現在新型コロナウイルスがあらゆる人や業界に影響を及ぼしていますが、出版業界も例外ではなく、雑誌の刊行延期等が相次いでいます。
そんな中、good!アフタヌーンにて連載中のビブリオファンタジー『図書館の大魔術師』(※)についても、5月7日に予定されていた第4巻の発売延期が発表されました。新たな発売日は6月5日の予定です。
(※)本作のタイトルについて、単行本の表紙等では『圕の大魔術師』と表記されていますが、この記事ではアフタヌーン公式サイトの表現に合わせています。
5月発売予定でした『図書館の大魔術師』4巻がこの度の新型コロナウイルス禍、およびそれに伴い発令された緊急事態宣言を受け、発売を1ヶ月延期することとなりました。楽しみにしてくださっていた皆様、誠に申し訳ございません。
どうかこれからも『図書館の大魔術師』を何卒よろしくお願いいたします。 https://t.co/JUn4lEzo3r— アフタヌーンふりはた (@f_saori3) April 10, 2020
2019年8月の第3巻発売以来、首を長くして待っていたファンにはショックですが、今の情勢を考えれば仕方のないこと。ここまで待ったのだから後1ヶ月くらい!そんな風に切り替えようと思っていたところ…思わぬ朗報が!!
図書館の大魔術師4巻が延期になり申し訳ないということで単行本発売の6月5日までツイッターをやらせていただきます。— 泉光 (@izumimitsu1102) April 10, 2020
なんと、作者の泉光先生がTwitterアカウントを開設!延期でやきもきしているファンに向けて、期間限定で情報発信してくれるそうです。なんて優しさ!ありがとうございます先生!!
気になる内容は?
さて内容ですが、先生のツイートによるとメインコンテンツは下記の通り。
月・金曜日:『図書館の大魔術師』の舞台、「アトラトナン大陸」の歴史に関するツイート
火・土曜日:カバー絵等の文字抜き版イラスト投稿
水曜日: 過去の読み切り作品投稿
え、めちゃくちゃ盛沢山なんですが…これは期間限定ゆえの豪華さと言っていいかもしれません。楽しみすぎる。
『図書館の大魔術師』あらすじ
ここでまず、本作のあらすじについてざっとおさらいしましょう。(より詳しい情報が知りたい方は作品レビューのリンクを参照ください。)
あらすじ
ヒューロン族の小さな村に住む少年、シオ・フミス。勉強熱心で本が大好きな彼ですが、外見の違いや貧民街に住むという環境から、周りから疎外され苦しい日々を過ごしていました。
そんなある日、本の都「アフツァック」から魔術書の調査として「司書(カフナ)」の一団が村に訪れます。アフツァックの中央図書館には大陸中の本が集まると言われ、そこで数多の本を護るカフナは超難関の試験を勝ち抜いたエリートたち。村を訪れたカフナの1人、セドナとの出会いにより、シオは己の力で物語を動かさなければ何も始まらないことに気づき、憧れのカフナを目指すことを決意するのでしたー。
物語の舞台裏
「アトラトナン大陸」はシオたちが暮らす大陸の名前であり、大きく分けて7つの種族が暮らしています。過去には「ニガヨモギの使者」や「民族大戦」などの大災があり、「7人の大魔術師」の活躍により現在は平和と均衡を保っているものの、彼らが老い世代交代が進んでいることで世界に変化の気配が訪れています。
今回Twitterで公開されるのは、この大陸が歩んできた歴史について。緻密な舞台設定や謎が本作の大きな魅力の一つですが、読者には想像も及ばないその深遠な世界観を、ツイートで覗き見ることができそうです。
はるかはるか昔
まだそこには大陸はなくいくつもの島々があるだけでした。
その島々ではセラーノという竜達が繁栄していました。#アトラトナン大陸の歴史 pic.twitter.com/kmDimdtWwb— 泉光 (@izumimitsu1102) April 17, 2020
また、泉光先生の真骨頂ともいえるのが、そのあまりに美しい情景描写。特にアフツァック中央図書館の荘厳さは圧巻で、見開きページでは思わず声が漏れてしまうほど。(コマ投稿ではその迫力を伝えきれないので、ぜひ本編を…!)
