「MANGA Day to Day」コロナ禍で過ごした6月・7月の日常 | 2020年8月15日〜9月22日公開作品まとめ

コロナ禍の「日常」を舞台に総勢100名以上のマンガ家が日替わりで短編作品を発表していくリレー連載企画、「MANGA Day to Day」。2020年6月15日から始まった本企画もあっという間に三か月以上過ぎ、9月22日に見事フィナーレを迎えました。

物語の舞台は感染者と不安が拡大していた2020年4月1日から始まり、7月9日で幕を閉じました。本記事では最後の期間である6月・7月を舞台とした「日常」を振り返ります。

MANGA Day to Day 作中カレンダー:2020年6月・7月

下のカレンダーでは公開作品と作者を舞台となった日付でまとめています。(Twitter上でのマンガの公開日は2020年8月15日〜9月22日です)

日付をクリックすると「MANGA Day to Day」特設アカウントの作品掲載ツイートへ、作者名からは先生のTwitterアカウント(お持ちの場合)へとそれぞれ移動することが出来ますので、見逃した作品があればここでチェックしておくのをお忘れなく。

MANGA Day to Day 作中カレンダー2020年6月・7月版(敬称略)

5/31 /

チッチママ

日生マユ

6/1

泉光


6/2

小川悦司


6/3

コナリミサト


6/4

筒井いつき


6/5

ひな姫


6/6

窪田航


6/7

東村アキコ


6/8

なもり


6/9

西園フミコ


6/10

カメノヒロ弥


6/11

こざき亜衣


6/12

和夏弘雨


6/13

みずしな孝之


6/14

田中基


6/15

パトスラボ


6/16

みもり


6/17

手名町紗帆


6/18

ゆうきまさみ


6/19

鈴ノ木ユウ


6/20

黒田硫黄


6/21

板垣巴留


6/22

嘉村田逸名


6/23

西川丸


6/24

晴智


6/25

しろまんた


6/26

芹沢直樹


6/27

岡田淳司


6/28

大町テラス


6/29

矢部太郎


6/30

田中圭一


7/1

高杉桂


7/2

愛内あいる


7/3

北道正幸


7/4 /

皆本形介

久米田康治

7/5

西炯子


7/6

カラスヤサトシ


7/7

白梅ナズナ


7/8

山下和美


7/9 (最終日)

森川ジョージ











これまで公開された作品#001〜#030までのまとめ、および#031〜#061のまとめは以下の記事をお読みください。

2020年6月・7月の主な出来事

移動自粛要請の解除など、街中に人が戻り始めていた6月、7月。現実の世界では下記のような出来事がありました。

  • 6月2日:感染再拡大の兆候が表れた際に警戒を呼び掛ける「東京アラート」が初めて発動。(11日に解除)

  • 6月10日:中止となった春のセンバツ大会出場校による交流試合が甲子園球場にて実施されることが発表。

  • 6月19日:都道府県境をまたぐ人の移動自粛要請が全国で解除。プロ野球公式戦が無観客で開幕

  • 6月26日:およそ1カ月半ぶりに新規感染者数が100人を超える。

  • 7月10日:観光業界への支援策「Go Toトラベル」キャンペーンが22日開始と発表。プロ野球公式戦Jリーグで今季初めて観客有りの試合が開催される。

  • 7月27日:プロ野球とJリーグ合同の「新型コロナウイルス対策連絡会議」が開かれ、8月末まで観客5000人の上限を維持することが決定。

  • 7月28日:新型コロナウイルスの感染による国内の死者が1000人を超える。

  • 7月29日:1日当たりの感染者が初めて1000人を超える。

2020年6月・7月を過ごした人々の「日常」

ここから6月・7月を舞台にした40作品を紹介していきます。各先生がそれぞれのテーマと切り口で描いた日常。日々の感染者数は落ち着きを見せ、明るい兆しが見えているような空気も流れていた6月、7月。

思わず共感する体験、自分の知らなかった世界、笑える話。きっと世界のどこかで起きていた1日を、先生の目を通して追体験してみてください。

6月1日

#62 / 6月のスタートは『図書館の大魔術師』泉光先生から。人知れず滅亡の危機に瀕していた人類。宇宙人からの侵略を救ったのは、体調が悪いのにマスクもせずにうろついていた大学生だった!結果的に地球の救世主となった彼ですが、皆さんは絶対にマネしないでくださいね。

6月2日

#63 / 伝説の料理対決も、もしコロナ禍で実施されれば対策は必須。仮面料理人リエンさんも二重マスクにしっかり手洗い消毒してます。ウィズコロナとも言われる今後、現代を描くマンガ家さんはスピード感や表情の書分けなど、新しい工夫が必要になっていくのかもしれません。

