積み上げられたビルの中で人は、街・畑・森という3つのカーストを作り上げた。畑、高岡飯店で日々料理を振る舞うキヨコは、朴訥な男よるくもと出会う。ささいな綻びはキヨコの生活を容易に奪い去り、その中よるくもは、生まれた感情のようなものを育み、生き方への違和感を抱き始めていく。 キヨコがドロドロのどん底の中から目に純粋な光を宿す瞬間の美しさは真っ直ぐなのに歪んでいて、とても美しくて。本当に好きな漫画です。 よるくも fLike icon 1
火星、かつての入植地で宇宙飛行士は一人の女性と出会う。半年後、地球への帰途で探索船は大破、奇妙なウイルスがばら撒かれ地球に「ドローン禍」が巻き起こる。 ウイルスへに適応する少女イオンとそれを守る造一、狙う技術文化遺産復興財団と公衆衛生局との三つ巴の戦いを描く。 弐瓶勉の中で最も密度が高く、軽妙さとハードさのバランス、ストーリーの奥行きと合わせ最高傑作。 あとキャラクターがかっこいいんだわ、ほんと。 BIOMEGA fLike icon 0
シドニアの騎士で一躍知名度を上げた弐瓶勉の原点となるハードSF。 連綿と続く超構造体上を上層へ、上層へと旅しながら、かつての人類のユートピア『ネットワーク』へのアクセス端末遺伝子を探索する主人公、霧亥が描かれる。 最低限に抑えられたセリフと真っ黒に描き込まれた構造体が描き出す重く静かな世界観と、構造体上に息づく生々しく残酷なライフサイクルとの間で霧亥の息遣いだけが生々しい、静物画のような漫画。 新装版 BLAME! fLike icon 2
ここ十年の少年漫画で間違いなく一番不条理で最悪の展開を貫き続けた漫画。 主人公のヒーローとしての期待=外圧と内面の危うさ、脆さ。その中間でとても頼りなく悶えるわずかな自我。 読者の期待のコントロールと揺さぶり方、人間味の描き方と殺し方。ここのバランス感が素晴らしくて、読み進めるごとに最悪な気分になる。だからこそ、少なくともここ数年読んだ中で一番面白かったと言える漫画。 ファイアパンチ fLike icon 2