カナリアたちの舟

高松美咲 / 著

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『カナリアたちの舟』その日、宇宙人に誘拐された女子高生は別の星で生きることになった

カナリアたちの舟』は宇宙人によって別の星にさらわれてしまった高校生の宇高ユリを描くサバイバルSFで、『スキップとローファー』の高松美咲先生初の連載作品です。

『スキップとローファー』とは全く違う世界観で、世界の終末が一人の少女の視点で描かれているのですが、同じ作者とは思えないほどの物語の振り幅が素晴らしく、ぜひ比べて読んでいただきたいです!

進路に悩む高校生

高校生の宇高ユリは高校最後の陸上の大会を前に、自分の進路について悩んでいました。受験はどうするのか、将来は何になりたいのか。提出しなければならない進路希望の期限を過ぎ、母からもチクチクと小言を言われて、気まずい雰囲気になってしまいます。

そんなある日、突然現れた何かのせいで、世界はまったく変わってしまったのでした。

カナリアたちの舟

ユリが次に目覚めたのは、地球とは全く別の星でした。

謎の男との出会い

誰かの声が聞こえて目を覚ましたユリは、目の前に白衣の男性がいることに気がつきます。男性は薬局に勤める薬剤師で北沢千宙(ちひろ)。千宙もユリと同じ五月十四日からの記憶がはっきりしないと言いますが、ユリより少し前に目を覚ましたらしい千宙は、この状況に少し慣れているようです。

カナリアたちの舟

ちょっと無気力な千宙の「これは自分の夢なのか、それともユリが見ている夢なのか」と言うセリフがとても意味ありげです。

カナリアたちの舟

信頼はどこから生まれるのか

ユリはこの世界で初めて見る多くのモノに出会います。見たことがない物は怖く感じてしまいますが、人間の形をしていれば無条件に信用ができるものなのでしょうか。

カナリアたちの舟

言葉が通じるから信用できるのか、信頼できる職業に就いていると信頼できるのか、内面をさらけ出してくれるからか、攻撃的な様子を見せないからか。

カナリアたちの舟

宇宙のまったく知らない星にいるということは、常識も文化も生活もまったく違います。ユリと一緒に未知なる世界を体験した時、出会う物をどうして信じたのか、どうして信じられないのか、ぜひ自分の気持ちの揺れ動きも感じて欲しいのです。

現実が全く変わってしまった世界

自分が生きる世界が突然変わってしまうことは、現実世界でもこれまでにありましたよね。2011年の震災もそうですし、2020年現在のコロナウイルスによる感染症もそうです。

カナリアたちの舟

ユリは自分の進路に悩んでいるところでした。でも、大学に行くとか就職するとか、これまで予想できた未来とは、まったく違う選択肢を生きなければならなくなってしまったのです。

人類の未来はユリの決断しだい

自分の未来を考えていたユリは、最終的に人類の未来の選択を迫られるような場面に遭遇します。ユリの決断が正しいか正しくないかは分かりません。その後世界がどうなるかも。ですがどんな時でも、私たちは選ぶことができる立場にあるような気がして、ユリと人類の新しい未来の幸福を願いたくなるのです。

カナリアたちの舟

壮大なSFファンタジーをぜひ味わってみてください!

物語はここから始まる

物語が終わった後に、本当の物語が始まるかのようです。

カナリアたちの舟 (アフタヌーンコミックス)
高松美咲/著

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