『彼女と彼女の猫』はアニメーション監督の新海誠氏の自主制作短編アニメーション(後にTVアニメ化)を原作として『ブルーピリオド』の作者である山口つばさ先生が描いた作品です。
訪れた新しい季節、春に出会った一人暮らしの彼女は就活浪人を経て社会人1年目としてスタートを切ったばかり。そんな時に彼女に拾われた猫、”僕”は「チョビ」と名付けられる。この物語はチョビの目線で語られていきます。
世界にひとりで立つことを知った彼女と、彼女のおかげで世界と繋がったチョビの物語。
ゆっくりと暖かい世界観の中に、誰もが直面する社会の厳しい現実がのしかかっていきます。辛いな、助けがほしいなと思った時に読んでほしい作品です。
彼女のことが大好きな猫
彼女と一緒に住み始めたチョビは、彼女のことが大好きです。美しい彼女を見つめるのが好き。構ってもらえるのも好き。チョビにとって彼女の嫌なとこはありません。彼女にはなかなか気づいてもらえないけど、チョビにとって彼女はパーフェクトな存在なのです!
大好きな彼女の葛藤
そんな中、彼女の様子が少しづつ変わっていきます。
彼女はいつも何かに焦りを感じていて、自分だけが世界になじめていないように感じています。
環境の変化
気分転換に彼女は学生の頃の友人に会いにいきました。朝は目に見えて楽しそうだった彼女が帰ってきたら落ち込んでいる様子。
会社の人ともちゃんと喋れないのに、友人とすらもちゃんと喋れなくなってしまった。。
友人との環境が変わるとそういうことありますよね。
彼女の限界
なかなかなじめない中でも、彼女は一生懸命勉強したり仕事をしたり頑張っていましたが、ある時、ミスをしてしまいます。
いろんなことが重なって、でも、誰に相談することもできなくて不安や孤独に押しつぶされそうになります。
僕はここにいるよ
ある日チョビが目覚めたら彼女が部屋からいなくなっていました。行くあてもなく頼ることもできない彼女。
チョビは彼女のことを探しに外へ出て彼女を見つけます。
この時に、孤独だと思っていた彼女はこんな近くに味方がいることに気がつきます。チョビと彼女の想いが通じ合った瞬間でもあります。
実は寂しいのは自分だけではない
学生の頃の友人とまたあった時に、彼女が寂しさを感じていたように彼女の友だちも「彼女の変化」を感じ取り寂しさを感じていました。
人が変わるときは何かに真剣な時だけ
人が変わるときは、その変化に寂しさを感じたり、変化に溶け込むまで苦しかったりします。でも、それはそのときは気づかなくても何かに真剣になってるが故にです。彼女のようにちゃんと暗闇から抜けることができます。
チョビのように自分の味方でいてくれる存在ってとても素敵だなと元気をもらえる作品です。ぜひこの優しい世界観に癒されてください!