数々の美しい建物、風景たちが一体何を元に書かれているのか気になるところですが、それに関してもこんなツイートが。
今日はオーストリアの美しい図書館をどうぞ pic.twitter.com/SOlFJcDf4I— 泉光 (@izumimitsu1102) April 16, 2020
どうやら先生は連載開始直前にオーストリアに取材へ行かれていたようで、詳細は言及されていませんがオーストリア国立図書館(Austrian National Library)やアドモント修道院の図書館(The library of Admont Abbey)などを訪れているようです。
筆者もこの2つの図書館に行ったことがあるのですが、その美しさはもちろん、世界の叡智を集めようとした先人たちの想いが未だ空間に満ち溢れているようで、踏み入れた瞬間に自然と黙って立ち尽くしてしまうような感動がありました。あの実在する書の遺産が、先生にもインスピレーションを与え物語の一部になっている…そう考えると本作が放つ説得力も納得です。
もしかしたら、今後もこういった舞台裏の情報が出てくるかもしれません。要注目。
過去の読み切り作品が順次公開
さらに今回のアカウント開設で大きな目玉となるのが、4月15日から毎週水曜日に順次公開される計8作の読み切り作品です。『図書館の大魔術師』の世界へ至るまでの軌跡を追うことができる、めったにない機会。先生の緻密で柔らかいタッチやその作風がどんな変遷で出来上がったのか、ファンなら絶対チェックすべし。
4月15日 第一弾『最終列車5分前』16p(公開中)
4/15 第一弾『最終列車5分前』16p
3作目。友人と駅で再会する話。
趣味で描いたものを他のネームに添えて出したところ
代原の機会があり載ることになった読み切りです。
ショートショートは大体この流れで載ります。 pic.twitter.com/WbpSQ9YpZE— 泉光 (@izumimitsu1102) April 14, 2020
4月22日 第二弾『少女は屋根裏に住む勇者の夢を見るか?』16p
4/22 第二弾『少女は屋根裏に住む勇者の夢を見るか?』51p
4作目。本好きの少女と未来から来た少女の話。
最初はボツネームでしたがどうしても描きたかったので
あの花の仕事を受けたときに交渉して載せてもらった作品です。
自分の作風を決め現在の基礎となっています。 pic.twitter.com/RTQ5Pf8WzQ— 泉光 (@izumimitsu1102) April 14, 2020
4月29日 第三弾『花盛りの引き継ぎ』4p
4/29 第三弾『花盛りの引き継ぎ』4p
7作目。原作だけ担当したショートショート。
今回このツイッター用に清書します。
たった4pの中にも私らしさがよく出ている作品になっています。 pic.twitter.com/WK3VGRubWH— 泉光 (@izumimitsu1102) April 14, 2020
5月6日 第四弾『圕の見習い司書』55p
5/6 第四弾『圕の見習い司書』55p
9作目。巨大図書館の司書の話。
大魔術師の原型・・・ではなく大魔術師の方が原型で
あれを読み切りで試さなければならなくなったので
無理やり作ったパラレルワールドです。
その結果企画はしばらく冬眠へ―― pic.twitter.com/L0xkWP3AAi— 泉光 (@izumimitsu1102) April 14, 2020
5月13日 第五弾『空雲の雨刻み』13p
5/13 第五弾『空雲の雨刻み』13p
5作目。ネコを拾う話。
あの花連載中の休憩時間に趣味で描いた原稿を編集部に押し付け増刊号が空いていたので以下略。
詩的な雰囲気を試したかったんだと思います。
私の作品には珍しく見開きがありません。 pic.twitter.com/EH3LRIfYLw— 泉光 (@izumimitsu1102) April 14, 2020
5月20日 第六弾『三日月山のモリモ』49p
5/20 第六弾『三日月山のモリモ』49p
2作目。少女と山の神の出会いの話。
初めてのデジタル原稿で今見るととても恥ずかしい出来栄えです。
描いてる最中に東日本大震災が起こり怯えながら作業していました。 pic.twitter.com/YdADv6zEad— 泉光 (@izumimitsu1102) April 14, 2020
5月27日 第七弾『nimbus』10p
5/27 第七弾『nimbus』10p
6作目。オンラインストレージを解約する話。
あの花連載趣味ネーム増刊以下略。
10頁の中に自分の技術と感性が全て詰まったお気に入りの作品です。
ショートショート大好き。 pic.twitter.com/NTXOEm0xar— 泉光 (@izumimitsu1102) April 14, 2020
6月3日 第八弾『アリスのごみ屋敷』64p
6/3 第八弾『アリスのごみ屋敷』64p
8作目。ごみ屋敷の主とそこを訪ねてきた女性の話。
また趣味で描いたものを載せてもらおうとしたら
さすがに頁が多すぎると断られ
載せてくれるところを探す旅に出たのが思い出です。
その結果今のGOODアフタヌーンが引き取ってくれました。 pic.twitter.com/edVhkHtpHc— 泉光 (@izumimitsu1102) April 14, 2020
今すぐフォロー!!
とにもかくにも、今すぐやるべきことは泉光先生のTwitterアカウントをフォロー、それだけです。そして悲報の後に訪れたこの思いがけない幸福を存分に味わいましょう!!
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