トリリオンゲーム

稲垣理一郎 / 原作 池上遼一 / 作画

『トリリオンゲーム』最新刊2巻発売!作画・池上遼一先生が今明かす、本作に抱いた不安と恐れ

話題沸騰中の起業マンガ『トリリオンゲーム』。

原作は『Dr.STONE』の稲垣理一郎先生、そして作画は『サンクチュアリ』の池上遼一先生というマンガ界のビッグな2人がタッグを組んだ本作。

パソコンの知識は人一倍だけれど、社交性が低く気弱なガク。対して、類稀なるコミュニケーション能力と着眼点、そして行動力を持つハル。この正反対な2人が100兆円長者(トリリオンダラー)になるまでを描くサクセスストーリーです。

非常にシンプルなストーリーですが、作中では実際の企業名を出していたり、有名な起業家や投資家の方に取材をして起業の現場をリアルに描いている点、そして楽しくド派手で痛快なキャラクターたちによって魅了される読者が続出しています。

そんな話題作『トリリオンゲーム』の最新刊2巻が8月4日に発売されたのですが、発売日の前日に作画の池上遼一先生が自身のTwitterで明かした、連載当初に本作に抱いた不安と恐れが大きな反響を呼んでいます。

池上遼一先生が抱いた不安と恐れの正体

突如明かされた『トリリオンゲーム』の裏話。

池上遼一先生が、不安と恐れを抱いた理由。それは、稲垣理一郎先生の原作が「ネーム原作」だったからでした。

それもそのはず、まず池上遼一先生が今まで組んできた原作者から受け取る原作はすべて脚本形式だったのです。脚本形式の場合は、作画担当である池上遼一先生がその内容を理解し、自分なりにイメージを膨らませて演出を考えながらコマを割り、下画を入れていきます。これがネームと呼ばれる作業です。

また、池上遼一先生自身、ネームに対してはこんな思い出があったと語ります。

今から50年以上前。僕が水木しげる先生のアシスタントをしていた頃、或る先輩漫画家が「漫画はネームが完成した段階で仕上がったようなものだ」と断言していたことが今もって忘れられません

それに対して、稲垣理一郎先生の原作は「ネーム原作」である上、計算し尽くされたコマ割りに微妙な表情まで描かれ、キャラクター心理までもが(稲垣理一郎先生の手による)下画で表現されていました。その完璧な原作に、池上遼一先生が絵だけを入れると言うことは、先生自身が積み重ねてきたマンガ家としての創作領分を捨てることになってしまうという葛藤を抱いたのです。

不安と恐れ、そして葛藤を払拭した先に

そんな池上遼一先生を悩ませた『トリリオンゲーム』ですが、その悩みを払拭したのもまさにこの作品だったのです。

しかし、僕の悩みを払拭するのに時間はかかりませんでした。稲垣先生の原作を繰り返し読むうちに、この若く、清新な世界観の中で、僕の絵描きとしての存在意義を発見できたからです

原作を繰り返し読むうちに、自分自身の新たな存在意義を見出した先生が考えたのは、自身が今まで培ってきたリアルな画風はそのまま活かすこと。

そして稲垣理一郎先生独自のコマ割り、巧妙に引かれた伏線から生み出されるギャグを忠実に絵にすること。さらに稲垣理一郎先生の世界観に絵を近づけるために、キャラクターの表情に微調整をかけることでした。

池上遼一先生といえば、『サンクチュアリ』『BEGIN』などで描かれるような、思わずキャラクターの呼吸を感じるほど緻密な劇画タッチな絵が印象的ですが、トリリオンゲーム』でハルやガクたちを見て感じたのはキャラクターたちの性格が伝わるような表情の豊かさ。

セリフがなくともキャラクターたちの「喜怒哀楽」そして、只者ではない「オーラ」がひしひしと伝わってきます。

池上遼一先生の作画がさらに光る、最新刊2巻

池上遼一先生が今まで抱いていたマンガ制作の固定概念を覆す作品となった『トリリオンゲーム』。

戸惑いはありませんでした。僕の持論では漫画にとっての絵とは小説の文体のようなもの。ストーリーとテーマにマッチしていればどんな絵だっていいわけです。そしてそれでもなおにじみ出るものがあれば、それこそが僕の作家としての個性だと思うのです

最新刊となる2巻では、好条件の出資を狙いドラゴンバンク主催のハッカー大会に挑むハルとガク。勝てば出資金獲得、負ければ2巻の表紙を飾る桐姫の奴隷に...!?

さまざまな妨害を受けて圧倒的に不利な状況でハッカー大会に挑む2人ですが、私たち読者の想像を絶するハルの超作戦にページをめくる手が止まりません。予想不可能なストーリーはもちろんですが、2巻を盛り立てているのは、やはり今まで以上に不敵な表情を浮かべるハルや圧倒的なオーラを放つ新キャラの祁答院。

まさに池上遼一先生の作画がさらに光る最新刊。ぜひチェックしてみてください!

100兆!

トリリオンゲーム(2) (ビッグコミックス)
池上遼一/著,稲垣理一郎/その他

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