3行でわかる聲の形
聴覚障害をきっかけにいじめられる西宮硝子
聴覚障害を理由にいじめを行った石田将也
その贖罪の先にいるあなたは硝子なのか将也なのか、傍観者なのか彼女の母親なのか
作品概要
大今良時(おおいま よしとき)先生の『聲(こえ)の形』は、「別冊少年マガジン」2011年2月号で初めて発表された、耳の聞こえない少女と退屈がキライな少年を取り巻く人間関係を描いた物語です。「週刊少年マガジン」の2013年12号にリメイク版が掲載された後、2013年から本連載されました。
先日告知致しました『聲の形』チャリティー色紙の販売情報が公開されました。全国のアニメイトさまで10月11〜28日まで販売予定です。
株式会社京都アニメーション支援 大今良時先生による描き下ろしイラストチャリティー色紙 発売のお知らせ - 週マガ公式サイト https://t.co/nGhDnktxdk— 『不滅のあなたへ』第13巻7月17日(金)発売 (@fumetsunoanatae) October 1, 2019
あらすじ
ちょっと危険な遊びにハマっていた小学校時代の石田将也は、転校生・西宮硝子の耳が聞こえないことを知り、軽い遊びのつもりでからかい始めます。硝子に対する行動が徐々にエスカレートした後にいじめが発覚、大問題に発展した後、今度は将也がいじめられる側にまわります。高校に入学して、硝子の補聴器代170万円を母親に弁償した後、将也は過去に決着をつけて死ぬつもりで硝子に会いに行くことを決意します。
作品の魅力
耳が聞こえない西宮硝子に自分の気持ちを伝えるためには、手話を使ったり筆談したり、「聴く」以外の方法が必要になります。本作の主な登場人物のうち、耳が聴こえないのは硝子だけなのに、他の登場人物たちが周りの人の声を聞いているかといったら、そういうわけでもなく、みんな自分の意見を押し通そうとして何度もぶつかるのです。
全員が自分なりの伝え方を持っていて、自分とは違う伝え方があることに気づいていないかのようです。ですが、伝えようとして逆に傷ついていく登場人物たちの、彼らなりの伝え方の奥には、相手と分かり合いたいというもどかしさが感じられます。そんな中、過去の後悔を乗り越えようとする将也は、硝子のコミュニケーション手段である手話を覚えて、自ら硝子に会いに行きます。「聴く」という行為は、音が聞こえるかどうかではなく、相手の伝え方を受け入れる姿勢のことなのかもしれないと考えさせられる名作です。
人物の顔に×マークが入った表現も特徴的。はがれるタイミングにも注目してみてください!
作者情報
大今良時(おおいま よしとき)先生は、1989年3月15日生まれの岐阜県大垣市出身。『聲の形』も大垣市がモデルになっています。2009年に『マルドゥック・スクランブル』で連載デビュー。
受賞歴
2008年 | 第80回週刊少年マガジン新人漫画賞入選 |
2014年4月 | 第38回講談社漫画賞少年部門 ノミネート |
2014年9月 | 「コミックナタリー大賞」2014年度 1位 |
2014年12月 | 「このマンガがすごい!2015」オトコ編 1位 |
2014年12月 | 「2014年コレ読んで漫画ランキング」4位 |
2015年3月 | 「マンガ大賞2015」3位 |
2015年4月 | 第19回手塚治虫文化賞新生賞 |
2015年11月 | 「SUGOI JAPAN Award 2016」マンガ部門「SUGOI 20」ノミネート |
2016年 | YALSA(全米図書館協会)Great Graphic Novels for Teens Top Ten |
2016年3月 | 「この装丁がすごい!~漫画装丁大賞~2015」【完結賞】 |
2016年5月 | マンガワ(MANGAWA)賞 少年部門受賞 |
2017年 | |
2017年2月 | 映画『聲の形』が第40回日本アカデミー賞優秀アニメーション作品賞受賞 |
2017年5月 | 映画『聲の形』が第26回日本映画批評家大賞アニメーション部門作品賞 |
2018年 | 全7巻の単行本累計発行部数が300万部を突破 |
映画情報
アニメ映画が2016年9月17日から全国公開され、文部科学省ともタイアップしています。
映画「聲の形」公式グッズは、京アニショップ!通販サイトにて好評販売中!https://t.co/IvwDXQ0Lug pic.twitter.com/XUnmoL8sF8— 映画『聲の形』公式 (@koenokatachi_M) July 31, 2020
監督:山田尚子
脚本:吉田玲子
音楽:牛尾憲輔
キャラクターデザイン:西屋太志
アニメーション制作:京都アニメーション
声優
石田将也:入野自由
西宮硝子:早見沙織
