『まちカドまぞく』は、ある日突然魔族の力を手にした女の子・吉田優子が、同じ町内に住む魔法少女・千代田桃を倒して極貧生活から抜け出すことを目的とした打倒魔法少女系4コママンガです。
本来ならシリアスになる両者の関係性。しかし、読んでいるうちに「あれ…セオリー通りだと、こんな展開ではないような……」と思ってしまうようなポンコツ逆転劇の数々が、ついつい読者の頬を緩ませてしまいます。魔法少女をテーマにしつつもポンコツ魔族を中心に描かれた新しい作品です！
宿敵との出会い、そして初めての施し
ある突然、魔族の力を得た優子。いきなり魔族と言われたことで、最初は戸惑いが見受けられました。しかし、なぜか物知り顔の母から吉田家が抱える呪いを聞き、魔族として呪いを解くと得られるメリットに心を奪われた結果、即座になんでもする方向にハンドルを切ります。
突然の明るい未来に燃え上がる優子。なぜか貧乏な吉田家の家計に終止符を打つときが来た！夢のタワーパンケーキを食すために、今日から魔法少女の打倒を胸に誓います。
とはいえ少し落ち着くと戸惑いも冷めやらず、思考を整理させるために一先ず実行したのはお散歩。
電柱にぶつかる、犬に吠えられる、泥水に突っ込む…。思考を整理するどころか何一つ良いことがありません。魔族って…一体。そう考えていた矢先、突然前方にはダンプカーが！危ない！逃げるんだ優子！
目の前には片手でダンプカーを食い止める女の子。こうして魔族になった優子はいきなり魔法少女に助けられます。
そして、魔法少女から一言
思い返せばこれが魔法少女・千代田桃から受ける最初の借りとなりました。これでいいのか、魔族…。相手は魔法少女だぞ！？と、読者に魔族の心配をさせてしまう瞬間です。
魔族なのに頑張っている姿が周りを和ませる優子
物語の中心は、突然魔族の力が覚醒してしまった15歳の女の子、吉田優子。封印されし闇の力が解放されると同時に、シャドウミストレス優子という活動名を得ました。
僕たちライターで言うペンネームのようなものでしょうか。おかげで宿敵からでさえシャミ子という愛称で呼ばれるようになり、魔族になる以前より一層親しみを持たれるようになってしまいました…。クラスに1人はいる愛されキャラを彷彿とさせますね。
実は、優子は以前から病弱な体質でした。しかし、魔族になったことで優子の体調は少しずつ変化を見せます。その様子は、学校を休みがちだった娘が庭で走り回っている姿を見ている父親のような暖かい気持ちのごとく、真剣な場面でもつい和まされてしまうのです。
宿敵の筈なのに優子を応援？お姉さんのような桃
優子とライバル関係（？）にある千代田桃は、隠居した魔法少女。とはいえ、数年前には世界を救う戦いにも参加したほどの手練れです。闇の力を得て強くなったどころか、若干不幸体質が追加された優子くらいなら今でも簡単に制圧できる程の実力は持ち合わせています。
ですが、桃は魔族としての敵意をむき出しにされても、優子の話を最後まで聞いてあげる懐の深さ。
それどころか自分の倒し方をレクチャーしてしまう世話焼きっぷり。優子との絡みはまるで姉妹のような安心感さえ感じてしまいます。
これも小さくて可愛い優子の魅力がなせる技なのでしょうか。いえ、これも魔族の策略なのです。そう願わずにはいられません。2人の絶妙な関係に注目が集まります！
呪いと秘密と膨れ上がった"借り"の行方
物語の根幹には吉田家にまつわる呪いがあります。
もとより食費は月4万円までという厳しい呪いから解き放たれるために魔法少女との戦いを選ぶわけなのですが、物語が進むにつれてなぜ優子は病弱だったのか、そしてなぜ父親がいないのか…といった更なる謎が追求されていき、この世界の核心に迫るのです。
そして桃が魔法少女としてこの町を守り続ける理由は何なのか、優子は桃に対する積もり積もった借りをどのようにして返すのか、といった物語の魅力からも目が離せません。
ついついほんわかしてしまいますが、魔法少女と魔族というハラハラした世界観へ切り込みにも注目が集まる作品です。魔族側が主人公なのにこんなにも癒やされてしまう…。ひとつの町で繰り広げられる"癒やしの戦い"の行方が気になる方はぜひとも『まちカドまぞく』をご覧ください！
うちの家計が苦しいのは呪いのせいでは…？とお悩みの魔族にオススメです！！
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