メタモルフォーゼの縁側

鶴谷香央理

 学校で息苦しさを感じている全てのあなたに『メタモルフォーゼの縁側』を

「クラスの人と本音の話はしにくい」

「空気は読める、正解はわかる、でもしんどい」

「部活の派閥も、クラスのグループもめんどい」

中学校や高校でそんな思いを抱えている人、あるいはかつて抱えていた人に紹介したいマンガがあります。

BL作品をきっかけに女子高生とおばあちゃんが友達になる物語

紹介したいのは『メタモルフォーゼの縁側』という作品。

あらすじをざっくり説明するとこんな感じです。

  • 主人公は17歳の女子高生と75歳のおばあちゃん。

  • 女子高生はBL(ボーイズラブ)作品が好き。

  • ある日、おばあちゃんは偶然入った書店で「綺麗な絵のマンガ」を購入する。

  • その書店でバイトをしていた女子高生は、そのマンガが自分も好きなBL作品であることに気づく。

  • 「同じマンガが好き」な2人は友達になり、一緒に出かけたり感想を言い合ったりするようになった。

「なんでこれをすすめるの?」と思う方もいるでしょうが、僕なりに理由があるので説明させてください。

メタモルフォーゼの縁側
鶴谷香央理

メタモルフォーゼの縁側(1) (カドカワデジタルコミックス)
鶴谷香央理/著

『メタモルフォーゼの縁側』をすすめる理由

  1. 学校の外の世界を感じてほしい

  2. 学校とは真逆の「同じ」と「違う」を感じてほしい

  3. 内面的な「同じ」でつながる楽しさを感じてほしい

それでは、いつもの通学路で少しだけ寄り道してみましょう!

学校の外の世界を感じてほしい

学校には友達もいるでしょうし、部活や学校行事など楽しいことも多いと思います。

でも毎日同じ教室や同じ部室に通っていて、ふと何か違和感を感じることはないでしょうか?

教室や部室が、迷路のようにどこまでも続いているような気がしたり。

授業中に窓を見て、街の景色がやけに遠く感じたり。

家と学校を往復するうちに、それが世界の全てになったように感じたり。

このマンガは、女子高生が学校の中とは全く違う「つながり」を作っていく物語です。

好きなマンガをきっかけに交流する主人公たちを通して、今いる場所とは違う所に「同じものが好きと言える仲間」がいることの楽しさを感じてほしいのです。

学校とは真逆の「同じ」と「違う」を感じてほしい

学校には、わかりやすいカテゴライズで同じ人が集まっています。年齢、住む地域、偏差値などなど…。

そういう意味では主人公2人は違う部分の方が多いでしょう。年齢をはじめ、見てきたものや食べてきたのもの、学校で教わった内容だって違います。

そんな2人を繋ぐのは「このマンガが好き」という共通の想い。「それが同じであるだけで、どんな違いも関係なく仲良くなれる」というものが、人生にはあったりするのです。

内面的な「同じ」でつながる楽しさを感じてほしい

自分の内側から出る想いが、誰かに繋がったら。

「◯◯が好き」「〇〇をやりたい」そういったことに共感し、理解し、応援してくれる人がいたら、とても楽しそうだと思いませんか?

もちろん学校の中で見つかればそれもいいのですが、人間関係の紐や別の世界への道は、学校の外へも太く続いていると感じてほしいのです。

学校の中でふと呼吸がしづらくなった時、この作品を手にとってみてください。きっと通学路の寄り道の先は、知らない世界に繋がっています。

メタモルフォーゼの縁側 (全3巻) Kindle版