図書館戦争 LOVE&WAR 別冊編

弓きいろ / 著 有川浩 / 原作

グランドフィナーレ目前!『図書館戦争 LOVE&WAR 別冊編』本を守るために戦う図書隊のもう一つの締めくくりを見届けよう!

図書館戦争 LOVE&WAR 別冊編』は2008年 SF作品に贈られる星雲賞を受賞した 有川ひろ先生の小説「『図書館戦争』シリーズ」のその後を少女マンガ感満載に描く完全コミカライズ作品で、作画を弓きいろ先生が担当されています。

『図書館戦争』とは

図書館戦争』の舞台は2019年の架空日本。公序良俗を乱す表現を取り締まる「メディア良化法」が成立して30年。行き過ぎた検閲から良書を守るための組織・図書隊に入隊した1人の新人隊員・笠原郁を始めとする図書隊が国家権力である良化特務機関に立ち向かうストーリーです。アニメ化・アニメ映画化だけでなく、2013年と2015年に実写映画化・特別ドラマも放映されています。

長く愛される理由3つ

小説が刊行されたのは2006年~2008年。以降続編が発表されず、完結しているにも関わらず、今も根強く愛される『図書館戦争』の魅力に迫ります。

1 実在する日本図書館協会が掲げる<図書館の自由に関する宣言>の世界観に共感

<図書館の自由に関する宣言> 第1 図書館は資料収集の自由を有する。 第2 図書館は資料提供の自由を有する。 第3 図書館は利用者の秘密を守る。 第4 図書館はすべての不当な検閲に反対する。 図書館の自由が侵されるとき、我々は団結して、あくまで自由を守る。

作者の有川ひろ先生がこの宣言に出会い、図書館という一見すると文系のおとなしそうな組織が、こんなにも激しい一面を持っていたことに感化され、事が起これば「団結する(して戦う)」と宣言しているその部分を極端化した物語として、『図書館戦争』が生まれました。

武力を行使してまで命懸けで本を守る図書隊に、最初は「本のためになぜ?」と困惑する方も少なく無いかもしれません。ですが読み進めるうち、知らず知らずのうちに狩られていく「言葉」や、続きを楽しみにしていた「本」がある日突然読めなくなることへの恐怖は決して空想だけのものではないのかもしれない、この世界のどこかで明日にでも起きることなのかもしれない、という漠然とした不安が心の何処かに芽生えるかもしれません。作品を通じ、何より本を愛する人々の持つ思いはやがて当初の困惑を越え、本=文化の種を支えるという図書隊の強い思いに同調できるようになるはずです。

『図書館戦争』は、そんな緊張感を持つ作品でした。そのハズでしたが…!

2 不器用な登場人物たちのラブコメにキュン死

『図書館戦争』のタイトルにあるように、激しい検閲抗争(不適切な表現が含まれる図書を強権的に取締ること)が物語の中心にある本編の『図書館戦争』シリーズは正に戦争真っ只中のピリッとした空気感の中で物語が進んでいきますが、本編の続編である『図書館戦争 LOVE&WAR 別冊編』は激しい抗争は少なめで、登場人物の過去のエピソードや心情の変化を描いている事もあり、ほのぼのとしたラブコメ割合が高くキュンキュンポイントが多いのがたまらない、本編シリーズとはまったく趣を変えた作品です。

  • 踏み込んだお付き合いができない26歳純粋培養乙女茨城県産

  • 本当はずっと前からお互いのことが気になっているのに、あえて向き合わずに背を向けあう2人

  • 大学時代の失恋を引きずったまま、どこか相手の事を意識しつつもアラフォーになった2人

「ちょっと、まどろっこし過ぎやしない?」とヤキモキしながらも、少しずつ進展していく恋愛模様。相手の事を思いやるあまり、素直になれなかったり、自分の主張を飲み込んだり…。

不器用すぎる!だから目が離せないんです!

3 原作にはない弓きいろ先生が描くスピンオフストーリーが満載

なんと言っても、マンガでしか描かれていないシーンや、弓きいろ先生のオリジナルストーリーが随所に盛り込まれているところが魅力です。クスッと笑えるマンガならではの彼らの表情や、原作には描かれていない甘々なラブシーンをぜひ楽しんでみてください。

作者の有川ひろ先生は、ラブシーンをさっぱりと言葉少なげに表現されるので、「この後は読者の想像にお任せします」といったスタンスです。一方、作画を担当されている弓きいろ先生は、小説では語られなかった細かな描写や、シーンを膨らましてこれぞ王道の少女マンガ(!)に仕上げているので、「小説のあのシーンがこんなことに!?」と、驚くことも多々あります。

小説から入った昔からの『図書館戦争』ファンから、マンガで初めて『図書館戦争』を知ったティーン世代まで幅広く受け入れられているのもうなずけます。

少女マンガの良さと原作の作り込まれた世界観が見事に融合したマンガ版『図書館戦争 LOVE & WAR 別冊編』は、2020年8月24日発売のLaLa10月号の弓きいろ先生のオリジナルストーリーで最終回を迎えます。

最終巻の10巻はカラーページとオリジナルストーリーも入った特装版が2021年2月に発売されますので是非こちらもチェックしてみてください。

本と恋人は宝物

図書館戦争 LOVE&WAR 別冊編 (全8巻) Kindle版

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