ソラジマCEOとCOO+GANMA!コンテンツP大いに語る!【後編】これからのスタンダードはYouTubeアニメ 変容するアニメーション そしてマンガの在り方

原作はもちろん「YouTubeアニメ」という新たな領域で大きな話題を集めている『女子力高めな獅子原くん』。

前編では「YouTubeアニメ」を作成しているソラジマさんと原作を担当しているコミックスマート GANMA!コンテンツプロデューサーさんに、知られざる制作背景や「YouTubeアニメ」の特徴についてお伺いしました。

ソラジマCEOとCOO+GANMA!コンテンツP大いに語る!【前編】『女子力高めな獅子原くん』に見るYouTubeアニメの正体とヒットの条件

“シンプルに動画のクオリティがどんどん跳ね上がってきていますよね”とソラジマ・前田さんが語る「YouTubeアニメ」。後編では、そんな名実ともに盛り上がりを見せている「YouTubeアニメ」のこれからについてアニメとマンガそれぞれの視点から語っていただきました。

YouTubeアニメとアニメの違い

ーー先ほどYouTubeアニメのクオリティがどんどん高くなっていると仰っていましたが、YouTubeアニメとアニメの違いをどのように定義していますか?

一言でいうとYouTubeアニメは「スナックカルチャー」だと定義しています。YouTubeアニメは、仕事の合間や帰宅時間、空き時間にスマホでサクッと見れる...。反対に地上波のアニメだと最低でも30分はTVの前にいなければならないので、時間はもちろんボリューム的にも結構重いんですよね。

YouTubeアニメやアニメという括りや、ましてやYouTubeアニメがアニメに取って変わるということはないと思っていて、僕は作品をメディアごとに適切なタイミングで広げていきたいと考えています。

より多くの人に届くようにメディアに合わせて作品を最適化していくイメージです。最近だと、YouTubeアニメの動画を編集してTikTokに投稿することにもチャレンジしていて、現時点で20万人のフォロワーさんに支持されています。メディアを拡張しながら動画を最適化する、そして各メディアにいる潜在的なファン層にしっかりとアプローチして全体のファンの母数を増やしていきたいです。

出典元:https://vt.tiktok.com/ZSJDDHpye/

最近だと、アニメ会社さんからYouTubeアニメを作りたいです!と依頼されることも増えてきました。もしかしたらアニメとYouTubeアニメの境目が無くなる日もくるんじゃないかなと思っています。

あと、アニメとYouTubeアニメの決定的な違いは「機動力」ですね。地上波だとアニメ化が決定してもまずは製作委員会を作って...という感じで実際に放映されるのは2年後なんてこともよくあるのですが、YouTubeアニメの場合はやりましょう!って言ったら『女子力高めな獅子原くん』の場合は3ヶ月でできました。

女子力高めな獅子原くん』は、2020年8月にソラジマさんに話を持ち掛けたのですが、その3ヶ月後の11月末にリリースしたのでスピード感が本当にすごかったです。GANMA!とソラジマのチームプレーが本当に素晴らしかったです。

チームプレーという面では、僕らはお互いが常に背中を合わせて戦っている状態なんですよね。YouTubeアニメ的にこうした方が良いと思います!という提案も、安田さんはIPを傷つけない範囲でかなり意見を通してくれる。その背景には、安田さん自身がYouTubeをよく研究されているという面もあると思います。

お互いのことを理解しながらも、守備範囲を冒しすぎないようにコンテンツと向き合ってます。

女子力高めな獅子原くん』みたいに人気コンテンツやプロキャラクターを使えば使うほど組織が絡んでくるので、お互いを理解する力と調整する力がYouTubeアニメを制作する上でかなり重要にになってくると思います。

ーー反対にGANMA!さんとソラジマさんの間でハードルになったことはありますか?

やっぱり作家さんからの理解を得ることが課題でしたね。YouTubeアニメという、新しくて慣れていないものにチャレンジするって不安なことが多いと思うんです。作家さんは、作品の世界観が壊れないかどうかを心配されていたので、そこは密にコミュニケーションを取って、YouTubeアニメのレギュレーションをしっかり作って運営して解決していきました。

僕らは大切なIPをお預かりしているという意識でYouTubeアニメを制作しているので、制作側も本当に真摯に向き合っているんです。

ソラジマのクリエイターたちはとにかく「良いもの」を作りたいという意識が強いですね。ただ単に依頼されてYouTubeアニメを作っている訳ではないので、原作者からコメントをもらった時も各々真剣に向き合い「でもYouTubeアニメならこうした方が良い!」という代替案を提案することも多いです。

YouTubeアニメとマンガのこれから

ーーYouTubeアニメの今後についてお聞きしたいのですが、ずばりマンガとはどのような関係性になっていくと思いますか?

