読んだことない人に本気で勧めたい政治マンガを集めてみました

政治マンガと聞くと「私に関係なさそう!」と思う人もいるかもしれません。日本人の政治への興味のなさはかなり高く、若い人の中では政治は何もしてくれないと諦めてしまっている人もいるでしょう。

一方で、やはり政治に対して無知でいてはいけない、という焦りがある人も多いのではないでしょうか。

そこで、あくまで娯楽としてのマンガで楽しめる政治マンガを集めてみました。

総理の椅子

『総理の椅子』は、幼き頃のとある事件をきっかけに、日本を滅ぼすために総理大臣になって戦争を起こそうとする話です。

総理の椅子
国友やすゆき/著

顔立ちもハンサムな白鳥は、表向きのクリーンなイメージを徹底して作り上げつつ、障壁になる相手は、脅したり、暴力をふるったり、殺したりしつつ、利用できそうな女性を手駒として使ったりと、極悪なことを平気でしていきます。

しかし国民は、実績や政治能力などには一切関係なく、見た目のよさと、イメージだけで、彼を大物政治家にしていってしまいます。

日本を戦争に導くという破滅的な野心のために、あらゆることをやっていく主人公にはなかなか共感はできませんが、それでもある種の爽快感があります。それは「国民は結局、その場の感情とイメージだけで政治家を選んでいるにすぎなすぎない」という強烈な皮肉から来るのかもしれません。

非常におすすめです。

国民クイズ

国民クイズは、異色の政治マンガです。近未来の日本で、政治も経済も行き詰まったときに始まったクイズ番組でのカリスマ回答者が革命をおこし、民主主義をすて、「国民クイズ体制」という全体主義国家にします。

国民クイズ
杉元伶一 (著) 加藤伸吉 (著)

国民クイズ体制は、国民クイズというテレビ番組で優勝すればなんでも願いを叶えてもらえるというものです。

日本国憲法第12章 国民クイズ(国民クイズの地位) 第104条「国民クイズは国権の最高機関であり、その決定は国権の最高意思、最高法規として、行政・立法・司法、その他ありとあらゆるものに絶対・無制限に優先する。本憲法もその例外ではない。」

この国民クイズ体制によって、日本は世界最大の経済大国になり、また最大の核保有国になり、国連の理事長国になるなど、世界中が日本にひれふす強大な国家になっています。そのため「エッフェル塔がほしい」という願いがあればフランスにとりにいき、「アメリカ本土を爆撃してほしい」とあれば、爆撃しにいく、という過激なこともできてしまうようになります。

クイズが国の政治の中心となる・・・という設定はかなり変わっていますが、「こういう政治体制もありえてしまうのではないか」と錯覚するほど、設定が細やかです。おすすめ!

ワンスアゲン!

『ワンスアゲン!』は、フリーターが代議士秘書になって、

ワンスアゲン!
高遠るい/著,鍋田吉郎/著

超氷河期で就職できなかったフリーターの藤丸渡は、「かわいすぎる代議士」である原アキラの秘書になります。

しかし、アキラが落選してしまえば年収600万の仕事がなくなってしまいます。それに焦った藤丸がなんとか当選させようという話です。時代的には、震災後の、民主党政権あたりのイメージです。

しかし「有権者は神さま」であり、気まぐれな神さまを振り向かせるために、ドブさらいからはがきの手書きと、ブラックな仕事をやることに・・・。

2巻と短いですが、政治家の仕組みなどが詳しく紹介されており、わかりやすいです。たとえば「なぜ政治家は握手するのか」「地元の工務店に予算をとってくることで地方の景気をよくしたいという地元民の考え」などがきちんと描かれています。ネット投票や予算の話、脱原発、TPPの是非、所得税増税、パチンコ税、など、2巻とは思えないほどきちんと描かれています。

学も知識もない藤丸ですが、まっすぐな正論をいい、周りを巻き込んでいく姿は、マンガの王道です!

