暖かな日差しに春の訪れを感じる今日この頃。この季節になると誰しもが心惹かれずにはいられないのが「桜」です。全国的に平年よりも早い開花となった2021年。まさに今、お住まいの地域の桜が満開なんて方も多いのではないでしょうか。
にぎやかなお花見は叶わないかもしれないけれど、美しい桜を眺めながらマンガの世界に浸るのもまた一興。そこで、今回はお花見のお供におすすめなマンガをご紹介します。1巻で完結する作品たちなので、ぜひマンガ片手にお花見を楽しんでみてはいかがでしょうか。
本格ミステリーに浸る
🌸山羊座の友人 / 乙一先生・ミヨカワ将先生
殺人を犯した少年とその現場に遭遇してしまった主人公が繰り広げる逃避行劇。ミステリーが主軸となっている作品ですが、主人公は少し先の未来が見えているというSF要素、そして2人の逃避行劇から青春要素が感じられる濃厚な一作です。原作は小説家・乙一先生による同タイトルの短編小説。乙一先生ならではの切なさが残る読了感と、ストーリーとマッチした繊細な作画が魅力的です。
🌸運命の女の子 / ヤマシタトモコ先生
「マンガ大賞2020」にノミネートされた『違国日記』のヤマシタトモコ先生による長編読み切り作品集です。本作に収録されている作品の中でも、一際強烈なインパクトを見せるのが「無敵」というお話。大量殺人犯の女子高生と対峙する女刑事の葛藤と恐怖を描いたホラーサスペンスで、セリフの余韻、登場人物の目線...といった作中に漂う不気味でミステリアスな雰囲気に圧倒されます。
心を揺さぶるヒューマンドラマ
🌸don't like this / 鶴谷香央理先生
〇〇はあまり好きじゃない...。そんな「苦手」なことばかりな女性が、元同僚から届いた何気ないメッセージをきかっけに、新しいことにチャレンジをして少しずつ「好き」を増やしていく物語。
筋金入りのインドアの主人公が新しく始めたのはなんと”釣り”。釣りを通して初めての場所や人と交わり、新しい出会いを紡いでいく彼女の物語は希望に満ち溢れていて、新しい一歩を踏み出す勇気を私たちに与えてくれます。
🌸この町ではひとり / 山本さほ先生
マンガ家・山本さほ先生が「二度と戻りたくない」という自身の暗黒期を描いた作品。美大受験に失敗して自宅に引き籠ってゲーム三昧の日々...。そんな自分を変えたくて心機一転、誰も自分を知らない町に引越しをしてアルバイトを始めるのですが、そこで待ち受けていたのは一癖も二癖もあるバイト仲間たちでした。誰しもが人生で一度は経験するであろう孤独や不調な時期、そんなそれぞれの心の中にある暗黒期に寄り添ってくれる作品です。
🌸旅する缶コーヒー / マキヒロチ先生
缶コーヒー片手にお花見を楽しんでいる方も多いのではないでしょうか?いつでもどこでも手に入って、私たちをほっと和ませてくれる缶コーヒー。そんな缶コーヒーを飲むと蘇る初恋、友情、家族にまつわるオムニバスストーリーが詰まった作品です。缶コーヒーのように味わい深い人間ドラマに浸ってみませんか?
🌸薔薇はシュラバで生まれる-70年代少女漫画アシスタント奮闘記- / 笹生那実先生
70年代の少女マンガ界を牽引した美内すずえ先生、くらもちふさこ先生、樹村みのり先生、三原順先生、山岸凉子先生...。そんなレジェンド達の元でアシスタントをしていた著者が当時の貴重な体験を描いたコミックエッセイ。華やかな少女マンガの世界とは裏腹に想像を絶するほど、アツくて過激でシュールな制作の裏側は必見です。
かつての恋愛に思いを馳せる
🌸一生好きってゆったじゃん / 横槍メンゴ先生
「マンガ大賞2021」で5位にランクインした話題作『【推しの子】』の横槍メンゴ先生が贈る恋愛短編集。結ばれなかった初恋の人、同級生...といった"叶わなかった恋"を描いた本作からは、切なさを超えて心がヒリヒリするような痛みを感じます。桜を見ると思い出す、そんなあなたのかつての恋に思いを馳せながら読んでみてはいかがでしょうか?
🌸ミッドナイトブルー / 須藤佑実先生
タイトルにもなっている『ミッドナイトブルー』とは色の名称のことで、ほとんど黒に近い青で「真夜中の青」とも言われています。まさにこのミッドナイトブルーというタイトルを表しているかのように、作中には静かでノスタルジー溢れる雰囲気が漂います。本作で描かれる戻れない青春の日々と恋愛はもちろん、ブルー調のトーンで仕上げられている美しい装丁にも注目です。
今年はマンガ片手にお花見
美しい桜に囲まれながらゆっくりとマンガに浸る、そんなニューノーマルなお花見。大勢のお花見も楽しいですが、一人で桜を感じながらマンガを読む時間は今の季節だからできるとっておきの贅沢です。今週の週末はマンガ片手に桜を楽しみましょう。