すごく難しい質問ですね。まずマンガを原作ではなく、もう1つの上のレイヤーのIP<知的財産>として捉える必要があると思っています。

例えば『ドラゴンボール』ってマンガの連載終了後もアニメや映画、ゲームなどが展開されているじゃないですか。でも、キャラクターが変わったりとか、ましてや他の世界線を舞台にしていることは一切なく基本的には全て繋がっている話ですよね。

マンガは確かに原作なんだけれども、IPという範囲で見るとマンガもIPの一部。マンガはもちろんキャラクターや世界観と言ったIPを広げるための1つの手段として今後YouTubeアニメが利用されるのではないかなと考えています。

ーー今までは、単行本化、アニメ化と言った流れが主流だったと思うのですが、そこにYouTubeアニメ化という手段が加わる訳ですね。

面白いなと思う事例がありまして、以前は同人作家さんにお声がけしてYouTubeアニメを制作していたのですが、とある作家さんは「YouTubeアニメになりやすいんじゃないかな」と思って作ったと仰っていて、作家さんご自身で各メディアの傾向を分析をしている方もいるんだと感じました。

今って、Twitterとマンガ家さんの相性がとても良いと言われていると思うのですが、YouTubeアニメも同じような流れになるのではないかなと考えています。Twitterに遅めに参入して苦戦した作家さんは、いち早くYouTubeに取り組んでいらっしゃる傾向が強いです。

マンガ家として活躍するための手段が増えているので、どのようにマンガ家としてのキャリアを歩んでいくのかはしっかりと考えた方が良いですよね。

手段の一つとして、これからYouTubeアニメで自分のマンガを広げていく...というのはかなり主流になっていくのではないかなと考えています。

ーーマンガファンからすると原作者への還元は非常に気になるところなのですが、YouTubeアニメはいかがでしょうか?

もちろん収益の一部を原作者に還元しています。

弊社が運営している『ヤクザと目つきの悪い女刑事の話 (通称:ヤク目)』というYouTubeアニメチャンネルがあるのですが、もともと大手出版社に持ち込みをしていたものの連載まであと一歩届かなかったという過去があり、即売会やSNSで知って僕らがお声がけしたんですよ。

昨年の5月にチャンネルがスタートしたのですが、なんと今度(5月14日)に単行本が発売されることになったんですよ!新作の準備をする一方でYouTube収益があるという金銭的なところはもちろん、YouTubeアニメでヒットした漫画が単行本になって還元される面って結構あるんですよ。

出典元:https://www.youtube.com/channel/UCRS6ZXyvJirID_ovtaYFV-A

ーー今後それぞれが想定している、または狙っているユーザーの特徴について教えてください。

特定のユーザーを狙うのではなく、より多くのファンを獲得するために各メディアをハックしていくことが非常に重要だなと思ってます。例えば、Twitterだったら4枚構成、TikTokなら10秒という具合に、作品を各メディアに適した状態に最適化してく。そして、各メディアでヒットを出して相乗効果でファンの母数を増やしていく...そういうな戦略を取っていくことが大切だと思います。

ーーある程度のITリテラシーがないとかなり厳しい戦いになりそうですね。

そうですね。その点GANMA!を運営するコミックスマートは、デジタルマーケティング事業を主軸に展開するセプテーニグループのグループ会社であり、僕自身もセプテーニでクリエイティブディレクターやアナリストを経験してきたのでその知見をかなり活かしています。

GANMA!の作品は最近ではMVで使われていて、マンガを作っているというよりもIPを作っている会社という印象が本当に強いですね。

ーーちなみに安田さんがマンガをIPとして捉えるようになったきっかけは何だったのでしょうか?

コミックスマートに転籍した後、マンガ編集を5年経験したのですが、担当する作品によって人気にばらつきがあったり...という状況の中で「作家に対して自分ができることは何か?」を考え始めたことがきっかけですね。

GANMA!でヒット作を出すために、Twitterに投稿して多くの人に知ってもらおう!次はTikTok!YouTube!と色々なメディアを試していくうちに、マンガをマンガという範囲で捉えきれなくなってきたんですよね。

ーー完成して終わりではなく、いかにたくさんの人にマンガを読んでもらうかを突き詰める安田さんの情熱は凄まじいですね。ソラジマのお二人は、今後YouTubeアニメでトライしたい領域や展望はありますか?

まずYouTubeアニメは、これからもっと大きくなっていく市場だと思っています。既に連載が終了した過去のマンガをYouTubeアニメ化してヒットさせる、そしてマンガも再ブレイクして売れる...というようなマンガやアニメの共存事例も作っていけたらなと思っています。

個人的にYouTubeアニメの次の時代はギャグだと思っているんですよね。実は、アニメでギャグを作るのって、間とか尺の関係上すごく難しいんですよ。多分、今YouTubeアニメをやってるプレイヤーの中でもこれを実現できるスタジオって少ないんじゃないかな…。でも、YouTubeアニメでギャグが作れるくらいの熱量と脚本家がソラジマには揃ってきたのでトライしてみたいですね!

中長期的な今後の展望としては、YouTubeアニメから誰もが知る国民的ビッグタイトルが誕生すると思ってます。例えばマンガなら『ドラゴンボール』、TVアニメなら『エヴァンゲリオン』、ラノベなら『SAO』と、各インターフェースですでに最強のIPが生まれています。YouTubeアニメというインターフェースでそういったビッグIPが生まれるのも時間の問題じゃないかなと思っています。

僕たちが今やっていることが業界のスタンダードになるまでにあと2〜3年はかかると思っています。『女子力高めな獅子原くん』はもちろん、これから僕らが手掛けるチャンネルを見てもらうことで、作家さんたちにも「YouTubeアニメで作品を展開することは全然怖くないんだよ!」という、ある種の良いフィルターをかけていければと思っています。


YouTubeアニメの正体。それは、従来のアニメやマンガを脅かす黒船のような存在ではなく、より多くの人に作品を届けるための新たな手段の一つでした。

マンガから入る、アニメから入る...。といった作品のファンになるきっかけの一つに「YouTubeアニメから入る」という選択肢が一般的になる日もそう遠くはないのかもしれません。


🎤 前編インタビュー記事はこちらからどうぞ!

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