人は、大事な「何か」を守るために突き動かされます。守るべきもの、守りたかったこと、そして守れなかった人。今回、『BLEACH』から強く感じる、守るという想いに注目して物語を追ってみたいと思います。
目次
- 『BLEACH』とは!
- 48巻まで期間限定で無料公開中
- 『守る物語」という軸
- 一護とルキア。守るのは「命」か「誇り」か
- 「掟」との戦い。朽木白哉との決着
- 守るべきもの。「心」の在り処
- 天鎖斬月が守りたいもの
- おわりに
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『BLEACH』とは!
『BLEACH』は、久保帯人(くぼたいと)先生の手によって『週刊少年ジャンプ』上で2001年〜2016年の15年間に渡って連載された作品です。その人気は凄まじく、売上は全世界で1億2000万部を突破、世界中にファンを持つ日本を代表する漫画の一つです!
2001年~2016年に集英社「週刊少年ジャンプ」で連載。コミックスシリーズ累計発行部数は、国内で9,000万部、全世界では1億2,000万部を誇る(全74巻)。
今年は『BLEACH』誕生から20年周年。様々な企画が準備されており、熱狂はまだまだ収まりそうにありません。
そこで今回は、今まさに本作がGW中無料公開されているタイミングに合わせ、本作を新しい視線で読み解く本記事ともう1本、『BLEACH』の話題を総ざらいした念には念の念押し魅力再確認記事との2部構成でお伝えできればと思います。
48巻まで期間限定で無料公開中
未読の方(一人もいないと思いますが念の為)、あまり詳しくない方(5回読みましょう)、連載終了から5年経って忘れてしまった方(毎日読みましょう)は、この記事を読む前にこちらを読むのがオススメです!
👉『BLEACH』をもう一度読む。15年間1億2000万部のエビデンス
2020年4月28日現在、その『BLEACH』が2020年5月6日(水)まで、以下サービスで48巻まで無料公開されています!
原作20周年プロジェクトの一環で始まった期間限定の企画でしたが、昨今の情勢を鑑みて二度の延長が実施され今に至っています。
『BLEACH』に興味があってネタバレはされたくないよ!という方は上記のリンクから、今すぐ48巻までお読みください!
『守る物語」という軸
『BLEACH』の始まりは、一護が自分を庇ってくれたルキアと家族を守るために、彼女から死神の力を受け継ぎ、巨大な斬魄刀を手に虚と戦う「死神代行」になることで戦いの日々が始まる、というものです。
そう、家族や自分の命を助けてくれたルキアを「守る」ために力を手に入れたのが一護のルーツなのです。
「俺は山ほどの人を守りてえんだ。」
この時の一護の語りは人に限定していますが、尸魂界の死神たちや、破面でありながら一護の仲間になったネリエルとの出会いを通して、魂魄や虚も守る対象となっていきます。
『BLEACH』は、一護が多くの出会いを通して心を通わせることで、守りたい「山」が増えていく物語であると考えます。
というわけで、「守る」をベースに『BLEACH』を読んだ時に重要になるエピソードを破面篇が完結する48巻までの中から数話厳選して紹介させていただきます!