西宮結絃:悠木碧
永束友宏:小野賢章
植野直花:金子有希
佐原みよこ:石川由依
川井みき:潘めぐみ
真柴智:豊永利行
豆知識
大今良時先生の出身地である大垣が作中には多く登場しており、西美濃のポータルサイトでは聖地巡礼マップが公開されています。
👉『聲の形』の舞台紹介in西美濃|大垣地域ポータルサイト西美濃
小説情報
『小説 聲の形』
KCマガジン『聲の形』をもとにノベライズしたもの。2019年発売。
原作・絵:大今良時
文:倉橋 燿子
『小説 映画 聲の形』
2016年発売
著:川崎 美羽
原作:大今良時
脚本:吉田 玲子
登場人物紹介
石田 将也(いしだ しょうや)
度胸試しと称し、川に飛び込んだり、年長者にケンカを売ったりを繰り返していた少年。友人たちが度胸試しを卒業し、退屈を感じ始めた小6の時に、転校してきた西宮硝子をからかい始めます。枯れ葉を硝子にかけたり、補聴器を奪って捨てたり、硝子へのいじめは徐々にエスカレート。問題が大きくなったことをきっかけに、今度はクラスからいじめの対象にされます。中学に上がってからもいじめられ続けた将也は、過去に決着をつけるため、手話を学び硝子に会いに行きます。姉の子がブラジル人ペドロとのハーフ。補聴器代の170万円はバイトして貯めて、母に返金しました。
西宮 硝子(にしみや しょうこ)
将也のクラスに転校してきた少女で、耳が聞こえないためノートを使って筆談しています。将也からいじめられても「ありがとう」と「ごめんなさい」を繰り返していましたが、本当は死にたいと考えていました。クラスからいじめられ始めた将也をかばっていましたが、のちに転校。自分のせいで周りに迷惑をかけていると考えており、愛想笑いがクセに。母、祖母、妹と四人暮らし。
将也が好きで気持ちを伝えようとしますが、発音がたどたどしくうまく伝えられずにいます。自分のせいで友人たちが仲たがいをし始めたと考え、自殺しようと自宅のマンションから飛び降りたところを将也に助けられ、代わりに将也が落下。この時、川に落ちた将也を助けのは島田たちでした。この事件をきっかけに、中止になった映画プロジェクトを再開したいと永束に呼びかけます。硝子の耳は感染症が原因。
佐原 みよこ
耳の聞こえない硝子に合わせるために授業が遅れたり、声をかける手間がかかったりすることで、徐々にクラスメイトたちが不便を感じ始めた頃、手話を覚えて硝子をフォローしようとします。しかし、それが逆に点数稼ぎのように思われ、クラスの輪に入れてもらえなくなって不登校に。高校生になってから、将也をきっかけに硝子と再会します。高校で植野と再会し、彼女のファッションセンスを目指して自分を高め、変わりつづけようと努力しました。高校卒業後に植野と東京に行き、二人でブランドを立ち上げます。
西宮硝子の母
硝子がいじめに遭わないように、男の子みたいに育てようとします。硝子が3歳の時に、硝子の耳が聞こえないことが原因で、夫の家族から離婚を言い渡されます。
石田将也の母
理容師をしており、硝子の髪を切ったことがあります。
永束 友宏(ながつか ともひろ)
将也の高校のクラスメイトで、いじめを受けていました。盗まれた将也の自転車をきっかけに将也と仲良くなります。映画コンテストの情報を知り、将也との友情をテーマにした映画をつくろうと考え、監督としてみんなを取り仕切ろうとします。将也のことは、やーしょーと呼んでいます。
西宮 結絃(にしみや ゆづる)
頻繁に家出を繰り返している硝子の妹。姉を想うがゆえに、将也の過去をネットに晒して姉から遠ざけようとします。動物の死骸の写真を撮るのにハマっていますが、それは、いじめに遭っていた小学生時代の硝子への「死なないで欲しい」というメッセージでした。
おばあちゃん
硝子と結絃の祖母。娘が離婚した後の家庭を支えます。
植野 直花(うえの なおか)
リーダータイプで頭も良い女子。高校生になってからは「にゃんにゃん倶楽部」という猫カフェでアルバイトをしています。ファッションセンスがあり、佐原と同じ高校に行ってから仲良くなります。小学校の頃から将也のことが好き。将也と仲がよい硝子を嫌っています。
川井みき
小学校時代の将也のクラスメイトで、学級長をしていました。努力家。真柴のことが気になっています。
真柴 智
クラスでも人気の男子。眉毛の太さが普通じゃないと、からわかれた経験があり、いじめが許せない性格で、嫌いな行為を見かけると行動で示そうとするところがあります。
島田 一旗(しまだ かずき)
小学校時代は広瀬や将也とよく遊んでいましたが、硝子のいじめが問題になってから将也をいじめる側に。永束の映画制作では、植野に頼まれて音楽を担当しました。
竹内先生
小学校時代の将也や硝子の担任。硝子のことを面倒に感じています。