「ジャンプSQ.」5月号最速レビュー!新章突入の『憂国のモリアーティ』ほか8作品を紹介

2021年4月2日発売の『ジャンプSQ.』5月号の表紙&巻頭カラーは『憂国のモリアーティ』です。

雑誌と同じ日にコミックス最新の第14巻が発売されただけでなく、テレビアニメの2クール目が2021年4月4日(日)より放送が開始されることもあり、作品の熱が一層高まっています!

紙書籍版には紙だけの特典として「映画るろうに剣心 最終章」特製B4ポスターと、「ヘタリアWorld星Stars」&「総理倶楽部」特製ポストカードセットが付属しています。

「ジャンプSQ.」5月号の最速レビューでは、巻頭カラー・センターカラーの作品と、特別読み切りの計9作品を紹介します。

『憂国のモリアーティ』

19世紀末、完全階級制度に支配された大英帝国を舞台に、世界を変えんとするモリアーティと、その敵であるホームズの戦いを描く作品。

新章「空き家の冒険」の第一幕(1話目)となる今回は、「最後の事件」から三年後、女王陛下直属の英国陸軍情報部第6課「MI6」の長官となったルイスと仲間たちが、製造されると戦争のパワーバランスを大きく変える潜水艦の設計図を、とある貴族が敵国に売り渡そうとするのを止めるために行動を開始します。

過去の罪を償うため、殺人という手段を選ばずに設計図を回収しようとするルイス達ですが、銃声がしない狙撃によってターゲットの貴族が殺されてしまい、行方不明となっていた「あの男」の存在を意識せずにはいられない、という衝撃の幕開けに期待が止まりません。再会の瞬間に描かれる絵と台詞がどちらも楽しみです!

TVアニメ2クール目も楽しみです!

『総理倶楽部』

普通の高校生・日向大悟(ひなただいご)は、国会議事堂の地下に隠された秘密のクラブに招待されます。大悟は「未来の総理大臣」と言われ、若い姿の歴代総理大臣たちとの交流を通して、総理の何たるかを学んでいく、という物語です。

第4代総理大臣の松方正義(まつかたまさよし)に、大悟は「大人しい」という印象を持ちますが、ある日、己の不摂生に危機をおぼえた大悟は「健康博士」の松方の力を借りることになります。

始めは他人行儀な松方の口調が、仲良くなっていくにつれて変わっていくのが可愛らしいです。日丸屋先生の絵で変化が描かれると、一気に好きになります!

また、キャラクター同士の軽快な掛け合いだけでなく、歴代総理大臣の秘話が勉強できるのも面白い作品です。飲食のお店での有名なエピソードがあまり残っていないことで有名、というのは松方総理の人柄を色々と想像させてくれますし、日丸屋先生の解釈が素敵…!

コミックス1巻が発売中です!紙版のコミックスを買うと応募できるプレゼント企画が実施中なので、ファンの方は要チェック!!

『この音とまれ!』

廃部寸前の箏曲(そうきょく)部に個性的な面々が集い、全国大会で金賞受賞を目指して、努力を積み重ねる初心者の久遠 愛(くどお ちか)と、その仲間たちの青春の日々を描いた作品。

箏曲部に入る以前、愛(ちか)が最も荒んでいた時期に傍にいた宇月 誓(うづき せい)が、ついに本格登場し、不穏な気配が漂っている最近の展開。

宇月は、ようやく箏曲部に溶け込んだ名都(なつ)の兄だと判明し、愛と宇月の関係を知らない名都は、築いた関係性が壊れてしまうことに不安を抱きます。同級生の由永(よしなが)に不安を悟られてしまい、声を荒げる名都の今まで見たこと無い姿から、心の動揺が伝わります。

自分との関係を言うか悩んでいる真っ最中に宇月が愛の前に姿を現すというラストシーンは、宇月の狂気を感じずにはいられません。

数多くの救いが描かれてきた作品なので心配はしていませんが、ここから単行本2冊分くらいは重めの展開になるのかも…?と思ってしまいます。全国大会直前の最後の試練になるのでしょうか。

2人の笑顔が最高の、コミックス最新24巻が発売中!

『カワイスギクライシス』

星々の侵略を繰り返す帝国・アザトスから、文明レベルが低い地球を滅ぼすために遣わされたリザは、偶然入った猫カフェで「可愛すぎる」猫に衝撃を受け、さらに次々出会う可愛い動物との日々に地球を滅ぼすどころでは無くなってしまう話です。

一挙2話掲載が嬉しい今作。1本目は、メカヨゾラが「かわいい」を学びます。モフモフが足りずに嫉妬して、別のポイントで謎の勝負を仕掛けようとして段々とズレていくメカヨゾラの姿もまた、城戸先生によって可愛く描かれていて最高!

一挙掲載の2本目は、偶然見かけたコーギーのお尻がかわいいと思ったリゼ達が、それぞれが飼っているペットのフェチを語ります。全員がペットの可愛さを語りたくて仕方がなくて、現地での語り合いだけでなく、オンライン通話でもフェチの言いあいをするのが、愛が深すぎて良い…!

コミックス3巻発売を記念して、作者の城戸みつる先生に自分のペットを描き下ろしてもらえるプレゼント企画が実施中です!