6月3日

#64 / 外ではマスクにオンラインではフィルター、生活スタイルの変化と文明の利器によって身だしなみの手入れをする時間が激減。ハサミやかみそり、毛抜きの脅威(?)にさらされてきたお顔の毛たちは、今がチャンスとばかりに勢力を拡大中です。

6月4日

#65 / 結婚式の延期や中止、そうでなくてもコロナ禍にともなうストレスやゴタゴタなどで、大切な人と別れを選択された方もいるはず。簡単に割り切れるものではありませんが、時計の針を進めてくれるのはふとした出会いや些細なきっかけなのかもしれません。

6月5日

#66 / 生徒の前ではキリっとした凛子先生ですが、コスプレを愛する根っからのオタク。部屋中のグッズに囲まれ楽しそうですが、オンライン授業の映り込み対策はまだまだ甘い様子。神原先生にとっては、自分だけが知る凛子先生の笑顔もみんなに隠しておきたい秘密です。

6月6日

#67 / 大切な人との一生の別れは、世の中やこちらの事情とは関係なく突然やってきます。残されたものが故人を思う方法も変わっていくなか、旅だった方はきっと現世の誰よりも自由に空を飛んでいます。一方で新しい命も生まれ、そうやってなんだかんだ営みは続いていくのでしょう。

6月7日

#68 / 着物愛で知られる東村アキコ先生。今年は様々な受賞式に合わせて着物を仕立てられていたそうですが、この状況下では当然キャンセルに…これは悲しい。それでも着物姿で街を歩けば、気分もちょっと上向きに。そしてちらっと映る先生の息子、ごっちゃんの背中。大きくなってる!

6月8日

#69 / アシスタントさんと仲良くリモート映画鑑賞会でホラー映画を楽しむなもり先生。アウトプットを続けるにはインプットの時間も重要です。新しい刺激によりまさかのホラー仕様『ゆるゆり』を誕生かと思いきや、最後はしっかりゆるーく浄化されていきました。

6月9日

#70 / ただでさえ子育てに悪戦苦闘中のところに、わけのわからない未知のウイルスが襲来。赤ちゃんや周りがすこし咳をするだけでてんやわんやでいっぱいいっぱい。とんでもない時期ではありますが、理不尽な世界でたくましく子育てに奮闘するカーチャンかっこいい。

6月10日

#71 / キュン成分がすごい…!普段見せる顔と違って中身は繊細で優しい女子高校生と、ちょっと天然だけど(天然だから?)言動が超イケメンな塾の先生。女の子が振り回されて照れてる表情がめちゃくちゃカワイイ。ドキドキに時世は関係なし!ですね。

6月11日

#72 / 勝つことも負けることも許されないまま中止になってしまったインターハイ。しょうがないことなんて分かりきっていて、でも割り切れるはずなんてない一生で一度の舞台。きっと日本中に溢れていたやりきれなさを、こざき先生のマンガが掬い上げて光らせてくれたような気がします。

6月12日

#73 / 学生の頃がんばって買ってきたギターは、すぐに捨て猫だったすーちゃんのおもちゃに。中に入ったり引っかいたり鳴らしたりとやりたい放題。今はもう傷が増えることもなくなったギター。ステイホームから鳴らすその音は、リモートライブで天国にも届いてるでしょうか。

6月13日

#74 / 「ソーシャルディスタンス!!」に「リモートワーク!!」。頑張って新技を覚える犬のムーコですが、こまつさんとの距離が、とおい!さみしい!このまま触れ合えないままかと思いきや、最後はおねむなムーコを優しくだっこするこまつさん。次は起きてるときにそばにいれるといいね。

6月14日

#75 / 筆が進まず田舎で休養中の小説家。これまで書いてきたテーマと世間からの評判、ご時世に悩みますが、ある少年との会話で昔の自分を思い出します。最初の読者は自分。自分が好きなものを、楽しみにしてくれる人に届ける、それに気づいて吹っ切れた様子。

6月15日

#76 / 六畳一間にあり得ないほど溶け込む宇宙人二人と、液タブについて謎に熱弁するマンガ家志望の青年。ひたすら柿ピー(ピーナッツは無い方が好き)を頬張りながらも意外と話聞いてあげてる宇宙人優しい。というかさっさと買ってまずは書け。

6月16日

#77 / マンガ家同士のリモート飲み会。デジタルへの切り替えやリモートワークなどの大変さもありますが、それ以上に問題なのはだんだん人でない生活になっていくこと。でもそんなことより何より、「外出の仕方を忘れ汚部屋に住む孤高の全裸作家」ロロたんが気になりすぎる…!

