『シドニアの騎士』でも知られる弐瓶勉先生の『人形の国』は、超古代文明の遺跡によって覆われた地底空間がほとんどの体積を占める人工天体・アポシムズを舞台にしたファンタジーです!
謎の少女と追跡者たち
メタリックな世界の中で、人々は人形病という奇病に苛まれながらも、懸命に暮らしていました。ある時、戦闘訓練のために遺跡層に下りてきていたエスローたちは、帰りがけに何者かに追われる少女を見かけます。
少女の名前はタイターニア。追いかけていたのはリベドア兵で、タイターニアはリベドア皇帝の野望を阻止するために、あるコードと弾丸を持って逃げていたのでした。そのコードがあれば「正規人形」という特殊な状態になることができるのです。
リベドア兵に仲間を撃たれたエスローは、自分たちの身を護るためにリベドア兵を射殺し、その痕跡を隠します。
壊滅した町からの逃亡劇
リベドアの追撃を確信するゼゾは、正規人形になれる者の一人でした。町の人たちを守りながら300年も生きてきた彼は、みんなと城を出ることを決めます。
しかし、リベドアの侵攻は早く、ゼゾたちが城を離れる前に城が襲われてしまいました。これから旅が始まるのかな、というところでの急展開に読んでる側にも衝撃が走ります!
正規人形であるゼゾは、鎧化(ガイカ)することで身体能力を上げて応戦しますが…。
リベドアの圧倒的な戦力の前に制圧されてしまいます。物語に入って出会い、親しみが湧いてきた感じの登場人物たちが次々とやられていくのが本当に辛い!
ゼゾや捕まった仲間を救おうとしたエスローですが、反撃を食らって死にかけます。エスローはほぼ即死だったのですが、タイターニアはエスローの脳の処理速度を異常に加速することで、一瞬の間のエスローとの会話を試みます。
フィクションのはずなのに「こういうことできそう」というリアリティを感じさせるこういう独自表現がすごくて、自分もこの天体にいるような気になれます。
エスローはタイターニアの説得に応じ、彼女のコードが持ち逃げしたコードを使って正規人形となります!
これにより、エスローは地底の中央制御層を覆う壁を破壊することができるほどの強力な力を手に入れました。
中央制御層には星を維持する制御装置があり、リベドア皇帝はエスローが得た力を使って中央制御層への侵入をもくろんでいたのです。
世界観の描写が美しすぎる
全体的に色の強弱が少なめの淡い画面に惹き込まれてしまいます。
よく見ると、ベタを使わずスクリーントーンと線で影の強弱が表現され、ディティールは常に全てが描かれています。
文字のない絵だけの画面の迫力に目が離せません!
建物のデザインもすごく綺麗で、本当にこういう町がありそうな気がしてしまうほど。
特殊なコードによって正規人形となってしまったエスローの運命は!?
独特な世界観にくぎ付けになること間違いなし。ぜひ、美麗な絵と共にお楽しみください!