『BLUE GIANT SUPREME』は、主人公の宮本大が世界一のジャズプレーヤーを目指す音楽マンガ。前作『BLUE GIANT』から舞台をヨーロッパに移した本作の最終巻は、2020年10月に発売されました。
努力を積み重ね成長し続けるダイ。そんなダイに置いていかれないよう、もがく才能豊かな登場人物達。貪欲に最高のジャズを追い求める彼らの鼓動が、息遣いが、音楽が、しっかりと聞こえてきます。
今回はそのストーリーと魅力をおさらいしていきます!
世界一になる男についていけるか?
主人公・ダイがテナーサックスを始めたのは高校生になってから。決して早いとは言えない音楽との出会い。しかし、世界一を目指しひたむきに努力を続けます。
ただ、その熱量と努力が尋常ではないのです。サックスのメンテナンス日以外は練習を休まない。人前での演奏は、ライブだろうが河原で通行人にお願いされた時だろうが、その時の自分の全てを出し切る。
ダイを通して、世界一を目指すとはこういうことなんだと、登場人物達と共に目の当たりにする物語なのです。
読者は「自分は今全力で生きているのか?」と思わず自問してしまうことでしょう。
才能豊かな登場人物達が、ダイに抱く感情の変化
『BLUE GIANT SUPREME』は、ドイツへ渡ったダイがバンドメンバー集めをするところから始まります。無名のアジア人という偏見を演奏で捻じ伏せ、様々な才能と渡り合います。
やがて、ダイの努力と熱量に魅せられ一癖も二癖もあるバンドメンバーが集まります。小柄ながらパワフルなベーシスト・ハンナ、口は悪いが繊細で技術は一級品のピアニスト・ブルーノ、誰もが認める技術を持ちながら皆が楽しく演奏することを優先するドラマー・ラファエル、そしてダイはジャズバンド・NUMBER FIVEを結成します。
ダイよりも経験豊富なバンドメンバー達。彼らはダイと共に世界一のステージを登っていきます。しかし、ダイが際限なく成長していく中で、次第に、でもはっきりとダイに取り残されていきます。
一緒に成長してきた仲間がいた。でも、徐々にその歩みに追いつけなくなった。…皆さんも、そんな経験はありませんか?本作で共感できるのは、バンドメンバーの焦りや葛藤そしてある種の諦めかもしれません。
そしてラストライブへ
彼らはベルリンでのファーストライブを終えると、ヨーロッパツアーを開始します。寝食を共にしヨーロッパ各地でライブを続けるNUMBER FIVE。互いの理解を深めていく中で、バンドとしての完成度も上がっていきます。
決して仲良しバンドとは言えないNUMBER FIVE。しかし、確かな信頼関係でつながる4人は、とうとうヨーロッパの大舞台に立ちます。
彼らは旅の末にどのような演奏を見せるのでしょうか。ジャズバンドが同じメンバーで居続けるわけではないと考える彼らが、このライブの果てに下す決断とは。ぜひ見届けてください!