6月17日

#78 / 手名町先生のノンフィクション。念願の初連載に映画化、と順調そうに見えたデビューもコロナ禍で状況が一気に悪化。鬱の診断から円形脱毛症と不安が募る日々が。救いになったのはダイソンとファンの方からの応援でした。

6月18日

#79 / 『白暮のクロニクル』が現実の世界線で再登場!吸血鬼的な存在である「オキナガ」の皆さんがコロナ禍の日常を過ごす様子が描かれています。元の設定と現在の状況を絡めた展開はさすがの一言。彼らにとっては昔以上に窮屈な世界となっていそうです。

6月19日

#80 / 今年完結した『コウノドリ』のペルソナメンバーもコロナ禍の世界で復活。生まれてくる命を預かる産婦人科医では、ソーシャルディスタンスなんて言葉も軽々しく使えません。身体と心、周囲への影響。きっと世界中の現場で関係者の皆さんが頭を悩ませている問題ですね。

6月20日

#81 / 6月から再開館した国立科学博物館、通称かはく。時間予約制になりある意味普段よりしっかりと見れるチャンスかも。子供のころの知らないものに囲まれるワクワク感と、大人になってある程度知識がついてわかる深み。その時その時で印象は変わっても、とにかく博物館が楽しい。

6月21日

#82 / エイリアンが襲来するでもなく、民衆が恐怖に慌てふためくとも違い、でも確実に世界を変えた新型コロナウイルス。見開きのような山場もなく「ぬる~っとしたグラデーション」でいつの間にか取って代わった新しい生活様式こそ、事の重大さと恐ろしさの証明かもしれません。

6月22日

#83 / 恋人と教室でのファーストキス!鉄板のシチュエーションも、こんな時期だからしっかり消毒した下敷き越しに。でも大好きな人が目の前にいたら、そんなの我慢しきれない!最初から最後まで、初々しさとドキドキが溢れまくってます。

6月23日

#84 / 感染者数が落ち着き自粛閑話ムードが流れ始めた6月。映画館では過去の名作のリバイバル上映をするところも多くありました。沖縄・慰霊の日でもあった23日。平和だからこそ体験できる娯楽の大切さも、コロナ禍ではより特別なものに感じられます。

6月24日

#85 / ひとり静かにマンガを描くという環境の変化が負のループを生み、ペンが進まなくなってしまった晴智先生。そんな抱え込んでいた気持ちをフッと溶かしてくれたのは、旦那さんが出してくれた一杯の珈琲。優しさのつまった旦那スペシャルでした。

6月25日

#86 / 人に会いたくなりVRの世界で美少女になったバ美肉しろまんた先生。通りがかりに見つめるお姉さんの空虚な目がとってもかわいいです。なんか大事なものを失ってる気がしますが、心を強く持つのが大事、なんですよね先生!

6月26日

#87 / マスク着用が当たり前になった世界は、顔を隠したい有名人の方には生きやすいのかもしれません。需要高騰と転売による値上がり、そこから手作りマスクに奮闘するお姉さん…と思いきや、最後はまさかのオチ。短い中にしっかり伏線も張ってあって面白い!

6月27日

#88 / 壮絶な喧嘩をくり広げながら人間にはじゃれあっているようにしか見えない猫+ヤンキーマンガ『NYANKEES(ニャンキーズ)』のように、自由気ままに生きているように見える猫たちも、実はしっかり考えて行動している…のかもしれません。猫かわいい。

6月28日

#89 / 入院・手術からガンの初期傾向まで、コロナ禍真っただ中に大変な経験をされた大町テラス先生。現在はすっかり元気ということで本当によかった。久しぶりのサウナでのスーパートリップの描写がめちゃくちゃ気持ちよさそうで、サウナに行きたくなること間違いなしです。

6月29日

#90 / 最初は頑張ってた筋トレも、気合い入れて初めた自炊も、非日常のふわふわした感覚も気づけば慣れて元通りに。習慣なんてそんな簡単には変わりません。誰でも体験するようなあるあるネタが優しい絵柄ですっと入ってきて、思わずクスっと笑ってしまいます。

6月30日

#91 / コロナ禍が人間関係をあぶりだしたという話はよく耳にしますが、気軽に人と会えなくなった今、本作のような出来事も色んなところで起きているのかもしれません。わかった上での不倫なのでもちろん両者悪いのですが、何とも言えない痛々しい気持ちの処理が難しい。

7月1日

#92 / こ、コワい!コロナ禍ではリモート舞台も話題になりましたが、怪談もリモートワークに合わせて進化。音声と限られた画面の情報で交わされるやりとり、会話のかみ合わなさにぞっとします。生活様式の変化は、恐怖の形態さえ新たに生んでしまうようです。

