『スティーブズ』“特別編”がTwitterで公開!うめ先生にインタビュー

シナリオ担当の小沢高広さん、作画担当の妹尾朝子さんの夫婦タッグでマンガを描かれているうめ先生。『東京トイボックス』シリーズや『ニブンノイクジ』、『アイとアイザワ』、『南国トムソーヤ』などの作品を生み出され、現在は『東京トイボクシーズ』を連載中です。
うめ先生の代表作の一つとして、Apple創業の歴史を描いた『スティーブズ』があります。

『スティーブズ』では1970年代のシリコンバレーを舞台に、スティーブ・ジョブズとスティーブ・ウォズニアックの二人組によるApple創業の物語が描かれます。コンピューターをつくって世界を変えようと挑戦するストーリーがとても熱いです。

スティーブズ

2020年4月13日、そんな『スティーブズ』の「特別編“ソーシャル・ディスタンス”」がうめ先生のTwitterで公開されました。2020年4月15日現在は5,000回以上リツイートされており、多くの人に読まれています。

特別編ではジョブズとウォズニアックのライバルであるマイクロソフト創業者のビル・ゲイツが、新型コロナウィルスのワクチン開発に挑戦する様子が描かれます。作品を紹介するとともに、うめ先生に制作背景についてインタビューしました。

『スティーブズ』特別編"ソーシャル・ディスタンス"




続きはうめ先生のツイートから読んでみてください!

「ビル・ゲイツのかっこよさ」を描き、「希望」を伝えたかった

ーーインタビューをご快諾くださりありがとうございます!制作背景についてお聞かせください。今回の企画を始められたきっかけは何でしょうか?

うめ:「ゲイツが7つのワクチン工場に資金を投じる」と報じた記事を読んだのがきっかけです。彼のやることが余りにもマンガみたいで、「あーもう!ゲイツはいくつになってもゲイツ!」と感動しました。

そこで『スティーブズ』原作の松永肇一さんへすぐ「この記事で書かれている内容を元に、2015年のTEDの話も絡め、2ページから4ページくらいの外伝のシナリオを書けますか?」とメッセしたんです。ゲイツの回想内でジョブズを登場させたいとも伝えました。

松永さんが書いてくれたシナリオは、到底2〜4ページに収まる長さではなかったんですが、めちゃくちゃ面白かったのでカットできず、何とか描き上げました(笑)。

ーーツイートを拝見したんですが、企画が始まってからものすごいスピードで描き上げられていましたよね。すごい…!

うめ:私たちも松永さんもいつもの仕事を抱えた上で、休校の影響で子どもの面倒を見なければならず、これにばかり時間をかけていられない中、頑張って描きました(笑)。私たちの場合、仕事の生産性は多く見積もって普段の半分以下ぐらいです。

制作中に子どもからよく声をかけられますし、外食にも行けないので毎食用意するのが大変です。 うちの仕事場では入稿をフルデジタルで行っていたり、スタッフのリモートワークも以前から実施していたりするので、マンガ家の中では影響が少ないほうのはずですけどね。

ーーお子さんがご自宅にいる中での制作は、本当に大変でしょうね…。そんな中、面白い作品を届けてくださって本当にありがとうございます。今回の作品を通して、うめ先生は何を伝えたかったのでしょうか。

うめ:ゲイツのかっこよさですね(笑)。といえばそれまでなんですが、最近はあまりにも救いのないニュースが多く、どうしても重苦しい気持ちになってしまうじゃないですか。そういった状況に対して、エンタメをつくる立場から少しでも「希望」を伝えたかった想いはあります。

ーーなるほど。それを伝えるために力を入れたポイントはありますか?

うめ:ゲイツだけでなくジョブズも登場させ、ちゃんと『スティーブズ』の外伝として描くことですね。正直、ゲイツだけを登場させるほうが描きやすいエピソードですが、「『スティーブズ』の外伝」という形のほうが、多くの人に読んでもらいやすいと考えました。

そのためのアイデアを考えていると、ジョブズがWindowsに対して「No Taste」と発言したエピソードを松永さんが見つけてくれました。コロナウィルスの症状である味覚障害、そしてゲイツらしい「無粋(No Taste)な決断」といったエピソードを絡めた物語の軸が決まったんです。

ーー出来すぎているようなエピソードですよね(笑)。コロナウィルスに関する誤情報を拡散するきっかけにならないよう、注意されたポイントもあるかと思います。

うめ:そこはたしかに気を遣いましたね。とはいえ、『スティーブズ』のときから松永さんのリサーチ力をとても信頼しているので、安心して描けました。作画の作業時にこちらで新しく見つけた資料も松永さんへ共有し、チェックしてもらっています。あとはネーム、第一稿、二稿と段階ごとに全員でチェックしましたね。

あとがき

ものすごくお忙しい中、今回の作品を発表された当日に、TwitterのDM経由でのインタビューにすぐ回答してくださったうめ先生。本当にありがとうございました。

お子さんが在宅されている中での制作が大変とのことでしたが、執筆の合間にお子さんと節分で使い切らなかった大豆を使ってクッキー焼いたりと、自宅での楽しみ方を模索されているそうです。ちなみにクッキーは「すごくまずかった」と書かれていて、笑ってしまいました。

心苦しいニュースばかり流れてきて気分が晴れない日々ですが、今は外出を控え、うめ先生のように在宅でできる楽しみ方をたくさん見つけたいと思いました。本当にありがたいことに、マンガ家さんたちも私たちを楽しませようと作品を届けてくれているので、退屈はしないはずです。


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