ハイパーミディ 中島ハルコ

東村アキコ/著,林真理子/著

堂々完結『ハイパーミディ中島ハルコ』!私たちはハルコさんにこれからも蹴散らされたい!

2018年から「ココハナ」にて連載をしていた『ハイパーミディ中島ハルコ』が2021年5月25日発売の第4巻にて完結しました。

ハイパーミディ中島ハルコ』は小説家・エッセイストの林真理子先生による『最高のオバハン 中島ハルコの恋愛相談室』を、『東京タラレバ娘』『海月姫』等ヒット作品を生み出し続けている東村アキコ先生がコミカライズした作品です。

中島ハルコが悩める大人たちに対して容赦ない喝を入れる、痛快コメディとなっています。

また2021年4月には「最高のオバハン 中島ハルコ」というタイトルで実写ドラマ化がされ、中島ハルコ役を大地真央さんが演じました。

『ハイパーミディ中島ハルコ』とは

中島ハルコとはどのような人物なのか

中島ハルコは美容系情報サイトの社長を務める52歳、バツ2の独身で生粋の名古屋人。その風貌は洗練された着こなしでブランド品や宝石を身にまとうキャリアウーマンです。とにかく無駄が嫌いで、誰に対しても物おじせずに物申すハルコさんを誰もが一目置いています。

あらすじ

10年以上不倫関係を続け婚期を逃している、フードライターの菊池いづみは取材で訪れたパリで中島ハルコと出会います。不倫相手に貸した300万円も返ってこず、関係も低迷し落ち込んでいるいづみに対してハルコは他にも女がいると断言!さらに相手の本性が見え、借金も返ってくる荒療法をいづみに伝授します。有無を言わさぬハルコの迫力に驚くいづみでしたが、その通りに行動を起こすと何ともあっさり事は片付くのでした。

それ以降、ハルコと何かと行動を共にすることとなるいづみ。ハルコが悩める大人たちに対して放つ圧巻の毒舌と正論っぷりを間近で見て、いづみ自身も少しずつ変わっていきます。

『ハイパーミディ中島ハルコ』最新4巻レビュー

物語が完結となる第4巻では、4人がハルコさんに下記の悩みを相談します。

  1. 兄妹間の相続問題

  2. 梨園の妻が抱える夫の浮気問題

  3. 妾の子であるが故の結婚問題

  4. 最後はいづみのマリッジブルー問題


どの問題も重く、簡単にはアドバイスが出来そうにもない内容のはずですが、ハルコ節でバッサリと論破し解決へ導く様子はとてもスカッとします。特に最終回は結婚式やる・やらない問題に対してハルコさんが物申す回となりました。

紆余曲折ありながらもハルコさんのアシストでついに入籍をしたいづみ。ハルコさんはいづみの結婚式を楽しみにウキウキと着物を新調しようとするが、いづみは浮かない顔で結婚式はやらないつもりと言い出します。相談を聞いたハルコさんは、どちらの選択をするにしても、どちらかが我慢するのではなく、まずは初めにお互いの想いをしっかりと伝えることが大切キャッチ―ボールに例えて力説するハルコ節は最後まで爽快です。

なぜ中島ハルコは魅力的なのか

一見するとケチでズケズケとものを言う傍若無人なオバサンに思えるハルコさん。でもその発言は鋭い観察眼で相談相手を見抜いています

正論をぶつけられても、素直に受け入れられない場合もありますが、ハルコさんの言葉には背中を押してくれる愛を感じることができます。ハルコさんに叱られたい、そこには問題に対して自分で立ち向かうパワーを分けて欲しいという想いがあるのではないでしょうか。

そして、私たちが常識だと思い込んでいる型を目の前で蹴散らすハルコさん。蹴散らされて初めて私たちは眼を覚まし自分で考えるようになります。生きづらさを感じる世の中を嘆くのではなく、ほんの少しの自分の視点をずらしてみれば道は広がっていることに気づかされます

人間 いくつになっても 新しい人生に 向かって進んで いかなきゃ

引用元:『ハイパーミディ中島ハルコ』第4巻 #13

ハルコさんの名言にあるように、私たちはもっと人生を楽しむことができるはずです。でも悩んだときはこれからもハルコさんに蹴散らされたいと思ってしまうのでした。

中島ハルコの向かうところ敵なし!

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