妬み、恨み、嫉み。
大人になったんだからそんな感情からは卒業したいのに、油断するともやもやしてしまう。
できることなら愛とか尊敬とか信頼とか、そんなまっとうで美しい感情だけを軸に生きていきたいのに人間ってそんなに簡単にはいきません。
嗚呼自己嫌悪！！！と自分のことが嫌いになりそうなときに手に取ってほしいマンガ『不思議な少年』を紹介します。
作品概要
『不思議な少年』は現在、「モーニング」にて『ランド』を連載中の山下和美先生の代表作の1つです。
少女マンガ誌での連載経験もある山下先生の柔らかく繊細なタッチで描かれるのは、永遠の命を持つ美しい「少年」。
「少年」は姿形を自在に変えながら人間達の前に降り立ちます。
まず謎めいた「少年」の美しさに魅了されますが、読み進めるごとに生と死の狭間に追いやられた人間の生々しい心情や、日常にふっと現れる奇跡のような瞬間が緻密に表現されており、どんどん目が離せなくなります。
「少年」は様々な人間達と出会い、問いかける
「少年」は問いかけます。
あるときは父親が兄弟達と財産を争い、殺し合う場面を目の当たりにした幼い少年に。
死を目前とした盗賊団の頭に。
またあるときは古代ギリシャのソクラテスなど様々な時代の人間達に。
生死の狭間での究極の問いかけに、それぞれの答えを出していく人間達。彼らを通して自分の生き方、自分が本当に大事にしたいことが何かを深く考えさせられます。
「少年」をも論破してしまう哲学者ソクラテス
たくさんの人間達の中でもずば抜けて「少年」を驚かせたのは古代ギリシャの哲学者ソクラテス。
意外にも可愛いソクラテス！！
とてもキュートなソクラテス、しかしそのあふれる好奇心と探求心が自身を処刑へと追い込んでしまいます。
自らの処刑の運命を理解し、受け入れているソクラテスに納得できない「少年」。
処刑で死ぬには惜しいほどの知性を持つソクラテスを未来の旅へと連れ出します。
話し合うことを疎かにし、争いを繰り返す未来の人間達に嘆き絶望するソクラテス。
しかしある人間との出会いで、ソクラテスの死後もその魂は不滅であったことを見事証明してしまうのです。
ソクラテスが本当はどんな人柄だったのか知る人間はもうこの世にはいませんが、人間って凄い！捨てたもんじゃないなと心から思えた神回。
人間は醜くさと美しさを併せ持つ不思議な生き物
人間はどの時代、どの国でも奪い合い、憎しみ合い、殺し合ってきました。
相手が血のつながった兄弟であろうとも、妬みや憎しみの種が心に落ちてくることも。
負の感情に苦しんだり、時には間違いを起こしそうになることが人間なら必ずあると思います。しかし、死の恐怖に打ち勝つ人間や、愛に満ちた人生を送る人間も確かに存在しているのです。
マンガ『不思議な少年』には、在りたい自分として生きるためのヒントがたくさんちりばめられています。
あなたも「少年」と人間を見つめる旅に出ませんか？
2020年6月現在、9巻まで発売されている『不思議な少年』は1話完結型。
どの巻から読んでもあらゆる時代の人間の生き方を覗くことができ、必ずあなたの悩みに寄り添うストーリーに出会えます。
引きこもり生活がまだまだ続く今、「少年」と人間を知る旅に出てみませんか？
美しい「少年」と人間の不思議を見つめる物語
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