一護とルキア。守るのは「命」か「誇り」か / 死神代行篇
3巻は1冊を通して「6/17」というエピソードが描かれており、一護の母親が亡くなった過去の6月17日と、現在の6月17日が交差して進行していきます。
一護は、強くなって守りたいと心に決めた母親を守れず、むしろ自分のせいで喪ってしまった後悔を抱えたまま生きていました。しかし、母親の死が悪名高く老獪な虚・グランドフィッシャーの仕業であると知った一護は、「俺の戦いだ」と言い、ルキアの力を借りることを強く拒み、今までで1番強力な敵に1人で挑みます。
戦いを見守るしかできないルキアは、過去を思い出し、一護に姿をある人物に重ねーー。
23話「6/17 op.7”意志は鋭し、刃は鈍し”」(3巻収録 )
「6/17」は、グランドフィッシャーとの戦いを通して、一護が持つ「守る」ことへの想いの強さのルーツと、ルキアの過去が示唆され、真の相棒になっていくまでが描かれています。
二人に共通するのは「大切な人を守れなかった」後悔を抱えていることでした。そのため、一護の死を恐れるルキアでしたが、「誇り」を守ることの意味も理解しており……。ここでのルキアの「死ぬな」と「ありがとう」は、物語が進んでルキアの全てがわかった後に読み返すと、その重さがわかります。
そして、過去のルキアに語りかける死神が言った「誇り」という言葉は、それぞれの登場人物に深く根差しており、一護が立ち向かい、戦うべきものとして描かれていきます。
連動して読んでほしい48巻までのエピソード
135話「memories in the rain2 op.3”Affected By the Night”」(16巻収録)
23話で断片的に描かれたルキアの過去は、彼女自身が回想する形で詳細が描かれます。
死神となった自分の居場所を作ってくれた副隊長・志波海燕を守れなかったルキアの後悔と、知らないうちに受け取っていたものの大切さは、この先長い時間をかけて明かされていきます。
203話「Mala Suerte!2 [El Monstro]」(23巻収録)
十一番隊の三番手にして戦闘の達人・斑目一角は破面の猛者・エドラドに苦戦をし、命を落とそうとしていたがーー。
一角最大の戦いと言ってもよいエドラド戦は、彼もまた己の「誇り」にかけて虚と戦っていることが伝わるエピソードです。
「掟」との戦い。朽木白哉との決着 / 尸魂界篇
19巻では、一護と白哉の三度目の対決と、決着が描かれます。
互いの卍解をぶつけ合い、深い傷を負いながらも絶対に倒れないと誓った一護に白哉が語りかけます。
なぜ、義理の妹であるルキアを処刑せねばならなかったのか。
それは、白哉が「朽木家」という貴族の頂点の家柄に生まれ、死神たちの規範になるべき存在であるからだと言いーー。
167話「The Burial Chamber」(19巻収録)
死神の規範となるべく生まれた白哉もまた、「掟」を「守る」べく己の葛藤と戦っていました。白哉にとっての死神としての「誇り」は「掟」だったのです。
白哉はかつて一度だけ「掟」に背き、家柄に関係なく最も愛する人を妻に迎えており、それを最後に掟を破ることは絶対にしないと誓っていたのでした。
その白哉をして、一護が戦っていたのは百万年もの間不変である尸魂界の「掟」そのものであった、と言われており、一護はこの先も「変わらないもの」を変えるために、更に激しい戦いに身を投じていきます。一方で、一護自身は周りの仲間達に何と評されるか、という対比もまた面白いです。
連動して読んでほしい48巻までのエピソード
302話「Pride on the Blade」(34巻収録)
「掟」を守るべく生きていた朽木白哉が、一護との出会いで変わり、「破面篇」での十刃・ゾマリ=ルルーとの戦いではーー!?
全篇を通しての白哉の変化はとても面白いです。朽木兄妹の変化と到達点はぜひ見届けてほしいです…!
422話「A Silent Victory」(48巻収録)
尸魂界篇では高らかに勝利の宣言をした一護でしたが、「破面篇」最後の戦いの決着は……。この対比は美しいです。
守るべきもの。「心」の在り処 / 破面篇
「破面篇」からは、『BLEACH』を読む上で最も大切と言ってもいいかもしれない「心」について描かれたエピソードをを紹介します。
ルキアは、敬愛する志波海燕の姿をした「十刃」アーロニーロ・アルルエリに善戦していたものの、刀剣解放によって圧倒されます。身体を貫かれ、死を目前にしたルキアは走馬灯のなかで、海燕の教えを思い出しーー。
268話「君、死にたもうこと勿れ」(30巻収録)
戦いで守るべき「命」と「誇り」は、そもそも同じものであり、それは自分と誰かが触れ合う時に生まれる「心」だと志波海燕によって語られます。一護とルキア、死神と斬魄刀、隊長と副隊長、etc…。
『BLEACH』は、一対一の関係性が強調されて描かれており、それはこの「心」の在り処の描写を踏まえると、納得しかありません。
海燕が語る「心」の話は『BLEACH』の根本にあるものであり、このエピソードを踏まえた上で1話からまた読んでほしいと強く願います…!
