あさひなぐ

こざき亜衣 / 著

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突然決まった週刊連載!『あさひなぐ』こざき亜衣先生の新人時代

今年40周年を迎えたマンガ雑誌「スピリッツ」が、この節目に「創刊40周年記念 連載確約漫画賞」を創設しました。

その名の通り、大賞受賞作はスピリッツでの連載権を譲渡されます。そしてこの漫画賞、審査員もめちゃくちゃ豪華です。

公式ホームページには「特別審査員陣」として、『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション』浅野いにお先生、『映像研には手を出すな!』大童澄瞳先生、『あさひなぐ』こざき亜衣先生、『新九郎、奔る!』ゆうきまさみ先生の名前が挙げられています。

さらに「スペシャルゲスト審査員」として、映画『アイアムアヒーロー』、ドラマ『重版出来!』、『MIU404』などの脚本を務めた野木亜紀子さんも参加。

この漫画賞の開催にあたり、審査員をつとめる4人の漫画家さんの新人時代について、スピリッツ編集部が取材・構成したインタビュー記事をアルにて独占掲載!

第一回に登場するのは、『あさひなぐ』こざき亜衣先生です。

月刊での連載デビューだったはずが、「週刊スピリッツ」にて連載決定。その後、約9年半におよぶ長期連載となった『あさひなぐ』を描き切ったこざき先生の新人時代に迫ります!

マンガ家さんのプロフィール

こざき亜衣

マンガ家。2007年『さよならジル様』でちばてつや賞一般部門大賞を受賞しデビュー。2011年より「週刊スピリッツ」にて『あさひなぐ』連載開始。同作で2015年に第60回小学館漫画賞一般向け部門受賞、2017年には舞台化、実写映画化された。現在、新作を鋭意準備中。

月刊でデビューするつもりが、いきなり週刊連載に

――本日はよろしくお願いします。9年半におよぶ長期連載となった『あさひなぐ』ですが、まずは連載がスタートする頃のことを話していただけますか。

最初に作ったネームだと、主人公はヤンキー女子だったんですよ。

――ヤンキー女子ですか?

はい(笑)。作品のテイストも、もっとシリアスでハードな雰囲気で、今の『あさひなぐ』とはまったく違いました。そのネームを見た当時の編集長から、「もっとAKBみたいな感じにしてよ」って言われたんです。

――それはまた、ずいぶんな方向転換ですね。

「えっ!?」とは思いましたよ。で、求められていることは分かったんですけど、ひねくれているもので。


「チッ、そういうの向いてないんだよなぁ…」と思いながら、こういうのがいいんでしょ!?という感じで、ヤケクソでイチからネームを直していったら、なんだかサラサラ描けたんですよね。


その時、描いたネームがほとんど直しナシで、今の第1話になってます。結局、全然AKBみたいじゃないですけど。

――主人公のキャラも、旭がスッと出てきたんですか?

そうですね。でもメガネはしてなかったな。そこも編集長から「メガネしたら?」って言われて、メガネにしたんですよ。

――いやぁ、今となってはメガネかけてない旭なんて想像できないです。

あさひなぐ

その時のネーム直しが、自棄になってたからなのか、なぜかすごく早かったんですよね。1週間ぐらいだったかな。それで「こんなに早く直せるんなら、週刊で描けるんじゃないか」って話になったみたいなんですよ。


もともと月刊の連載が決まるかどうかの返事待ちだったのが、担当から「週刊になりました」という連絡をもらったのを覚えてます。

――それは驚きましたね?

ビックリしました(笑)。いずれは週刊でやりたいと思っていましたが、まずは月刊連載で力をつけて、それから…と思ってたので。何段階か先の話だと思ってた週刊連載が、いきなり決まるなんて思ってもみなかったです。

――その時、不安になったりは…?

不安よりもアドレナリン出ました(笑)。週刊はやはり花形という印象でしたし、そこに入れてもらえるのが嬉しくて。どうやってやるのかは見当もつかないけど、なんだかんだ言って、みんなやってるんだから出来るんだろうって。

――結果が9年半におよぶ連載だったわけですね。

まさかそんなに続くなんて、これっぽちも思ってなかったですけど(笑)。

3巻で終わると思ってました。連載続くわけないって

――単行本第1巻が出た時のことって覚えてらっしゃいますか。

覚えてますよ。売れてるのか心配で、書店に見に行きましたね。自分で1冊、買いました(笑)。

――おお。

連載中は単行本が出るたびに心配でした。映画化した時、渋谷TSUTAYAでドーンと大きく面陳されていた時があったんですが、本当にこんなに売れるのかと思いましたし、在庫が余ってるからここに集めてきて並べてるのかと思ったり…。

――そんなことはないですよ(笑)。

私、心配性なんですよね。だいたい3巻で終わると思ってましたし、連載が続くわけないと思ってました。

――そんなことを作者が思ってるなんて、微塵も思えない話の進め方ですが…。

ええ。風呂敷どんどん広げていってるけど、いいのかな~と思ってました(笑)。全然終わらない広げ方してるけど、いいんですか…?みたいな。

――で、結果的にデビュー連載で34巻の完結まで描き切れたんですね。

そうですね。すごく恵まれてるなぁと思います。

――こざき先生は自作を読み返したりしますか?

いやぁ…読み返すのは、イヤですね。もちろん、話を考えるにあたって戻って確認しなきゃならないことも出てくるから、読み返すこともありましたけど…。読み返すと直したくなっちゃうんですよ。


でも、もう単行本になってると直せないのが、イヤですよ。絵が下手だなー、もっと上手くなりたいなぁって、いつも思います。

できるアドバイスは「一生懸命やんな!」に尽きる

――もし今、デビュー前の自分に会ったら、何を言いますか?

う~ん…。「この先いいことあるから、安心しな」って言いたいけど、そう言ったら、すごくたるんじゃいそうですよね(笑)。

――そうなっちゃうかもですね(笑)。

じゃあ……「出し惜しみするな」かな? いや、ずっと出し惜しみはしてないなぁ。

――なんて声をかけるのがいいんでしょうね。

そうだな、何かな…。私、恥ずかしながら、座右の銘が“一生懸命”なんですけど(笑)。やっぱり、これかな。

――なんでしょう?

「一生懸命やんな!」…この一言に尽きるかと。

――たしかに、大事なのは先がどうなるか分からなくても、どこまで必死に頑張れるかですよね。

はい、そこからしか次の道って拓けないと思います。

あさひなぐ

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