今まで数多くのサッカーマンガが名作と言われ、世に生まれた。読者であるわたしたちを毎週興奮させた数多くの名作サッカーマンガの多くは高校が舞台になっていることに気付いているだろうか。
しかし『アオアシ』では主人公の青井葦人(あおいあしと)がクラブチームのジュニアユースにスカウトされるところから物語は始まる。
プロになる為だけが全てであるクラブチーム。だからこそ高校サッカーのような青春とは違う、一癖も二癖もある甘くない現実がそこにはある。
本気でサッカーを打ち込んでいた人にこそ刺さるリアルな描写は「昔に戻ってサッカーをもう一度やり直したい!」という気持ちになるはず。
クラブチームと高校サッカーの違い
高校サッカーとクラブチームで大きく違うのがサッカーをする目的だ。
高校サッカーでは冬の選手権で優勝することが目的。一方、クラブチームではとにかくプロになることが目的である。
そこに青春などはなく、生き残れないとプロにはなれないシビアな環境しかない。プロになるために仲間意識を捨てエゴの塊の選手もいれば、優しすぎて自分の主張が出来ずチームを去っていく選手もいる。
そんな厳しい世界で切磋琢磨していく少年たちに心打たれること間違いなし。
人間とは考える葦である
「人間とは考える葦である」作中に出てくるこの言葉は考えることの大切さを説いている。サッカーは野球などと違い常にプレーが途切れることはない。つまり試合中は常に自分で頭を使い、その瞬時に最高のプレイを選択しないといけない。
そして主人公である青井葦人はまさにそれを体現し、テクニックの無さを頭でカバーすることでクラブチームの中で急成長していく。
またそれを支えるコーチ陣のコーチングも素晴らしい。決して答えを教えずに自ら答えを出せるように導いていくのだ。
しっかりと主人公の成長過程が描かれているので、サッカー経験者なら同じ体験に対して共感するポイントがたくさんある。
主人公がフォワードからサイドバックに転向
サッカー漫画の主役といえばフォワードやトップ下が主流だが、この漫画では主人公がフォワードからサイドバックに転向する。
フォワードとは点を取ることが役割のポジションで、一番前のポジションである。それとは逆にサイドバックはサイドを守ることが役割のポジションなのだ。
全く違う役割のポジションへの転向に、読者も「そんなバカな!」と声を出してしまうだろう。しかしそこに納得の理由があり、むしろサイドバックに転向してからの方がマンガはドンドン面白い方向に進んでいく。
今一番サッカー経験者に読んで欲しい漫画
サッカーは頭を使うスポーツである。常に自分で考え行動しないと試合では活躍できない。サッカー経験者からすると当たり前のことだが、『アオアシ』を読むとさらに深く身に沁みる。
現在サッカーをしている人にとっては最高の教科書に!
元サッカー経験者からすると「昔に戻ってサッカーをやり直したい!」と思わせくれる作品です。
今一番サッカー経験者に読んで欲しい漫画と言えるでしょう!