沈黙の艦隊

沈黙の艦隊は、日本とアメリカが独自に作っていた原子力潜水艦を、船長の海江田が「独立国家やまと」と宣言したところから始まる政治マンガです。

沈黙の艦隊
かわぐちかいじ

海戦での神がかった戦闘も見どころですが、世界中を巻き込んだ、政治ドラマといったほうが個人的にはしっくり来ます。

むしろ「なぜ武器は合法なのか?」「奴隷制と同じようにいつかの日、捨てることができるのか?」「核による抑止力は必要か?その抑止力はどのようにすると一番フェアか?」などが語られていきます。

理想論だけでなく、各国の現実論、国益も当然交わり、都合よく話は進むわけではありません。しかし、円卓を囲んで、密室で各国首脳による激論は、マンガ誌に残る名シーンだと思っています。

けんすう

沈黙の艦隊

沈黙の艦隊を読んで本気で「世界国家や統一政府は作れるのだろうか?」と思いを馳せてみてもおもしろいかもしれません。

疾風の勇人

所得倍増計画などで有名な、池田勇人を題材にした政治マンガ。

疾風の勇人
大和田秀樹/著

戦後の吉田茂の時代からはじまりますが、占領時代の日本から、いかに立ち上がったのか・・・というのが、異常に熱く描かれています。

実話をベースにした政治マンガと聞くと、どうしても地味なイメージがあるかもしれません。しかし、大和田先生にかかると、それがめちゃくちゃおもしろい、熱いマンガのストーリーになるのです!

時代も近く、田中角栄や宮沢喜一など、近代の首相も出てくるので、イメージ持って読みやすいと思います。

アクメツ

『アクメツ』はかなりの問題作です。要は一人一殺で、日本をダメにした政治家を殺しまくる(悪を滅する)という話です。

アクメツ
田畑由秋/著,余湖裕輝/著

しかも殺されるのは、どう見ても実際の政治家をモデルにした人たちです。大丈夫かな・・・。かなり明るく、残虐に殺されてしまいます。

当時の政治問題が取り上げられていますが、基本的に日本をダメにしている悪いやつを殺していこう、という話です。ネタバレは避けますが、主人公はある意味、チート的な裏技があるので、どんどん政治家を殺していくという無茶を可能にしています。

一見すると、勧善懲悪ものなのですが、どこかで「悪いやつをこんな感じに殺して、スッキリしていいんだっけ」という作者の問があるように感じました。なので、一人一殺で、殺したら自分も死ななければならないという成約があるのかなと。

また、ある種、楽観的で深い考えなしに「悪いやつは殺そう」という無邪気さに対して、多くの読者が共感を覚え「今の日本でもアクメツが必要だ!」と多くのネットでのレビューサイトで書かれているのも、いろいろなことを考えてしまいます。

オメガトライブキングダム

前作の「オメガトライブ」から読んだほうがいい気もしますが・・・。オメガトライブキングダムは「次世代の人類の種同士で、誰が生き残るか」を競うマンガです。

OMEGA TRIBE KINGDOM
玉井雪雄/著

ただ、バトルのようなものではなく、まずは「日本を支配する」というのを目指すので、政治問題と密接です。具体的には、自衛隊の民主化やクーデータなどが話のテーマに入ってきます。

次世代の種ということで、異能バトル感があった前作に比べ、かなり大人の政治問題があります。

もはや主人公は梶だと思っています。

大奥

政治マンガか?といわれると厳密には全然違いますが・・・。マンガの中で行われていることは、江戸時代の政治を中心としているので、政治マンガといってもいいのではないでしょうか。

大奥
よしながふみ/著

主なストーリーとしては、男だけが罹る謎の疫病により男子の人口が急速に減少した江戸時代の話です。

江戸時代の将軍やそのときの出来事が、実は男女反転していた、という歴史のIFストーリーなのですが・・・。あまりに設定や描写が細かく練り上げられていて、実際こうだったのでは?と錯覚しそうになるほどです。

有能な将軍も無能な将軍も、基本的にすべて女性になっています。

江戸時代の政治というか、国の政とはどういうことか、そして為政者ではなく、個人としての女としてはどうか?というのが描かれています。

クニミツの政

サイコメトラーEIJIのスピンオフ作品です。

クニミツの政
安童夕馬 朝基まさし

ヤンキーだった武藤国光が、坂上竜馬という市長選挙に出馬している政治家の秘書となる話です。

クニミツは、中学中退であり、喧嘩が強いヤンキーです。どう見ても学がなく、政治家に向いているとは思えないキャラですが、大胆な行動力で、市長選に大きく寄与します。

同級生であり、吾妻光明という天才選挙参謀と一緒に選挙戦を戦っていくのですが・・・。誰が読んでもわかりやすい、少年漫画の王道として政治が描かれているのが特徴です。

というわけで

政治マンガはそこまで数多くないですが、その中でもオススメしたい作品を選びました。

どれも、是非とも読んでもらいたい作品です!