作品概要
『さよなら私のクラマー』は高校の女子サッカー部を舞台にしたサッカーマンガです。作者は『四月は君の嘘』を手掛けた新川直司先生。
2016年より「月刊少年マガジン」(講談社)にて連載開始。2021年4月には、テレビアニメと映画が同時期に公開される予定です。
あらすじ
周防すみれは、中学時代女子サッカーに打ち込むも、所属した部活では環境に恵まれず不完全燃焼で中学生活を終えてしまいました。
そんな彼女に対して、ライバルチームだった曽志崎が、中学卒業後は一緒のチームでプレーしようと誘います。
2人が選んだチームは、蕨青南(わらびせいなん)高校の女子サッカー部。周囲からは”ワラビーズ”と揶揄される弱小チームです。上級生の多くが辞めてしまい、チームは悲惨な状況。そんな状況の中、周防ら新入生が入部します。
周防だけでなくチームメンバーの多くが、今まで恵まれない環境の中でサッカーに打ち込んできました。そんな彼女たちは高校サッカー部で仲間と出会い、サッカーの魅力にのめり込んでいきます。チーム”ワラビーズ”は、高校サッカーの頂きを目指します。
蕨青南高校のメンバー
埼玉県の公立高校。「ワラビーズ」と称される弱小チームですが、新たにコーチを呼び寄せるなどの立て直しを図っています。
周防 すみれ(すおう すみれ)
ポジション:FW
学年:1年(初登場時。以下同様)
圧倒的なスピードで相手DFを置き去りにするウイング。中学時代は、サッカーに対する熱意に差が出てしまい周囲から距離を置かれてしまっていました。クールな外見ですが、とっても負けず嫌いです。
曽志崎 緑(そしざき みどり)
ポジション:MF
学年:1年
中学時代には全国3位になったチームのボランチを務めていた彼女。サッカー雑誌に取り上げられるほどの有名選手です。そんな彼女が弱小高校に進学したことで、周囲からは驚かれました。アニメが大好きなオタク気質。
恩田 希(おんだ のぞみ)
ポジション:MF
学年:1年
中学時代は男子チームに交じってサッカーに打ち込んできた恩田。男子サッカーの中で磨かれてきた彼女の類まれなる技術は、相手監督からも称賛されるほど。何度もチームを助けてきた攻撃のかなめです。
越前 佐和(えちぜん さわ)
ポジション:マネージャー
学年:1年
恩田の幼なじみ。中学では男子サッカー部のマネージャーをしていました。高校入学時もマネージャー的存在として、チームを裏から支えます。サッカーに詳しく、相手の戦略を分析する戦術眼を持ち合わせています。
白鳥 綾(しらとり あや)
ポジション:FW
学年:1年
とにかくうるさいお嬢様キャラ。点取り屋を自称しており、ゴール前では自分へのパスを声高に要求します。頭や背中など、足以外でのゴールが多め。
田勢 恵梨子(たせ えりこ)
ポジション:MF
学年:2年
ワラビーズの頼れる部長。チームを支える中心的存在。ゲーム中でもゲーム以外の場面でも、献身的に走り回り、チームを引っ張り続けます。
御徒町 紀子(おかちまち のりこ)
ポジション:MF&FW
学年:2年
FWとしてプレーすることもある器用な選手。ヘヴィメタルが好き。
宮坂 真琴(みやさか まこと)
ポジション:DF
学年:2年
DFをまとめる守備のかなめ。攻撃の際も彼女のパスから攻撃が組み立てられていきます。田勢とは小さい時から一緒にプレーしてきたこともあり、田勢の良き理解者です。
菊池 類(きくち るい)
ポジション:DF
学年:2年
自称、”ワラビーズのミルナー”(ミルナー:アシストが得意なイングランドの選手)。サイドバックとして攻撃にも参加し、ゴールをアシストします。チームのユニフォームは彼女がデザインしました。
岸 歩(きし あゆむ)
ポジション:DF
学年:2年
宮坂と一緒にセンターバックを務めます。
小紫 佐織(こむらさき さおり)
ポジション:DF
学年:2年
20話で登場したサイドバック。しぶとい守りで相手の攻撃を防ぎます。
朝比奈 珠(あさひな たま)
