ホラーが好きだという方は、恐ろしいものを「怖い」と分かっていても、あえて体験しようとします。
汗水垂らして働いたお金を払ってまで、お化け屋敷で悲鳴を上げている姿は、ホラーが苦手な人からしたら理解不能かもしれません。
しかしながら、こうした非リアルとリアルの境界線が不確かになるような揺らぎを楽しむのが、恐怖体験の醍醐味です。
そこで恐ろしい体験を気軽に味わうことができる、血の気が引くようなマンガを集めてみました。
『猫で語る怪異』
少しでも怖いのが苦手な方でも読めるように、「人間」を「猫」に置き換えて描かれた怪談集。
作画がかわいいので油断しますが、話は普通に怖い。見た目は猫ですが中身は人間の話なので、勝手に脳内で人間に変換され、ゾクリとさせてくれます。
怖さを残しつつ、猫の可愛さで怖さが表現される「こわいい」マンガとして、ホラー好きや猫好きに支持されています。
『詭弁学派、四ッ谷先輩の怪談。』
噂が噂を梯子して生まれ落ちるは、嘘か実か
『ハイキュー』の古舘春一先生による、週刊少年ジャンプで連載していた、怪奇現象や事件を解決する四ツ谷先輩と、その助手・マコの物語。
怪談を創り、犯人を恐怖で追い詰めるという、ホラー × ミステリーを楽しむことができる作品で、ホラーシーンは少年誌と言えど迫力があります。
ただ、一般のホラー作品よりは怖さ控えめで、コメディ要素も多々ある上、怪談とは何か、より恐怖心を駆り立てる良い怪談とは、というようにホラーについての知識も増えていく作品です。
『サユリ』
夢のマイホームを手にした家族が、その中古物件に取り憑く霊・サユリに次々と呪い殺されていくという物語。全2巻で一気に駆け抜けます。
一般的に地縛霊ものの怖い話というのは、幽霊に対してなす術がなく、除霊する、引っ越す、などの解決策で難を逃れようとしますが、本作は一味違い、物語の後半は敗戦ムードから一転します。
ただし、凶悪な地縛霊であるサユリの描写が目を背けたくなるほど、ストレートに怖すぎるので、ホラーに慣れていない方は読むのは控えたほうが良いかもしれません。
ライターの個人的には、自分の本棚に置きたくないレベルで怖かったです.....
『死人の声をきくがよい』
幽霊が見える主人公・岸田純が様々な怪異に遭遇し、その度に幽霊となった幼馴染の早川涼子に助けられる物語。
都市伝説、怪奇現象、心霊現象など幅広いテーマを扱った、正統派のホラー作品です。
第3話の「死を呼ぶ観覧者」は、廃墟となった遊園地を舞台にした話で、東京にあった多摩テックやとしまえん、福岡県のスペースワールドなど、大きな遊園地が立て続けに閉園しているこのご時世に、読んでおきたい一話です。
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『カラダ探し』
県立逢魔高校の学校の怪談、血みどろの少女の霊「赤い人」。
彼女に遭遇してしまい、体をバラバラにされた生徒から「私のカラダを探して」と頼まれた生徒たちの物語。
学校で噂されている怪談をヒントに、深夜の校舎を舞台に悪霊から逃げつつ、奪われた友達の体を探していくストーリーで、「赤い人」の謎を解き明かすミステリー要素も楽しむことができます。
ページをめくると背筋が凍るシーンが出てくるように設計されるため、本作を最大限楽しみたいという方は、紙の本か大きめのタブレットで読むのがオススメです。
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『ジンメン』
7年ぶりに故郷へ戻ってきた主人公・神宮マサトは幼馴染みのヒトミをデートに誘い、大好きだった動物園に訪れるのですが、人間の顔が付いた動物に突如襲われてしまうというアニマルパニックホラー。
動物と人間の顔を組み合わせると、ここまで気持ち悪くさせることができるのか、というインパクトのある絵柄が特徴的です。
子犬が登場するシーンで、つぶらな瞳をした普通の犬が出てきたと思ったら.....
