東京 (28)
タイトルやイラストからは想像していなかった狂気ある漫画だった。読んでて得体の知れない不安に駆られた。ストーリーは、不仲だった両親がカルト教団にハマって、見せかけは平穏になった家庭で暮らす中学生くらいの男の子が一人暮らしをしてる姉に会いに行くんだけど、姉はアパートの中に作った秘密基地みたいな所に引きこもって出てこない。連れて帰ろうとか顔が見たいとかいうまともな思いがあるのかないのかよくわからないとこも狂気的だし、アパートの管理人も引きこもりばかり集めるのが娯楽だと言うのでおかしい。しかし果たしてこの姉を連れて帰ったところで家は幸せなのか。本当のまともさって何だろう。家庭を作るという難しさについても少し考えてしまった。幼い頃に育った家庭はもうないしあっても帰れない。大人になって新しく作った家庭は壊れてしまい、安心して帰れる場所というのは、今の私にはあるのか。そんな場所は本当にどこにもない気がしている。やけに絶望してしまった漫画だった。
2021年 01月 09日