ポジション:13巻時点では不明
学年:1年
50話で登場した1年生です。監督からは戦術理解の高さを評価されています。恩田や白鳥のポジションを脅かす存在として描かれていますので、FWもしくはMFで起用されることが見込まれます。(13巻時点の情報です。)
加古川 香梨奈(かこがわ かりな)
ポジション:GK
学年:2年
ワラビーズの守護神。周囲からは「カコカリ」と呼ばれています。守備のかなめとして、ワラビーズのゴールを守ります。
宇都宮 星羅(うつのみや せいら)
ポジション:GK
学年:1年
50話で登場した1年生ゴールキーパー。スローイングの上手さを監督から評価されています。カコカリとのポジション争いに注目です。
深津 吾朗(ふかつ ごろう)
蕨青南高校女子サッカー部の監督。
練習中には競馬雑誌を読んで、やる気がなさげです。しかし、戦術を熟知しており、大事なときには適格な指示を選手に与えます。
能見 奈緒子(のうみ なおこ)
蕨青南高校女子サッカー部に新たに就任したコーチ。現役時代は日本女子サッカー界をけん引してきたスタープレーヤーでした。やる気のない深津監督に代わってチームを指導します。
久乃木学園高校
新生ワラビーズにとって最強のライバル。春・夏のインターハイを制し、年代別代表選手を数多く輩出している日本一のチームです。
井藤 春名(いとう はるな)
ポジション:MF
学年:1年
1年生でありながら、10番を背負う天才レフティー。久乃木学園の監督に「(彼女が)ボールを蹴るその瞬間には無限の可能性がある」と言わしめた存在です。
佃 真央(つくだ まお)
ポジション:DF
学年:1年
サイドバックを務めるU-17の代表選手。強力なキックが武器。趣味はポエムを詠むこと。
梶 みずき(かじ みずき)
ポジション:FW
学年:2年
インターハイで得点王を獲得したチームの絶対的エース。U-15の代表チームでは主将を務めていました。
鷲巣 兼六(わしず けんろく)
久乃木学園高校の監督。”泣かない赤鬼”と呼ばれる厳しい監督です。
浦和邦成高校
埼玉県予選を8年連続で優勝している強豪チーム。蕨青南高校が県予選を突破するには、乗り越えなければならない大きな存在です。
桐島 千花(きりしま ちか)
ポジション:MF
学年:2年
ボランチである彼女は、強靭なスタミナでフィールドを走り回り、相手の攻撃を何度も食い止めます。中学時代は曽志崎と同じチームでプレーをしていました。
安達太良 アリス(あだたら アリス)
ポジション:FW
学年:2年
通称、アダ。浦和邦成の点取り屋。パワフルなプレーで相手DFを弾き飛ばします。曽志崎と同じくとあるアニメのオタク。
天馬 夕(てんま ゆう)
ポジション:FW
学年:2年
可愛らしい見た目とは反対に非常に毒舌。アダとコンビを組み、冷静なプレーでアダのシュートをお膳立てする。
後藤田 正弘(ごとうだ まさひろ)
チームが団結するためなら、選手に厳しい発言もする”サッカーの鬼”。
栄泉船橋高校
千葉県の高校。指導者がいない中、部員たちで戦術を構想し、常勝チームを作り上げてきました。
浦川 茜(うらかわ あかね)
ポジション:MF
学年:3年
栄泉船橋高校のキャプテン。監督不在の中、チームをまとめ上げてきた苦労人です。
国府 妙(こくぶ たえ)
ポジション:FW
学年:2年
チームの点取り屋。点を取るためには、相手を油断させるようなぶりっ子キャラも演じます。得点にこだわる絶対的エースです。ツインテールがチャームポイント。
興蓮館高校
久乃木学園と並び、高校女子サッカー界2強の一角。新しい監督のもと、絶対王者・久乃木学園打倒を掲げています。
藤江 宇海(ふじえ うみ)
興蓮館のキャプテン。監督と共にチームを作り上げてきた精神的支柱。しかし、交通事故に合い、試合には出場できなくなってしまいました。
来栖 未加(くるす みか)
ポジション:FW
学年:2年
