新しいマンガを読もうと思った時、インパクトのあるタイトルに惹かれてつい手に取ってしまった...なんて経験はありませんか? 例えば『ブス界へようこそ』。
確かにタイトルから内容が連想できなかったりすると、その作品に対して一層興味を掻き立てられことがありますよね。
そして本作は、2020年の春にAmazonが開催した「第1回 Kindleインディーズマンガ大賞」でこの衝撃的で挑戦的なタイトルの作品が大賞を受賞した話題作でもあるんです。
その名も『ブス界へようこそ』
河野大樹先生の『ブス界へようこそ』は、生前にブスと罵られ自殺した主人公が「ブス界」と呼ばれる不思議な世界で目覚めるところから始まります。
ブス界では、自分よりも綺麗な人を食べることで、今よりも綺麗な身体を手に入れることができます。そして、ブス界で一番綺麗になった時、その綺麗になった身体で生き返ることができるのです。
ブスと罵られる人生に疲れて死を選んだにも関わらず、皮肉にも生前とは比べものにならないくらい壮絶な競争が繰り広げられるブス界に辿りついてしまったのです。
衝撃的なタイトルと設定、そして容姿の描写に複雑な気持ちを抱く方もいるのではないでしょうか。
けれど、『ブス界へようこそ』が描いているのは容姿の大切ではなく、自分を信じて受け入れることの大切さなのです。
ブス界で主人公が見つけた闘い方
過酷なブス界で、ただただ周りに圧倒されて逃げ続ける主人公。
ですが、ブス界では綺麗になれなかったブスを回収して資源に加工するという厳しい決まりがあるため、逃げているだけでは生きていけません。
そんな時にレベル2と呼ばれる回収班と班長の万子、そしてブス界の頂点に立つレベル4の砂子がやってきます。
圧倒的な強さによって、無残にも回収されていくレベル1や2を眺めていた主人公でしたが、彼女も闘いに巻き込まれていきます。
闘い方が分からず殴られるままの主人公でしたが、ファクマと呼ばれる資源を原動力に動く乗り物から言葉を投げかけられ、闘いに目覚めます。
そして「何でもいい、なりたいものに成り切れ」とファクマにアドバイスされた彼女が思い浮かべたのは、生前に自分が憧れたアイドルでした。
周囲にブスと罵られたことをきっかけに容姿に自信が持てず、誰にも夢を語れず家で一人寂しくアイドルのダンスを真似した日々。
生前はそんな自分の夢や得意を肯定することができなかったけれど、この世界で彼女は自分の得意なことを力にして闘うのです。
自分を肯定することでさらに強くなる
闘うことに覚醒した彼女は、自己を肯定することでさらに強さを発揮していきます。
ですが、圧倒的な戦闘経験と力によって窮地に立たされてしまいます。
そんな時、彼女を助けたのは彼女の闘い方に心を打たれたかつての敵たちでした。
自分なりの闘い方を見つけて強さを増していく主人公と、そんな彼女に心動かされていくブス界...。この勝敗の行方は、ぜひ『ブス界へようこそ』をご覧ください。
ブス界での本当の闘い
衝撃的というよりもタブーさえ感じるタイトルを掲げる本作は、内容に関わらず嫌厭される方もいることでしょう。
ですが、主人公にとってブス界での本当の戦いは、容姿を綺麗にすることではなく、生前に自分が出来なかった自尊心を守る戦いなのです。
また、作中に登場する主人公の叫びを見ていると、『ブス界へようこそ』をタイトルにした河野大樹先生自身の強い挑戦心を感じます。
タイトルに惹かれたあなたはもちろん、反対に手がすくんでしまったあなたも、まずは本編を読んで見てください。
自分が強くなる為に必要なものは
河野大樹先生に制作背景を伺ったインタビューもぜひご覧ください!