BANANA FISH

吉田秋生/著

『BANANA FISH』絡まる人間関係が物語を動かし、そして最後に君の心を動かす!

BANANA FISH』は、「別冊少女コミック」で1985〜1994年に連載された吉田秋生先生の作品です。

1980年代のNYを舞台に、謎のキーワード「バナナフィッシュ」をめぐって、マフィアやストリート・キッズ、政治家、軍人、警察まで様々な人間の思惑が入り乱れるサスペンス&アクション!少女マンガでこのテーマは当時かなり尖っていたはずですが、累計発行部数1200万部を超える大ヒット作になりました。読めばわかる…ちょうおもしろいもん…。

言わずとしれた名作

読んだことはなくても『BANANA FISH』というタイトルだけはご存知の方も多いのではないでしょうか。2018年にはフジテレビのノイタミナ枠ほかでアニメ化され、今年2021年6月には舞台化も予定、マンガの発売から20年以上の時を経て今また盛り上がりを見せている注目作品でもあります。

えらいシャレてたもんで

少し個人的な話をさせていただきます。このマンガを読んだきっかけは、表紙がとんでもなくオシャレだったから。ジャケ買いです。パラパラと目を通すと、NYの街並みや登場人物の80'sファッションがステキ!…と軽い気持ちで読みはじめたつもりが、最終的に涙まみれになってました。

表紙のイメージとは裏腹に、ページをめくると戦場から物語がはじまります。1人のアメリカ兵が錯乱して銃を乱射、その後につぶやいた「バナナフィッシュ」という謎の言葉。

そこから10年以上の時を経た1985年のNYで、主人公アッシュ・リンクスが「バナナフィッシュ」という言葉に出会います。その意味を知ろうと動き出すアッシュと、ちょうど日本からNYに訪れていた大学生の奥村英二が出会い、一緒に謎を追うことに。「バナナフィッシュ」の正体を知る頃には、2人は国家レベルの陰謀に巻き込まれているのです。

「光と闇」の2人が惹かれあう友情

過去に大きな闇を抱え、警戒心が強くひねくれたストリート・キッズのボス、アッシュ。そんなアッシュと、明るく穏やかでまっすぐな英二のかけがえない友情がこの作品一番の見どころ。2人の関係に心打たれ、涙する人は多いはずです。

あるきっかけからアッシュ率いるキッズとマフィアの抗争に英二が巻き込まれ、数々の修羅場をともに乗り越えることに。一緒に過ごす時間のなかで、これまで歩んできた人生もそこで色づいた性格も真逆の2人は、恋のように熱く刹那的でありながら、同時に永遠を感じさせるような唯一無二の関係を築いていくのです。

強く互いを求めあう「光と闇」的な2人の友情ってよくある設定ですが、物語が巧妙だからこそ、心にガツンとくる!私も完全に、2人の友情の虜になってしまいました。

自分と一緒にいることで英二を危険な目に遭わせたくないと突き放すアッシュと、どんなときも一緒にいてアッシュを守りたい英二。お互いが大切だからこそ選ぶ行動が2人の行く末を左右していきます。

同じ景色を見てきた同士の友情

さらに、アッシュの仲間や他グループのボスとの関係性も見逃せません。

銃社会、グループ間抗争やマフィアからの重圧がたえない生活で、信頼できる仲間はかけがえのない存在。特に、チャイナキッズを率いるショーターシンとアッシュの間にある友情には、常に暴力や犯罪、死と隣り合わせという同じ環境で生きてきたからこそ堅く結ばれた絆とリスペクトを感じて、胸が熱くなります。

「人間くささ」で物語がおもしろくなる

友情だけでなく、アッシュと師匠ブランカとの師弟関係や、アッシュに敵対心を燃やすオーサーからの妬み、アッシュの才能を見抜き育てたマフィアのボス ゴルツィネからの歪んだ愛情、チャイナキッズ間の民族特有の掟、華僑李家の家族関係など、あらゆる登場人物の「人間くささ」が複雑に絡みあうことで、物語がどんどんおもしろくなっていく作品です。

普段アクション系を読まない人、普段ヒューマンドラマ系を読まない人、どちらにも一度読んでみてもらいたいマンガです!

名作は時代を超える!

BANANA FISH (全20巻) Kindle版

本記事は、2021年度4月にアルのライターとして加入した新人の皆様の最初の記事をGWに一挙公開する「Golden Rookie Week企画」の一本として掲載されています。ニューカマー達の活躍を今後も見守ってあげて下さい!