7月2日

#93 / 昔ながらの価値観を持った真面目な父と、マンガ家になりたい娘。夢を応援してくれない父親への嫌悪も、祖父母の介護をする父の様子を見るうちに徐々に消えていくことに。愛内先生の経験してきた長い葛藤が昇華されたような作品です。お父さん、お疲れ様でした。

7月3日

#94 / 『プ〜ねこ』の文豪先生と書生くんが登場。Day to Dayのメタネタを使いながらキレッキレで辛辣なボケを見せる書生くんと、相変わらずサボり癖の先生のやりとりがほのぼの笑えます。書生くんから雑草扱いされてる担当さんかわいそう。

7月4日

#95‐❶ / 未来から来たネコ型ロボットならぬシカ型ロボットのシカごろう。便利な未来のひみつ道具が飛び出すかと思いきや、出てくるのは名前だけカッコいい手作り道具。でも気軽に人と会えない今、ロボットと一緒に工作するのも悪くないですね。

#95‐❷ / 久米田先生の代表作『かってに改蔵』や『さよなら絶望先生』のキャラが再登場!相変わらず時事ネタを使ったブラックジョークがキレッキレ、そして最後は安定の猟奇エンドです。背景にも小ネタが仕込んであるので目を凝らしてチェックしてくださいね。

7月5日

#96 / ダイちゃんのカワイイが過ぎる。ようちえん行けなくてクネクネするのカワイイ。あれ?って首かしげてるのカワイイ。おてがみ届かなくて泣いちゃうのカワイイ。なっちゃんの手紙に表情がパーってなるのカワイイ。読んでるだけで幸せになれます。

7月6日

#97 / 元気いっぱいに見える小学生も、大きな環境の変化と何となく感じる不安、不規則な生活によって知らず知らずのうちにストレスを抱えているのかもしれません。 そしてふとした瞬間に感じるマスクの匂い、コロナ禍あるあるですね。

7月7日

#98 / コロナ禍で大きく変わった「普通」。それまで多数派だったことが当たり前じゃなくなったり、少数派だったスタイルが普通になったり。でも手に負えないものには柔軟で受け入れることに慣れてる日本人、意外とすぐ新しい日常に適応して新しい価値観を生くのかもしれません。

7月8日

#99 / ロック全盛期だった時期にライブにもまれ濃い日々を過ごしていた山下先生。しかし今戦う相手は社会でもオトナでもなく目に見えないウイルス。技術の進化で新しい熱狂が生まれるにせよ、今はまだ生の魅力には届かない。思いっきり騒げる日が待ち遠しいですね。

7月9日

#100 / 大リレーのアンカーを努めたのは『あしたのジョー』の森川ジョージ先生。スタートを切ったちばてつや先生の作品をリスペクトした構成となっています。しっかりと企画を締めくくりつつ、また最初に戻って読み直したくなるような、本企画の最後にふさわしい作品となっています。

Manga Day to Dayが終わっても、非常な日常は続く

感染者数も少ない状態で落ち着き、娯楽施設なども制限付きで再開されたりと、街に人が戻り始めていた6月、7月。全員が不安と緊張に包まれていた3月や4月からしばらく経ち、新しい生活に慣れたり新たな生活を楽しんだりする人がいる一方、仕事や家族との関係、健康など様々な問題を抱えたり厳しい状況に置かれていた方も多いと思います。この時期を舞台にした公開作品を見ても、その多種多様な日常がそのまま反映されているようです。

4月を舞台に始まったMANGA Day to Dayは、7月初旬の比較的落ち着いた状況の時点で幕を閉じました。しかしご存じの通り、その直後に第ニ波と判断してもおかしくない感染者数の増加が7月中旬から再び発生しています。物語の終わりの先には読者の知らない主人公たちの浮き沈みがあるように、この企画が終わった後も、私たちの非常な日常はまだまだ続くようです。

そんな日々の移り変わりとそれぞれの日常を、100名以上の先生方が当時の状況、異なるテーマ、それぞれの視点で描いてきたMANGA Day to Day。リレー連載形式で公開されてきたこの企画は、コロナ禍における私たちの生活や思いを生々しく記録し、100年後に今を振り返った時、感染者数や政策といった全体象だけでなくそこを過ごした人々のリアルを伝えてくれることと思います。

今を忘れない為に、今しか生まれない作品を世に送り出してくれた本企画に心から感謝を込めて。MANGA Day to Day関係者様、参加された先生方、本記事にお付き合いくださった読者の皆さん、本当にありがとうございました!

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