ギャンブルマンガの醍醐味は、息を飲むような心理戦の応酬と、思いもつかないような発想による逆転劇を体験できることだと思います。
では、数多くのギャンブルマンガが存在する中、差別化の為にどのような要素が掛け合わされているのか?今回は掛け合わせにより、作品の深みが増しているギャンブルマンガに焦点を当て、ご紹介します。
1.ギャンブル✖️圧倒的心理描写
『中間管理録トネガワ』など多くのスピンオフ作品が誕生し、2020年1月現在、オリジナルストーリーの映画が公開されるなど未だ衰えを知らない人気作!!
カイジは完全なるダメ人間。いわば底辺のような生活をしているカイジが借金返済の為に人生を賭けたギャンブルの勝負をしていくストーリー。
カイジシリーズの特徴的とも言えるのが、圧倒的な心理描写の深さ!!読者は心の揺れ動きをカイジ、対戦相手の帝愛グループと共有できる面白さがあります。ヒリつくような思考の果てに辿り着く起死回生の一手にギャンブルマンガの面白さが全て詰め込まれています。
2.ギャンブル✖️暴力
あらゆる賭博を取り仕切る賭郎という組織の中で最強と言われていた班目漠は、賭郎の長、お屋形様とのギャンブル勝負「屋形越え」で敗北し、全てを失います。ひょんなことから知り合った青年、梶と共に再び「屋形越え」に挑むべく、賭郎会員とのギャンブル勝負に挑むストーリーです。
2重にも3重にも張り巡らされた伏線を回収していく頭脳戦もさることながら、特徴的なのは賭郎勝負を成立させる為に存在する立会人の存在です。この立会人同士の戦い(号奪戦)が迫先生の圧倒的画力によりギャンブル漫画とは思えないほど、緻密に描かれています。
ギャンブルマンガにおいて敬遠されがちな暴力による蹂躙を余すことなく描き、ギャンブルと暴力の掛け合わせを非常に高い次元で両立させたのが本作です。
3.ギャンブル✖️友達
ギャンブルマンガにおいて「友達」という表現が使われるのは実は稀な気がします。ギャンブルマンガでは「友達」というのは容易に裏切る存在であり、甘い考えを持っていると騙されるという描かれ方が多いからです。
本作は、修学旅行費の200万円の盗難事件を皮切りに高校の同級生達が、借金返済の為のトモダチゲームに巻き込まれることから始まります。
友達を疑わず、信用することが出来るのかという一貫したテーマ性。読み進めていく程に全てのゲームに意味があり、その意味を辿っていくことで理解したつもりの友達の真実に近づいていく展開に目が離せません。
4.ギャンブル✖️ダーツ
賭けダーツを題材にした漫画は非常に珍しい気がします。あらすじは「迷路の悪魔」と呼ばれ、狙ったところに確実にヒットさせる主人公の烏丸徨と、ダーツプレイヤーとの賭けダーツ勝負が展開されます。
狙ったところに確実にヒットさせるというところがミソで、技術では勝負がつかない為、対戦相手との駆け引きや心理戦で相手を追い詰めていく様がスリリングです。
勝利の糸口になるような綻びを見つけた時に使われる「びびびびびびび」という擬音も堪りません。
5.ギャンブル✖️ギャンブル嫌い
『ギャンブラーズパレード』は島自体がカジノになっているトバク島で教師をしている蜘蛛手渚が、不運体質を持つ東雲花梨を仲間に加えてギャンブル勝負をしてく内容です。
特徴的な設定は、主人公がギャンブルを憎み、一人でも多くのギャンブラーを排除する為にギャンブルをするところです。(あと、人格なども大きく変わります。)
ギャンブルマンガでありながら、根底を否定するところに斬新さを感じます。
6.ギャンブル×オカルト
ベースは麻雀(舞台となる麻上村ではマジャンと呼ぶ)なのですが、この閉鎖的な村社会においては、マジャンの敗者は村で祀られているマガミさまへの供物として身体の一部などを捧げなければならない掟があります。
村社会ならではのオカルト的要素と、村独自の麻雀ルールを掛け合わせた異色作です。
7.ギャンブル✖️ギャップ
ギャンブルの強さによって階級分けされた学園が舞台の漫画。一番の特徴はギャップです。ギャンブルとは無縁の清楚なお嬢様に見える蛇喰夢子ですが、リスクを犯すことを悦びに感じる賭け狂い。
絶対に勝てる勝負を嫌ったり、追い込まれるほどに滾ってしまう蛇喰夢子は、ある種ギャンブルマンガにおいて一番理解がし難い主人公像かもしれません。
8.ギャンブル✖️特殊能力
『ACMA:GAME』は悪魔の鍵によって特殊能力を得た者同士の、勝者に絶対服従のギャンブル勝負です。
ギャンブルマンガには多くのオリジナルのギャンブルがありますが、前提として「シンプルかつ親しみのあるゲームに少しの改変を加える」というルールがあるように思います。
その前提に特殊能力を掛け合わせることにより、ありふれた影踏みを特殊なゲームにしたり、特殊能力を使ったオリジナルのギャンブルを生み出したことが特徴的です。
9.ギャンブル×W主人公
『LIAR GAME』はある日突然、1億円を巡るライアーゲームにエントリーされた馬鹿正直のナオがギャンブル勝負に巻き込まれていくストーリーです。ナオをサポートするのが、天才詐欺師秋山で、性格も真逆の二人のコンビによるW主人公となっています。
ゲーム中に展開される論理的な秋山の思考が冴え渡って見えるのは、ナオという馬鹿正直に人を信じてしまう主人公がいるからこそでしょう。
10.ギャンブル✖️スポットをずらす
同じく『LIAR GAME』作者である甲斐谷先生が描く競馬マンガ。競馬マンガにおいて、ジョッキーや、馬に主軸を置く作品は数多くありますが、本作は馬券で儲けることにスポットが当たっています。
ジャンルとしてはメジャーですが、今までスポットが当たってなかったところを重点的に描くと差別化に繋がります。
掛け合わせがより作品を面白くする
一口にギャンブルマンガと言えど、題材の違いだけではない多様な要素が組み合わされており、作品の深みが増していることを理解していただけたでしょうか。
まだまだ紹介しきれなかったギャンブルマンガが数多くありますので、ぜひ皆さんも見つけてみてくださいね。
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