『ボクとキミの二重探偵』

気弱で目立たず、クラスに溶け込むことができない僕徒レオ(ぼくとれお)は、隣に座る君乃ミキ(きみのみき)に推理力の高さを見抜かれ、学校内で起きた殺人事件を一緒に解決することになり、そこから奇妙な関係が始まる、という物語です。

「二重」の意味が一つじゃないタイトルの仕掛けが素敵です。

レオとミキのデート(探り合い)が続行するなか、レオ(ではなく正しくは彼の中に潜む「オレ」)は、ナイフを忍ばせた男が眼前を歩いているのを見つけて、ミキの企みを暴くために、この状況を利用しようとしますが、それはミキも同じであり、危険な駆け引きが始まってしまうのでした。

ミキの含みがある言動に困惑するレオと、真意を探ろうとするオレの心理描写のギャップが面白いです。また、ベタなシチュエーションですが、第1話では2人をからかっていた同級生が、2人のデートシーンにドキドキしているのが個人的には好きです。キャラクターが良いので、彼らも仲間になってメインを張る回もいつか読んでみたい…!

『Thisコミュニケーション』

謎の生命体「イペリット」と人類の戦いだけではなく、イペリットに対抗するために生み出された「ハントレス(女狩人)」を指揮する元軍人・デルウハの奇妙な関係(コミュニケーション)から目が離せない、骨太の物語です。

人型のイペリットとの戦闘に、首を切断され死亡したはずのデルウハが参戦!

デルウハの指揮によって戦況が好転するはずが、人型のイペリットと面識があり、逆に戦況が悪くなるシーンは、少しコミカルで笑ってしまいます。

一段階レベルが高い敵が出て来ることで、結束が強まるのではなく、デルウハがここまで選び続けてきた「コミュニケーション」の手段が悪い方向に向かっているのが加速してしまったのがすごい作品バランスだ!と驚く回でした。スリリングすぎて、爆発する瞬間が見たいような見たくないような不思議な感触が癖になります。

作品を紹介するスペシャルPVが最高です!

特別読み切り『ヘルズケア』

1940年代のアメリカを舞台に、拷問を受け続けるガスマスクで顔を隠した男と、それを治療し続ける女医の逃亡劇を描いた物語です。

男が信念を持って隠しにしている「ある情報」と、女医が拷問を受ける男をなぜ治療するのか、という二人の信念がキャラクターを立てており、2人の会話劇だけでスッと読める作品です。

キャラクターの名前が物語の中で一切明かされない構成が独特で、一方で、そのまま連載にできそうな設定が仕込まれているバランスが不思議です。カラーで描かれた扉絵で、女医がガスマスクを持っている構図は未来の描写なのかな?など想像が膨らむので、連載になったらどうなるのかが気になります!

作者の鳴名ガオ先生のファンになった方は、増刊『ジャンプSQ. RISE』の電子版で別の読み切りが読めます!

ジャンプSQ. RISE 2019 SUMMER
ジャンプSQ.編集部/著

特別読み切り『夢美センパイは夢見がち。』

王子様を信じている夢美(ゆめみ)先輩と同じ文芸部に所属するマコトは「あんなのを信じてる奴は全員馬鹿だ」と考えており、お互いの思想がわかっていながらも軽口を叩き合う仲の良さ。ある日、マコトが「王子様を落とす自信があるってことは、俺くらい落とせるんだろうな!」と言ったことで夢美先輩の「攻め」が始まります。

マコトは軽口を叩いていても夢美先輩のことが気になっている様子なのが見え見えで、彼女からの攻めが始まってからはどんどん崩れていくのが面白いんですが、それだけではない終盤のひと押しがまた良いです!

依光涼太先生が気になった方は、ツイッターをフォロー!

特別読み切り『小学生博徒〜青天井カケルの一日〜』

青天井カケルは小学3年生ながら生粋の賭け好き。新しく担任になった佐野先生は、教室に入るなり教室の机を賭けで失ったカケルを目撃する。その後も算数や体育の授業で次々と給食のメニューを賭けてしまうカケルは、無事給食を食べることができるのか!?

なんとも渋い読み切りで、日常的にカケルのギャンブル癖を受け入れているクラスメートがシュールです。カケルが新3年生ではなく、佐野先生が入れ替わりで入ってきた辺りにちょっと闇を感じるのが、賭けというテーマに合致していて面白いです。

大鯨泰二郎先生のファンになった方は、増刊『ジャンプSQ. RISE』の電子版で別の読み切りが読めます!

ジャンプSQ. RISE 2020 AUTUMN
ジャンプSQ.編集部/著

6月号の予告!

「ジャンプSQ」6月号は2021年5月1日(土)発売です!

表紙は『るろうに剣心―明治剣客浪漫譚・北海道編』です。映画『るろうに剣心 最終章 The Final』が2021年4月23日に公開されるのにあわせて、主演の佐藤健さんと、作者の和月伸宏先生の対談が掲載されます。剣心ファンで映画版も好きな方はお見逃しなく!

「ジャンプSQ.」の電子書籍版は発売日の0時から配信開始されており、「ゼブラック」「ジャンプBOOKストア」の定期購読だと、増刊「ジャンプSQ. RISE」の購読開始以降に発売する号が無料で読める特典付き!増刊が読みたい方は電子版の定期購読がオススメ!

紙版には付録が付きます!2021年6月号には『憂国のモリアーティ』14巻の掛け替えカバーが付属します!付録がほしい方は紙版がオススメ!

巻頭カラーの『ダークギャザリング』をはじめ、次号の連載も楽しみです!!

電子版は定期購読しない場合も、1冊から買えます!

ジャンプSQ. 2021年5月号
ジャンプSQ.編集部/著

OGP及び記事内画像はジャンプBOOKストアより
https://jumpbookstore.com/item/SHSA_ST01M00515102105_57.html