2020年の夏に取り壊される危機を乗り越えた、世田谷区にある明治建築の水色の洋館の家主は、実はマンガ家の山下和美先生!
本記事では、取り壊しは免れたものの、長く後世に歴史的建造物を残していくために、保存活動に奮闘するリアルタイムドキュメンタリーマンガ『世田谷イチ古い洋館の家主になる』と、山下和美先生がプロジェクトリーダーを務める「旧尾崎邸保存プロジェクト」についてご紹介します。
目次
- 完全ドキュメンタリー『世田谷イチ古い洋館の家主になる』とは
- 「守りたい想い」だけでは、守れない!歴史的建造物を守る怖さと覚悟
- 解体は免れた洋館を保存し活用していくためのクラウドファンディングが開催中!
- クラウドファンディング限定のマンガ家先生のオリジナルリターンを紹介
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完全ドキュメンタリー『世田谷イチ古い洋館の家主になる』とは
2021年1月にグランドジャンプにて連載が始まった『世田谷イチ古い洋館の家主になる』は、ご自身でも数寄屋造りの家に住んでいるくらい「建物好きなマンガ家」として知られている山下和美先生のドキュメンタリーマンガです。
物語は、世田谷区の閑静な住宅街の一角に佇む水色の洋館「旧尾崎行雄邸」に山下先生がひと目惚れしたところから始まります。
山下先生は、世田谷区にお住まいですが、お住まいを世田谷にしたきっかけはこの洋館があったから!それほど惚れ込んで、山下先生にとっては生活風景の一部になっていた洋館が、ある日、土地ごと売却されるらしいとの話が舞い込んできました。
しかし、館の土地は約200坪、東京都世田谷区、そして駅から徒歩6分の好立地。とても個人で買える金額ではありません。どう考えても壊されてしまうはずだった洋館の家主に、なぜ山下先生がなることになったのか?フィクションのようでどんでん返しが満載のノンフィクション作品となっています。
▼「グランドジャンプ」で連載中の第一話はこちらからどうぞ!
「守りたい想い」だけでは、守れない!歴史的建造物を守る怖さと覚悟
『世田谷イチ古い洋館の家主になる』が載っているグランドジャンプは今日発売ですー。
山下が不動産屋と対決?
怖かったんだよう‥ pic.twitter.com/U0YDIIB4sj— 山下和美(17日よりモーニングで新連載、世田イチ第1巻6月18日発売) (@kazumiyamashita) April 21, 2021
洋館を愛する近隣住民の方に呼び掛けて、洋館を残す方法を試行錯誤する山下先生たち。TwitterやFacebookを使って賛同を集め、売却を止めるために大きな力を得るため、ありとあらゆる方法を試していた様子も描かれています。
建物周辺の私道利用者との協議や、役所との開発許可(土地を分割して分譲するために通す新しい道路を作る許可)、そして家主と売買契約を結んでいる不動産業者との交渉。複雑な制度やお金も絡んで、ときには背筋の凍るような場面もあって、ハラハラドキドキ。
「3億出せるんですか?」 「あなたは家主さんに迷惑をかけているんですよ」
山下先生ご自身が体験した「怖さ」は、大きなお金や様々な人が関わっている場面ではよくあることなのかもしれませんが、自分のコントロールできる範囲を超えた出来事に恐怖を感じることには激しく共感してしまいます。
怖い思いをしても諦めず、地道に少しずつ物語を転がしていく様子からは、想いだけでは乗り越えられない「絶対に残すんだ!」という覚悟が垣間見えます。
少しずつ増えていく不思議なご縁や、突きつけられるリアルな現実。そして、このプロジェクトに関わる多くの人の想いと情熱。そのどれもがドラマチックで、この物語は「解体は免れた」というエンディングであることはわかっているのに、その過程が気になって仕方がない作品となっています。
解体は免れた洋館を保存し活用していくためのクラウドファンディングが開催中!
2020年夏に解体は免れた「旧尾崎邸」ですが、現状ではまだまだ問題が山積みです。歴史ある洋館を壊されないため最低でも1億円はかかるという補修費の一部を支援してもらうためのクラウドファンディングが2021年7月28日まで開催されています。
家主の山下和美先生をはじめ、複数のマンガ家先生がプロジェクトに参加している「旧尾崎邸保存プロジェクト」では、漫画家先生らしいリターンが満載のクラウドファンディングとなっています!
参加されているマンガ家先生
▼山下和美 第25回(2021年)手塚治虫文化賞「マンガ大賞」を受賞した『ランド』
▼青木俊直先生 代表作『ripple』
▼笹生那実先生 代表作『薔薇はシュラバで生まれる-70年代少女漫画アシスタント奮闘記-』
▼永野のりこ先生 代表作『電波オデッセイ』
▼山下和美先生と笹生那実先生の思いも収録されたクラウドファンディング関連動画はこちら
高度成長期以降、数多くの美しい歴史的建造物が開発や持ち主が維持し切れなくなったなどの理由でその姿を消してきました。 明治21年築の水色の旧尾崎邸もその困難に直面しましたが、ギリギリのところで解体を免れることが出来ました。 これは本当に奇跡と言っていいと思います。 でも、ストーリーはそこで終わってはいません。 これからが始まりです。 この館は今現在所々劣化していますが、基礎はしっかりしています。 世田谷で一番古い、東京都でも5本の指に入る古い、美しい、かわいい洋館としてその姿をもう100年はとどめることが出来ると、私は信じています。 次の世代にこの館を美しい形で残すために、どうか皆様の力を貸してください。 宜しくお願い致します。 山下和美
クラウドファンディング限定のマンガ家先生のオリジナルリターンを紹介
築130年以上の英国式洋館を守り続けるために、クラウドファンディングご支援お願い致します!🙏
旧尾崎行雄邸保存プロジェクト(山下和美、笹生那実) https://t.co/vwEJj4g15g
青木俊直 @aoki818 先生、永野のりこ @dempaantenna 先生にもご協力いただいたリターンの一部をご紹介いたします❣️ pic.twitter.com/uYPvsbZsSq— 旧尾崎邸保存プロジェクト(公式) (@ozakitei1) April 20, 2021
今回支援の返礼として設定されているリターンは、今回のクラウドファンディング限定の品もあります!リターンの一部を紹介します。
クリアファイル イラスト:永野のりこ先生・山下和美先生
洋館と少女と子猫のイラストは永野のりこ先生の描き下ろし。山下和美著「世田谷イチ古い洋館の家主になる」単行本第2巻の巻末に名前が掲載されます。
オリジナルバンダナ デザイン:青木俊直先生
補修前の洋館の間取図面がオリジナルバンダナに!綿100% なので大判ハンカチとしても。山下和美著「世田谷イチ古い洋館の家主になる」単行本第2巻の巻末に名前が掲載されます。
複製掛軸「黒猫」 絵:山下和美先生
山下和美先生、描き下ろし毛筆画の複製掛軸。掛軸の箱に直筆サイン(イラストなし)入り。山下和美著「世田谷イチ古い洋館の家主になる」単行本第2巻の巻末に名前が掲載されます。(複製掛軸はクラウドファンディング限定)
まだまだ進行中の本プロジェクトは以下のSNSから経過を追うことができます!補修後にカフェやフォトスタジオとして再利用も予定されています。
今までの歴史とこれからの歴史を刻む新たなホットスポットになりそうな「旧尾崎邸」が、新しい命が吹き込まれる過程を一緒に見守りましょう!