作品概要
『ブルーピリオド』は、山口つばさ先生による東京藝大受験を目指す受験生たちを描く青春群像です。講談社の「月刊アフタヌーン」で2017年から連載中(2020年11月現在)。
あらすじ
ちょっと悪い遊びもするヤンキーでありながら、勉強ができ、コミュニケーション能力抜群、そして人当たりも良いという超優秀な高校生の少年・矢口八虎(やぐち やとら)。
彼は難関大学に入り、将来は有名企業に就職して安定した生活を送ることこそが最善の選択であると信じていました。
しかし、1枚の油絵との出会いをきっかけに絵を描くことの楽しさを知った八虎は、今まで無縁だった美術の世界へ足を踏み入れることを決意します。
『ブルーピリオド』は、そんな初めて自分の好きなことを見つけた八虎が、未知なる世界で奮闘する姿を描いた物語です。
登場人物紹介
矢口 八虎(やぐち やとら)
ちょっと不良だけど成績優秀でゲームをクリアするみたいに結果も残せる八虎は、高校2年生の時に美術部の森先輩の絵を見て心を掴まれます。
八虎は食べていける保証なんてないのに、絵なんて描いても時間の無駄だと考えていました。しかし「渋谷の早朝の青」に惹かれ、絵を描く手を止められなくなり、徐々に創作の楽しさにのめり込んでいき、美術部顧問の佐伯先生に背中を押されるようにして、美術部入部を決めるのでした。
絵を描くことを通じ、周りをよく観察するようになり、家族の気遣いなどに気づけるようにもなりました。真面目な努力家で出される課題以上に制作にのめり込みます。
成績優秀だったけど、生きている実感がもてなかった八虎。絵を描くことを通じて、自分の中に眠る熱を知ったのでした。
東京藝大の油画科合格を目指し、個性的な受験生たちとともに研鑽を積みます。表現を通じて、八虎の世界の見え方は次々と変化していきます。
鮎川 龍二(あゆかわ りゅうじ)
八虎を美術部に誘った女装男子で、ユカちゃんと呼ばれています。女子からも男子からも人気がありますが、自身の「好き」のために悩んでいます。家族の中では日本画好きのおばあちゃんがユカちゃんの味方。
東京藝大日本画の一次試験当日に紙に×を描いて棄権しました。その後、一人称が俺からアタシに変化。男の魅力も知りながら、ずっと好きな女の子がいます。ファッションに興味があります。
自身の日常をインスタグラムにアップしているので、ぜひこちらもチェックを。
高橋 世田介(たかはし よたすけ)
八虎と同じ予備校に通い、同じく藝大を目指しています。ケータイのアドレス帳に登録されているのは自分の両親と橋田と八虎のみで、基本的に他人に興味がなく、言葉遣いが少しキツめ。受験絵画がイヤになって途中で予備校を辞めます。八虎は世田介を天才だと思っていますが、世田介にとっても八虎は気になる存在で、八虎の作品の工夫にも気づく観察眼の持ち主です。
橋田 悠(はしだ はるか)
世田介の同級生で八虎と同じ予備校に通っています。オサゲはマジメの証。モチベーションを上げたい時は、その時自分が描いている絵のイメージのお菓子を食べることにしています。3人の姉妹がいます。
森先輩
八虎の美術部の先輩。八虎は絵がうまいと思っていたが、予備校での成績は下から5番目。祈りをテーマにした作品を制作しています。武蔵野美術大学に現役で合格。
桑名 マキ(くわな まき)
家は両親が東京藝大卒、姉のユキが東京藝大を現役首席で合格し、現在在学中という藝大一家。密かにプレッシャーを抱えており、弱っていく友人を見てメンタルを保っています。姉を意識しすぎているところも。予備校の公開コンクールで1位を獲得。大食い。
佐伯先生
美術部顧問の先生で、初心者の八虎に課題を与えながら、精神的にも導いてくれる存在です。
受験のためだけでなく、八虎の将来を見越した「作品」の創り方を伝えようとし、それに応えるような八虎の成長に心を動かされました。
大葉先生
八虎の通う美術予備校の声の大きい講師。受験に必要なテクニックや考え方を効率よく指導し、具体的な受験生それぞれの課題を指摘してくれます。
表現の基礎や根本的なことを八虎に教えるとともに、八虎自身の表現を引き出す質問を投げかけました。
三木 きねみ
二浪して藝大に合格。一次試験で八虎の鏡を割ってしまいました。元気な性格で神輿隊の隊長。中学高校はバレー部所属で体力に自信があります。アツいけど安心感のある空気をつくれる人で、八虎は通り魔の太陽みたいな人だと思っています。
村井 八雲
東京藝大生。巨大な絵が好きで自分のことを最強と豪語しています。
両耳に派手なピアスをしている自信家。背中に鳥のタトゥーが入っています。浪人生の時に貧乏過ぎてずっと本を読んでいるうちに、さまざまな知識を身に付けました。裸族。
鉢呂 健二
東京藝大生でボードゲーム好き。
