2021年5月11日に「コミックDAYS」で公開されると、そのリアルな描写がSNSで話題になった『夫は成長教に入信している』。
本作はタイトル通り、生活の全てを仕事上の「成長」に結びつけて考える男性・タカハシコウキの様子を、妻であるツカサの視点から描いた作品です。
本記事では作者の紀野しずく先生にインタビューを実施。
『夫は成長教に入信している』連載のきっかけや、「こういう人いるいる!」と思わず共感してしまうリアルなキャラクターがいかに生まれたのかをお聞きしました。
『夫は成長教に入信している』
記事下のURLから本編の続きを読めますので、気になった方はぜひ読んでみてください。
「あるある」を詰め込んだのがコウキというキャラクター
ーーまず、『夫は成長教に入信している』連載開始までの経緯を教えてください。
「DAYS NEO」(デイズネオ)に投稿し、編集者の方からコメントをもらったことがそもそものきっかけです。
その後、「DAYS NEO REAL」という複数のマンガ雑誌の編集者へ対面で持ち込みできるイベントに参加したところ「コミックDAYS」の編集者の方と出会い、約1年半かけて連載準備をしてきました。
ーーSNSではコウキの絶妙なリアルさに共感の声がたくさん投稿されています。こういった反響を受けて、どういった所感を持たれましたか?
自分の想像以上にいろんな方に読んでいただけてとても嬉しいです。
毎日無数のコンテンツが発表される中で、『成長教』にたまたま出会い、心動かされる人がいるのは奇跡だと感じています。
100人いたら100通りの感じ方があるマンガにしたいと思っています。これからも反響を楽しみにしています。
ーー「こういう人っているよね」という人物描写のリアルさがすごいですが、マンガとして描くエピソードはどのような着眼点で探しているのでしょうか。
この作品では「成長せねばならない」という想いに囚われている人を題材として描きたいと考えていました。
本作はフィクションなのですが、例えば1話に描いた「完全コスパ食」や「予定テトリス」は、「忙しいはずなのに予定を詰め込めんでしまい、食べる時間すら惜しい」と話す周囲のハードワーカーの人達から聞いた内容がベースになっています。
私自身も働いていてそういった局面にたびたび直面しています(笑)。そういう誰にでも「あるある」な「成長教」エピソードで一番極端なエピソードを選び、コウキというキャラクターで表現しています。
ーーこの作品を通じて読者に伝えたいメッセージがあれば教えてください。
「どうしてこんなに頑張らねばいけないのか」という問いがずっと自分自身の中にありました。
私は就職を機に上京したのですが、終電で帰宅するサラリーマンの多さを見て、睡眠時間を削って絶え間なく働く街「東京」ってすごいなぁと思いました。
現在は働き方改革も進み、テレワークを導入している企業も多いですよね。その一方で、家で働こうと思えばいつでも働けるので、隠れて「働かなければならない」と考えている人が増えているような気がします。
あらゆる媒体を通じて、頑張っている人、活躍している人の存在がリアルタイムに分かること、勉強しようと思えば情報はどこからでも手に入ること、それが逆にいろんな人を追い詰めている気がします。
コウキとツカサというキャラクターを通して、「家族」としてその課題にどう立ち向かうのか…?ということを描いていきたいです。
『夫は成長教に入信している』第1話の続きはこちらから。現在、第2話まで公開されています。
作品のレビュー記事はこちら
OGP及び記事内画像は紀野しずく先生・コミックDAYS編集部許諾の元掲載してあります。快く許諾していただきまことにありがとうございます。
https://comic-days.com/episode/3269632237324396837
©︎紀野しずく・北見雨氷/講談社