さよなら私のクラマー

新川直司 / 著

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『さよなら私のクラマー』14巻。未来へつながるあの結末の素晴らしさについて語らせてほしい

さよなら私のクラマー』の最終巻14巻が、2021年4月1日に発売されました!

さよなら私のクラマー(14) (月刊少年マガジンコミックス)
新川直司/著

寂しい気持ちもありますが、本当に素敵な最終巻でした!とくに最後の相手があの高校だったのが胸躍る展開でした。期待と希望に溢れ、余韻の残るラスト。感動しました。

「いやいや、もっと続いてほしかったよ!」と思われている方もいると思います。その気持ちもわかります!

ただ、あの展開で終わることには大きな意味があったと思っています。そう思う理由をこの記事ではご紹介させていただきます。

なぜ最後の相手があの高校だったのか?」、「なぜあの展開がラストだったのか?」この2つの切り口から、物語全体のゴールについて考えていきます。

読者の方が情報を整理し、作品理解を深めるきっかけにしてくれたら嬉しいです。

※この記事は14巻を読み終わった方向けの記事です。未読の方は先に14巻を読むことを推奨します。

最後の相手が浦和邦成だった意味

最後の相手は同じ県のライバル校・浦和邦成高校でした。

さよなら私のクラマー

ライバル校の中でも、浦和邦成はワラビーズにとって特別な意味を持ちます。メンバーそれぞれの立場から、浦和邦成の存在についてみていきましょう。

田勢にとっての浦和邦成

さよなら私のクラマー

1話から浦和邦成は登場していて、田勢はこのとき対戦していましたね。

さよなら私のクラマー

(1巻より)

ワラビーズは浦和邦成に大敗。この試合終了後、多くの選手が退部しワラビーズは空中分解してしまいます。

さよなら私のクラマー

浦和邦成との試合をきっかけに、田勢は一人ぼっちになってしまいました。

田勢にとって浦和邦成は、克服しなければならない挫折です。

周防にとっての浦和邦成

さよなら私のクラマー

周防はそんな一人で泣いている田勢の姿に共感し、ワラビーズを選びました。

さよなら私のクラマー

(1巻より)

ワラビーズを選んだきっかけが浦和邦成だったのです。

さらに、浦和邦成の中心人物チカとは中学のときから対戦し、つねに攻撃を防がれてきました。ワラビーズとして対戦したときも、完封に抑えられています。

さよなら私のクラマー

(3巻より)

周防にとって浦和邦成は、いまだに乗り越えられていない巨大な壁なんです。

曽志崎にとっての浦和邦成

さよなら私のクラマー

曽志崎にとって浦和邦成のチカは中学の先輩です。チカからは浦和邦成に入学するようしつこく誘われていました。

さよなら私のクラマー

(1巻より)

そんな誘いを断って曽志崎はワラビーズを選びます。

さよなら私のクラマー

(5巻より)

曽志崎はチカのいる浦和邦成に、別の道を選んだ意味を証明する必要があります。

恩田にとっての浦和邦成

さよなら私のクラマー

恩田は浦和邦成との試合終了後に、チカからこんな言葉を投げかけられます。

さよなら私のクラマー

(5巻より)

「私達には女子サッカーの未来がかかっている」その言葉を受けて恩田は悩みます。

さよなら私のクラマー

恩田は浦和邦成と戦ったことで、サッカーをする理由を問われました

このように浦和邦成との戦いは、ワラビーズのメンバーにとって特別な意味を持ちます。浦和邦成に勝つことは、成長の実感であり、過去との決別であり、サッカーをする理由の証明です。

だからこそ、ワラビーズは物語の中でもう一度浦和邦成に挑まないといけなかったんです。

14巻のラストで浦和邦成に挑むワラビーズの顔つきを見ると感動します。自信、挑戦、覚悟、それぞれの答えを表情から感じとることができます。

さよなら私のクラマー

なぜあの展開が物語の終着点だったのか?

「じゃあせめて浦和邦成の試合を最後まで見せてほしかった!」、「もっと続きが読みたいよ!」そう思われる方もいるでしょう。たしかに、もっと続きが読みたかった

このあとの展開をたくさん妄想してしまいます。

強豪校へのリベンジマッチ!

さよなら私のクラマー

成長したワラビーズが久乃木学園にリベンジする試合が観たかった…!

新たな選手の活躍!

さよなら私のクラマー

最近名前が判明した新戦力のタマちゃん。彼女の活躍をもっと観たかった!

世代別の日本代表チーム!

さよなら私のクラマー

ワラビーズの選手もこれからは世代別日本代表に選ばれるはず!

もし、U-17の日本代表チームが組まれるとしたら?

曽志崎と浦和邦成のチカが再びボランチを組んで、

さよなら私のクラマー

恩田と久乃木学園の井藤がポジション争いして、

さよなら私のクラマー

FWは興蓮館の来栖未加と久乃木学園の梶みずきでしょうか?

さよなら私のクラマー

観たすぎるっ…!

などなど、妄想したくなる展開がたくさんあります。

ただ、そんな未来への期待感こそがこの作品の1つのゴールだったのだと思います。

女子サッカーに未来はあるのか?

本作は1巻でこんな問いかけをしています。

さよなら私のクラマー

それから私たちは14巻をかけて、ワラビーズを中心とした女子サッカーに熱狂してきました。

最終巻を読み終えたときの「もっと続きを読みたかった…!」という強い想いは、女子サッカーの未来への期待感といって過言ではないはずです。最終巻を読み終えた今なら、「未来はあるよ!」と強く答えられます。

さよなら私のクラマー

女子サッカーの未来をテーマにした『さよなら私のクラマー』は、浦和邦成と戦う瞬間、未来への期待が頂点に達したあの瞬間に、1つのゴールを迎えたのだと思います。

だからこそ、最終巻を読むと強く胸が揺さぶられます。

ありがとう!ワラビーズ!

『さよなら私のクラマー』は、私たちに熱狂を、感動を、そして未来を与えてくれました。なによりも「サッカーっておもしろい!」そう思わせてくれた作品でした。

みなさんは最終巻を読んでどんな想いを抱いたでしょうか?そして、どんな未来を思い描いたでしょうか?

ワラビーズはきっと今もどこかで楽しそうにサッカーをしているはず。素敵な未来をありがとう!さよなら、私たちの『さよなら私のクラマー』!!

さよなら私のクラマー

女子サッカーの未来がここに!

さよなら私のクラマー (全13巻) Kindle版