チームを引っ張る点取り屋。マスコミからも注目される容姿の持ち主ですが、プレーは非常に愚直で泥臭くボールを追いかけ続けます。
藤江 梅芽(ふじえ うめ)
ポジション:DF
学年:1年
キャプテン宇海の妹。戦術眼に優れ、姉からは天才と評価されているサイドバックです。
九谷 怜(くたに れい)
ポジション:DF
学年:1年
フィジカルを武器に体を張った守備をするディフェンダー。チャームポイントは八重歯。
高萩 数央(たかはぎ かずお)
興蓮館の監督。元日本代表で、海外でもプレーしたスター選手です。蕨青南の監督・深津とも旧知の仲。
作品の魅力
仲間と味わうサッカーのだいご味
ワラビーズのメンバーはそれぞれ恵まれない環境の中でサッカーをしてきました。周囲からは「あきらめろ」という言葉を投げかけられた時もあります。
環境が充分に整備されていない女子サッカーの厳しい現状をつきつけられます。彼女たちはそんな孤独で厳しい環境の中でも、くじけずにサッカーを続けてきました。そして、ワラビーズというチームで志しを同じにした仲間と出会うことができました。
仲間と共に思う存分サッカーに打ち込む彼女たちの姿は、とても楽しそうで、読んでいると胸が熱くなります。
監督目線で描かれる戦術バトル
この作品には数々の”名将”が登場します。強いチームには必ず優れた監督がおり、その監督のもと、高度な戦術が実行されます。
試合のシーンでは、個人技だけでなく、チームの戦術にもぜひ注目してみてください。「ポゼッションサッカー」や「ゲーゲンブレッシング」など現代サッカーの戦術を取り入れた高度な戦術バトルを楽しむことができます。
本作は、選手目線でも監督目線でも、サッカーの面白さを実感させてくれます。
過去作『さよならフットボール』とのつながり
新川直司先生は『四月は君の嘘』 の前に、『さよならフットボール』というマンガを連載していました。この作品は『さよなら私のクラマー』のプリクエル(前日談)的作品です。本作では中学2年生の恩田が主人公として登場します。
中学男子サッカー部に女性1人で混じり、フィジカルの違いに悩みながらもサッカーに打ち込む恩田の苦労が描かれます。
『さよならフットボール』読者からしたら、『さよなら私のクラマー』で恩田が初登場したシーンは驚きの瞬間だったのです。
『さよならフットボール』を読めば、恩田のこれまでのサッカー人生を知ることができ、『さよなら私のクラマー』をより楽しむことができます。
映像化
『さよなら私のクラマー』は、2021年4月にTVアニメと映画が公開される予定です。
映画
タイトル:『映画 さよなら私のクラマー ファーストタッチ』
公開日:2021年4月
『さよならフットボール』で描かれた中学時代の恩田希のストーリーが、劇場版では描かれます。
テレビアニメ
タイトル:『さよなら私のクラマー』
公開日:2021年4月
高校を舞台にした『さよなら私のクラマー』の物語がテレビアニメ版では描かれます。
キャスト
恩田 希:島袋美由利
越前 佐和:若山詩音
⭓キャストコメント⭓
主人公・恩田希を演じる島袋美由利さんよりキャストコメントが到着しました。
本作『さよなら私のクラマー』の印象、そして恩田希を演じる上での意気込みを伺っています。是非ご覧ください。https://t.co/ItiBZaQPMi#クラマー pic.twitter.com/CelE7pyYpV— 『さよなら私のクラマー』アニメプロジェクト公式 (@cramer_pr) September 3, 2020
☞『さよなら私のクラマー』アニメプロジェクト公式Twitter
作者情報
作者の新川直司先生は、2008年に『冷たい校舎の時は止まる』(原作:辻村深月先生)のコミカライズで連載デビューをしました。その後、先ほどご紹介した『さよならフットボール』2009年に連載開始、そして2011年に『四月は君の嘘』 の連載がスタートしました。
『四月は君の嘘』は2013年に講談社漫画賞少年部門を受賞しています。