イベント・コラボ情報
2020年12月号の美術手帖で対談
アート雑誌『美術手帖』の2020年12月号の「美大で何を学ぶか?」をテーマにした記事で、受験絵画の研究で知られる荒木慎也さん、美術家で私塾「パープルーム」も運営する梅津庸一さんと対談。山口つばさ先生の描きおろしイラストも掲載。
【12月号「絵画の見かた」特集】制作を学ぶ予備校や美大では絵画をどう教えているのでしょうか。「美大で何を学ぶか?」をテーマとした記事には、美術界を舞台にしたマンガ『ブルーピリオド』の作者・山口つばささんが登場。描きおろしイラストも!明日7日発売です。https://t.co/dWev5YsLxl— 美術手帖 (@BIJUTSUTECHO) November 6, 2020
ブルボンのアルフォートとのコラボCM
2020年9月1日~2020年10月31日まで、ブルボンのアルフォートとコラボしたCMが公開されました。
『ブルーピリオド』作中に登場する絵画の実物の前に立ち、アルフォートを片手に佇む人気若手俳優の杉野遥亮さん。イメージソング「群青」をYOASOBIが制作しています。
MANGAストリート
2018年10月に三菱地所と東京藝術大学によるイベント「藝大アーツイン丸の内2018」で、コラボ企画が開催。全長7mに及ぶ『ブルーピリオド』の名場面を切り取ったMANGAストリートが大手町仲通りに出現。
『ブルーピリオド』を読んでインスピレーションを受けた現役の藝大生、卒業生、一般人の作品を展示する「私たちのブルーピリオド展」も、丸ビル3階の回廊で開催されました。
クリープハイプとのコラボMMV
「クリープハイプ」の楽曲『栞』とコラボしており、MMV(マンガミュージックビデオ)がYouTubeで公開されている。
受賞歴
2018年8月 | 次に来くるマンガ大賞2018 第15位 |
2018年12月 | このマンガがすごい!2019 オトコ編 第4位 |
2018年12月 | このマンガを読め!2019 第13位 |
2019年 | 第22回文化庁メディア芸術祭 マンガ部門 審査委員会推薦作品 スペインのバルセロナで2019年10月31日〜 11月3日まで開催された「第25回マンガバルセロナ」で高精細複製原画を展示 |
2019年3月 | マンガ大賞2019 第3位 |
2019年12月 | このマンガがすごい!2020 オトコ編 第14位 |
2020年3月 | 累計70万4000部突破 |
2020年3月 | マンガ大賞2020 第1位 |
2020年5月 | 第44回「講談社漫画賞」総合部門受賞 |
作品の魅力
八虎が着実に成長していく展開が熱い!
今まで無縁だった美術の世界に足を踏み入れた八虎は、できないこと、知らないことばかりで四苦八苦します。それでもめげずに、先人たちを感服させるほどの努力を積み重ね、期待以上の成長を見せる展開が熱いです!
しかし、彼はまだ美術の世界に入ったばかり。これから更なる壁に阻まれることになります。そのとき、彼はどのように困難に立ち向かっていくのか、はたまた、その壁の高さに膝を屈してしまうのか… 目が離せません!
美術の世界が興味深く描かれている!
『ブルーピリオド』には美術の技法や作品の見方に関する知識がたくさん登場します。その解説が丁寧で分かりやすいため、詳しくない人でも八虎と一緒に美術のことを知ることができるのは本作の魅力です。
また、八虎は日本一受験倍率が高いと言われる東京藝術大学の合格を目指し、美大の予備校に通うようになります。そこでは予備校の独特の雰囲気や個性的な他の受験生、そして、正解がない中で繰り広げられる過酷な競争など、美大受験の様子が描かれています。
実際に東京藝術大学を受験して合格した山口つばさ先生の経験と、現在の受験現場を知る人への取材に裏打ちされたシーンの数々はどれも興味深いものばかりです!
名言集
アツイ熱を分けてくれるようなセリフも魅力的です!
作者情報
作者:山口つばさ先生
東京藝術大学卒業後、アフタヌーン四季賞2014年夏で佳作を受賞。
2015年に読み切り作品を2つ出しており(good!アフタヌーン)、この内の1つが『ブルーピリオド』の前身となった。他にもpixivにBL作品を投稿している。
2016年に新海誠監督の短編映像作品『彼女と彼女の猫』のコミカライズ(月刊アフタヌーン)でデビュー。
2017年から『ブルーピリオド』(月刊アフタヌーン)を連載。「このマンガがすごい!ランキング」2年連続TOP20入りや、「文化庁メディア芸術祭マンガ部門・審査委員会推薦作品」に選出されるなどしている。
電球が大好き。ジャニオタ。
山口つばさ先生のTwitter:https://twitter.com/28_3