「家族の第9巻」と帯でうたわれたとおり、棋士をめぐる「大切な人」が印象的に描かれた『3月のライオン』最新刊。
(編注・オリジナル記事のweb掲載当時の情報です)
主人公・零と川本家の関係だけでなく、土橋九段を支える両親のエピソードにもほろり。死神・滑川さんのエピソードも(別の意味で切なすぎて)涙を禁じえませんでした……(あまりにもいいキャラなので再登場していただきたい)。
おいしいもののシーンも健在で、特に「家庭の味」にフォーカスされた巻でもありました。 肌寒くなってきたこともあり、たまらんかったのが川本家の伝説的メニュー「甘やかしうどん」。
がんばる受験生のための鍋焼きうどんで、天ぷらとキツネ、「おいしいもの」がダブルで乗った究極の夜食。
エピソードでは、高校受験のための勉強にはげむひなちゃんと、それに協力する零にあかりさんがばばーんと振る舞います。 あかりさんが受験の際も母親が作ってくれたようで、まさに家族の愛が受け継がれるかのような一品。
本レシピ記事はumebon(梅本ゆうこ)さん運営の「マンガ食堂」に掲載されたエントリーから寄稿いただき掲載されています。http://mangashokudo.net
土鍋と材料と作り方
一人用の土鍋を所持してなかったので、再現用に新規に買おうとコマに描かれた土鍋のデザインをチェックしたら、「これはもしや『あの土鍋』では…」としばし凝視。
そう、居酒屋とかよそ様の家とかでやたらと見るあのグレーの国民的土鍋です。 近所のスーパーでも当然のように売ってたので迷わず購入。箱を見たら自ら「ベストセラー」とうたっちゃってますが、いったい日本の土鍋の何割がコレなのだろうか。
最近ひとり用のかわいい土鍋を雑貨屋さんでたくさん見かけるけど(無印の土鍋もカワイイのよね…)、下町の庶民的な川本家にあるのは、やっぱりこのオーソドックスな土鍋だろうなあ、と思うのです。
作り方:
まずはうどんの上にのせる、甘辛のおあげさん。大判の油揚げを斜め半分に切り、熱湯で油抜きしてから水、酒、みりん、砂糖、醤油で甘辛く煮ます。
エビは揚げる時曲がるのを防ぐために下処理して小麦粉をまぶし、コロモにつける。
今回の天ぷらはコロモの厚さが重要なので、エビをコロモでドーピングする「花揚げ」ってのを試してみます。 油で揚げる際、エビを投入してから菜箸で天ぷらのタネをパパッと飛ばして後からまとわせる…という感じのようです。
私のヘタな説明より、プロの動画を見たほうが早いかも(この手際、ウットリ…)。
揚がったのがこちら。うーん、やっぱ不慣れなので思ったより厚くコロモドーピングできなかった…。
とここまできて、「2人分のエビ天だったら、イチから作るより店で買ったほうがお金も時間も経済的だし、あかりさんもそうするのでは…」と台無しなことに気が付いたけど、打ち消して次に進みます。
うどんのつゆ作り。 川本家は東京の下町住まいなので、出汁はかつお(&昆布少々)、みりん+砂糖、濃口醤油でそばつゆっぽく濃い目&甘めに仕上げます。個人的にも鍋焼きうどんだと濃い目のつゆのほうが好き。
別の鍋でうどんを指定時間どおりゆでたら、つゆを入れた土鍋に投入し、おあげと天ぷらを入れてフタをし中弱火に。沸騰したら弱火にして4~5分煮込む(うどんの硬さはお好みだけど、やわめがいいかも)。
普段天ぷらは「後のせサクサク派」の方も、今回ばかりは目をつぶって先に投入を! ネギと紅白かまぼこを乗せて、食卓へドーン。
食べるタイミングも夜中、小腹が減った時に。
食卓に出す際は、あかりさんの「甘やかされたいヒトはいますかぁ?」の合言葉も声に出したい。私は自分で自分を甘やかします。
コロモがぷわっぷわのとろける天ぷら、じゅわっと甘いおあげ。
「『おいしいもの』のとなりにまた『おいしいもの』」というひなちゃんの解説のとおり、甘くて温かくて豪華で、夢のような鍋焼きうどんです。
大人になると夜食って健康上の罪悪感からなかなか食べないようになるけど、そういえば学生のころはこうやって幸せな気持ちで食べてたよなあ…と、ノスタルジーに浸ってしまいました。
▼お知らせ
2013年9月28日発売の「オズプラス」11月号「夜のひとり時間 向上計画」特集のワンコーナーで、「3月のライオン」8巻の角煮丼を再現させていただきました。ご興味ある方はぜひ。
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