「パリ・コレクション」。それは、トップモデルの中のほんの一握りのみが参加を許されるファッションの祭典。日本人モデルにも参加した方はいますが、どの方もとても整ったプロポーションです。この世界のトップに参加するには想像できないほどの努力と、そして努力では変えられない身長が必要になります。
夢と変わらない現実
夢を持つということは非常に大切なことだと思います。夢は行動の原動力になり、具体的な目標は諦めそうになる心を奮い立たせます。多くの成功者はその夢によって力をつけ、努力したのでしょう。しかし、一方で身体的特徴や経済的状況など変えることのできない現実があります。自分の持つ夢とその現実がかみ合わないとき、あなたはどうしますか?
あらすじ
「パリ・コレクション」にあこがれた主人公「藤戸千雪」は小学4年生で158cmの身長があり、将来を期待されていた。その8年後、高校3年生になった彼女はそれから1cmも伸びず、158cmのままであった。この身長では自分の父親が経営するモデル事務所「ミルネージュ」に所属し、パリ・コレクションに参加することは無理と言われてしまう。
千雪と同じ高校に通う「都村郁人」は手芸部に所属し、妹の服を手作りするなど貧しいながらも服を作ることが好きな男子である。ファッションデザイナーになりたいという夢を持っているが、経済的理由からその夢を無理だと諦め、就職を考えていた。
この二人が出会い、自分の本当の夢に気づかされた千雪は郁人に「自分が一番魅力的に着れる服」を依頼し、再び「ミルネージュ」のオーディションに挑むのであった。
努力で変えられるもの
努力で変えられるものと変えられないものがあります。このマンガはそうして変えられるものとして「自分の気持ち」と、「世界」を置いていると私は考えます。
千雪の身長のように、郁人の経済状況は自分の努力で変えられないものかもしれません。その代わり、彼らは自分の気持ちを変え、無理だと思う心を吹っ飛ばしました。そして彼らは自分のいる世界を変えようと努力します。千雪は「身長がないと無理」なファッション界を変え、郁人は「知識も設備もお金もない」自分の世界を変えるのです。
私たちも変えられないものに嘆くのではなく、変えられるものに目を向けることが必要なのではないでしょうか。私たちが思うより変えられるものは多いはずです。
ゾクッとした瞬間
このマンガには時折、背中に鳥肌が立つシーンがあります。髪の毛が逆立つような、血液が逆流するような興奮があるのです。
この感情は読んだ人にしかわかりません。なので、ぜひとも皆さんにもこのマンガを読んで体験してほしいと思います。
ファッション業界について詳しく書かれているので、モデルとして、デザイナーとして、その他の仕事として関わりたいと夢を持っている方にも強くお勧めしたいマンガとなっています。単行本バージョンでは各話の間に補足説明やプラスアルファの知識が載っているので、ファッションの知識がなくても楽しめます。これを読めばファッションに興味を持ち、楽しく学べること間違いなし!
ランウェイで笑って
これは藤戸千雪がトップモデルに至るまでの物語。
そして
津村郁人がトップデザイナーに至るまでの物語。
二人が歩くランウェイを一緒に歩んでみてはいかかでしょうか。