東京 (28)
「日々の細かな気づきを、作品の中に盛り込むのが苦手。だからそういうものを集めてオチビサンを描いた」というようなことを、安野モヨコ先生はインタビューの中で答えていたのです。 なので、オチビサンでしか垣間見ることのできない先生の感性というのが詰まっています。 そしてこれがまた、とても味わい深いのです。 オチビとナゼニのぽつりぽつりとしたやりとりを、まわりの風景が優しく見守っています。 たとえば、丁寧に仕上げた一品料理を、それに似合う器にもりつけて、コトン、と出してもらったときのような読後感。 安野モヨコ先生の選ぶ色彩が大好きな私としては、このカラー版というのはすごく魅力的です。コピックペンを初めて買って紙にスッとひいたとき、ずっとあこがれていた絵を自分でも描けるのかもしれない!と胸が踊ったのを思い出します。 結局わたしはそんな風にはなれない(ことに気づいてしまった)けど、もし息子が興味を示したら、"昔とった杵柄"をするのだと思います。 そのときのお手本は、もちろん安野モヨコ先生で。
2019年 10月 03日