×FAMILY』『マイホームヒーロー』
ーーものすごく熱く語っていただいてありがとうございます!続いて、「今ハマっているマンガ3選」をお聞きしたいです。
どれにしようかな、いっぱいありますよ。どれにしようかなあ。ちょっと待ってください。
ーーゆっくり選んでいただいて大丈夫です!
ほんま、どれにしようかというだけなんですけど…。どれにしようかな。どれにしようかな…。ハマっているマンガ…。すみません、ちょっとiPadを取ってこようかな。あ、ありがとう。
(井上さんのマネージャーさんがiPadを持ってきてくださいました)
決めました!1つ目は、『龍と苺』にします。この作品は、『響〜小説家になる方法〜』(以下、『響』)を描かれていた柳本(光晴)先生の新作です。
ーーおお、そうなんですね!
『響』もずっと読んでいた作品で、芥川賞と直木賞を同時に獲ってしまうような主人公・響の圧倒的な才能が描かれます。これぞマンガというか、「こんなやつ、現実におらへんがな」というキャラが突っ走るような作風が好きで。
ーーでは、井上さんにとっては待望の次回作だったわけですね。
そうそう。『響』が完結して、「次はどんなん描きはるんやろう」と思っていたんですが、それがまたもや天才を描いた作品なんですよ。
ーーどんなストーリーなのか気になります。
将棋の未経験者の女子高生が、圧倒的な才能を見せていく話です。初めて将棋を打ち始めてすぐ、数十年もキャリアを積んだ人を負かしてしまうみたいな。それでまた『響』と同様、主人公はコミュニケーション能力に欠如があるようなキャラで。
ーー前作と似た設定で、テーマが小説から将棋に変わったような感じというか。
どっちかというと、逆にいきそうじゃないですか。「前は天才を描いたから、次は天才に立ち向かう弱者を描こう」とか。でも次も天才を描きはんねやって、そこに感服して。この人がやっぱり天才なんやなあと思いながら。
ーー似た設定で描くからこその難しさはありそうですよね。
同じ世界観で2作品って、あだち充さんみたいですよね。「前作と似ていると言われないように、ここからどうしはるんやろう」って、本当に楽しみで仕方ないです。
ーー次に、2作目をお願いします。
どうしようかな。最近読んだマンガで面白いの、いっぱいあるもんなあ。
(マネージャーさんから「そろそろ時間が…」という声が)
すみません、急ぎます。俺が悩んでいるからですよね。ちょっとごめんなさい、もう『SPY×FAMILY』にします。置きにいきます(笑)。
ーー『SPY×FAMILY』はめちゃくちゃ話題になっていますよね…!
『SPY×FAMILY』は恐らくこの先、間違いなくアニメ化するでしょうし、実写化されるときは小栗旬さん主演だと思っているマンガです(笑)。
ーー小栗旬さん主演、たしかにイメージが湧きます(笑)。
スパイの主人公が任務のために偽装家族を結成する話なんですが、嘘の関係のなかにも本当の家族のような温かさがあったりして、読んでいてすごくほっこりするんですよね。
ーーすごく分かります。
主人公の嘘の結婚相手、嘘の子ども、ペット。全員が違う能力を持っていて、能力者同士の掛け合いも面白い。まだ単行本が4巻までしか出ていないのも読みやすくていい。
ーー巻数が少ないと、すぐに追いつけていいですよね。
これは僕の予想ですが、あまり長く連載を続けないやろうなと思っています。何かそういう空気感がするんですよね。「もっと読みたかったのに!」というところでスパッと終わりそうな気がしていて。
ーーおお。
どういう結末になるのか今から楽しみです。あと、どのテレビ局がアニメ化の権利を取るのか気にしています(笑)。今、局同士ですごく取り合いでしょうから。フジテレビが取ってノイタミナでやりそうやなと思っているんですけど、それも楽しみです(笑)。
ーー最後に、3作目をお願いできますか。
あと1個は『マイホームヒーロー』にします。
『マイホームヒーロー』は、趣味で推理小説を書いているサラリーマンが主人公で、半グレと絡んでしまった娘を守るために、推理小説の知識を活かして罪を重ねていく話。1部は完結していて、今は2部が連載中なんですよ。
ーーおお、面白そうなストーリー。
1部がかなり面白かったので、ハードルは相当上がっていますね。あの最終回で十分良かったのに2部を始めたということは、多分、作者さんの頭の中でそれを越えるストーリーがすでに出来上がっているはずなので。
ーー作者さんが読まれたら、すごいプレッシャーを感じそうです(笑)。
最近のマンガでよくある、最初に結末を見せた状態でそこまでの過程を見せていく描き方で、1話の時点で最終回の1コマが描かれているんですよ。ここからどうやってそのラストにつなげていくのか、すごく楽しみです。
ーーちなみに、挙げていただいた3作品のおすすめ順はありますか?
それで言うと、今から読み始めやすい、出ている話数が少ない順ですかね。だから、まだ単行本が出ていない『龍と苺』が1番で、単行本が4巻まで出ている『SPY×FAMILY』が2番。『マイホームヒーロー』は10巻以上出ているので3番目ですが、本当にすごく面白いのでおすすめですよ。
ーーとても分かりやすくお話ししていただき、ありがとうございました。最後に「LINEマンガ特命編集部」の編集担当として、伝えたいメッセージがあれば教えてください。
LINEマンガは膨大な量の作品があって、1話から数話は無料で読めるんですよね。変な話、僕が特命編集担当として関わっている作品も含め、1話を読んでハマらなかったら読まなくていいと思います。その代わり、ハマれる作品が絶対にあるはずです。
ーーそんなにたくさんのマンガがあるんですね。
なので、自分に合った作品を見つける楽しみをぜひ味わっていただきたいです。自分が見つけて「面白い」と思った作品がこれからアニメ化されたりドラマ化されたりと、どういう展開をしていくのかを楽しみの一つとして読んでいただけるといいかなと。
あとがき
ものすごい熱量でマンガ愛を語ってくださった井上さん。
実はこのインタビュー、「LINEマンガ特命編集部」の第二回YouTube収録の後に無理を言ってお願いした経緯がありました。
お時間がないなかとても丁寧にご対応いただき、本当にありがとうございました。
井上さんがマンガ家さんたちと本気で討論している編集会議の様子も、ぜひ合わせてご覧ください。
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https://www.youtube.com/channel/UC_cbAMchHV4sTIrtGmhMhcQ
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※2010年7月~2020年6月のiOSとGoogle Playを合計。出典:App Annie