連動して読んでほしい48巻までのエピソード
354話「Heart」(41巻収録)
ユウレイが「見える」「見えない」から始まった『BLEACH』。
破面の中では一護にとって最大の敵であるウルキオラは「虚無」という、何も無いものを司っており、人間が語る「心」が目に見えないことから理解できずにいました。しかし、彼は最期に、「心」が「見る」ものではなく「在る」と気づいてーーという、美しい散り際は、久保先生の描写力が光るシーンです。
ウルキオラを変えたのはヒロインであり一護に好意を寄せる井上織姫でした。織姫と一護は「破面篇」ではどういうやり取りを交わしたのか、尸魂界篇とはどう変わったのか、そして、彼女がウルキオラと最後に交わした言葉は、etc……。色々対比させると面白いです。
天鎖斬月が守りたいもの / 破面篇
最後に「破面篇」からもう1話。
藍染を倒すために強大な力を手にした一護は、自身の卍解「天鎖斬月」から精神世界で究極の奥義を伝授された瞬間を思い返していました。
藍染に勝利するための力を渡すことを拒む天鎖斬月の真意とはーー。
420話「DEICIDE 22」(48巻収録)
「お前の護りたいものが、私の護りたいものではないのだ。」
天鎖斬月のこの言葉は、『BLEACH』に登場する人物全てが抱えていると言っても過言ではありません。
例えばーー。
連動して読んでほしい48巻までのエピソード
124話「Crying Little People」(15巻収録 )
226話「Right of my Heart」(26巻収録)
一護と同じ人間でありながら、死神とは異なる滅却師(クインシー)の力で共に戦う仲間・石田雨竜(いしだうりゅう)と、父親と祖父との関係は、天鎖斬月の想いを先出しするような形で描かれています。
滅却師を継がずに医師として生きることを選んだ雨竜の父が守りたいものはーー。
最終章まで読むと石田家についてより深く理解することができて、破面篇では厳しかった雨竜の父が何を守りたかったのかを察することができます。
とても細かい描写ですが、メガネが外れた雨竜を見た父親が、誰を思い浮かべているのかがわかってしまうシーンがさりげなく描かれているのが226話の最高ポイントです。
また、先ほど紹介した、一護と白哉との決着が描かれた167話もまさに同じで、織姫が守りたいものが何であるかが具体的に描かれています。むしろ織姫は「尸魂界篇」に突入する前からしっかりと描写されているくらいです。
このように、「守る物語」として『BLEACH』を読むと、それぞれの人物が誰を・何を守りたいのかがわかって、新しい発見があるかもしれません。
たった数話の紹介では語りきれない、各人物の物語が、74冊の中に込められています!
おわりに
『BLEACH』は伏線、布石がとても多く、読み返すたびに新発見がある壮大で濃厚な物語です。なので、読む人によって見えるポイントも深堀りできるポイントは沢山あるはず!
👉『BLEACH』をもう一度読む。15年間1億2000万部のエビデンス
ぜひ色んな切り口で『BLEACH』を、Twitterでもなんでもいいので語ってほしい…!何なら、俺だって長々と語ってやるぜ!と思っている方は、「アル」のライターになって熱い『BLEACH』のレビューを書いてほしいです…!
無料で読めるんです!
しつこいですが、48巻まで無料です!
無料公開期間は2020年5月6日(水)まで!
『BLEACH』の今後が気になる方はチェック!
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