という感じで、とにかく作画で読者を怖がらせてくる作品です。
pic.twitter.com/Ulj4kqra2K— カトウタカヒロ@ジンメン最終13巻発売中!!!! (@ogitaka96) July 7, 2019
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『悪の教典』
いじめや授業妨害、モンスターペアレントなどの問題が山積みな高校を舞台に、生徒や教師から大人気の敏腕教師である主人公・蓮実聖司がトラブルシューターとして活躍する物語。
と思いきや、問題解決のためには法を犯すなど手段は問わず、実は他者への共感能力が皆無なサイコパス教師だった、というストーリー展開です。
勤務先の高校を自分の心地よい王国にするため、自分の愉しみを邪魔するものは例外なく排除するというスタンスのもと、周りの人間を社会的に抹殺したり、殺人まで犯す主人公。
自分の周りを飛び回っているハエを殺虫剤で殺すように、悪意も無く淡々と犯罪行為をしていき、トラブルを処理するために、殺人という手段が当たり前のように選択肢に入っているのがホラーです。
『ホームルーム』
女子高生の桜井幸子は、毎日陰湿ないじめを受けており、誰がやっているかは不明で、担任の愛田先生がいじめをなくすために奮闘する物語。
しかし実際は、クラスメイトから幸子はいじめを受けておらず、やっていたのは愛田先生だったというサイコパスホラーな展開。
幸子に対する異常な愛はストーカーにまで発展し、愛田先生の狂った言動は大変気持ち悪いです。
毎晩幸子の部屋に忍び込み、寝込みを襲い、朝になったら彼女の歯ブラシで歯を磨いて出勤するという、最低のモーニングルーティンをこなします。
コミックDAYSというマンガアプリで連載されており、スマートフォンで読まれることを想定してマンガが作られているため、見開きのページでは常に左ページにゾクリとさせる描写があります。
『血の轍』
僕たちは母から生まれ、母から育まれ、人になる。
「毒親」をテーマにした、主人公である静一の母・静子の、息子に対する過剰な愛情を描いた物語。
中学2年生である静一に対して愛情が爆発している静子ママは、息子を守るために従兄弟を崖から突き落としたり、彼が親しくしている女子からの手紙をビリビリに破いたりと、静一が恐怖を覚えるほど普通ではない言動をしてしまいます。
本作は登場人物の心理描写が無く、静一と読者にとって、静子ママが何を考えているのか分からないサイコパスな母親に仕上がっていく様子が非常に怖いのです。
誰にでもいる「母親」という存在の危うさを表現しており、母と息子がズブズブの関係に陥っていく様子が生々しすぎる作品です。
👉ビッグコミックBROS.NETで試し読みができます。
『それでも町は廻っている』
下町・丸子商店街を舞台に、探偵オタクの女子高生・嵐山歩鳥やその家族、友人が織りなす人情コメディ。
『それでも町は廻っている』はホラーがメインの作品ではありません。「コメディ7:ミステリー2.5:ホラー:0.5」という感じです。
しかしこの0.5が絶妙に怖い。読者としてはほのぼの日常マンガを読んでいるのにも関わらず、予期せぬところでふっと怖い話がくるので、普通のホラー作品よりもゾクリとすることがあります。
恐怖の余韻もホラーの醍醐味
「心霊的な怖さ」「人間の怖さ」「偏愛の怖さ」など、様々な「怖い」を集めてみました。
夜に一人で眠れなくなったり、鏡が怖くなったり、シャワーを浴びている時に背後が気になって仕方なくなったりなど、一時的に生活に支障をきたすかもしれませんが、それも含めてのホラー作品です。
怖いのは苦手だけど、少しだけ気になるという方は、『猫で語る怪異』『詭弁学派、四ッ谷先輩の怪談。』などの初心者向けの作品をまずは手にとって、徐々にレベルを上げていくことをオススメします📚
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