『アルスラーン戦記』は田中芳樹氏の執筆により1986年から2017年まで刊行されたファンタジー小説です。
小説は既に完結しましたが、『鋼の錬金術師』でおなじみの荒川弘先生が、それを原作としたマンガ作品を「別冊少年マガジン(講談社刊)」にて執筆。2109年8月現在、絶賛連載中です。
そう、原作が完結してなお、アルスラーンの物語はファンの心を掴んで離しません。
『アルスラーン戦記』1巻から5巻までのあらすじ
1巻:主人公のアルスラーン殿下はパルス軍とルシタニア軍の戦争「第一次アトロパテネ会戦」で初陣に臨む。そこでパルス軍の万騎長カーラーンが裏切り、パルス軍崩壊!戦場をなんとか生き延びたアルスラーン殿下はダリューンと共に、ダリューンの親友ナルサスの元へ。
2巻:ダリューンの親友ナルサスの元へ訪れたアルスラーン殿下。しかし、そこにもルシタニア軍の追っ手が。一方でルシタニア軍に侵略を許すバルス軍の王都エクバターナ。ルシタニア軍が進行し、ついに占領されてしまう。
3巻:自身が王都に出頭しないと近隣の村が焼き払われると知ったアルスラーン殿下は、ルシタニア軍を討つことを決意。新たに合流した、仲間と共にルシタニア軍に寝返ったカーラーン一行を闇夜を利用し撃退。そして、カーラーンから告げられる意外が一言が。
4巻:アルスラーン殿下一行は兵の増強のため、ニームルーズ山中にあるカシャーン城へと向かう。しかし、そこには城主ホディールの謀が。いち早くカシャーン城を出る一行は、東のペシャワール城の万騎長キシュワートの元へ向かう。その道中で敵襲にあい、離ればなれになってしまう。
5巻:バラバラになったアルスラーン殿下一行は、それぞれに襲いかかる追っ手を凌いでいく。一方、ルシタニア軍に占領された王都エクバターナでは、財や権力を巡って下衆いな内乱が...。
6巻以降、もっともっと面白くなるからぜひ読んでみてください!
魅力:主人公はうつけ者扱い
主人公の「アルスラーン殿下」は、パルスの国王アンドラゴラス三世の子で、14歳という若き王太子です。そして、かなりの美少年っぷり!
アルスラーン殿下は王太子なのにも関わらず、第1巻では多くの人達からうつけ者(バカにされちゃう)扱いをされています。自分の親からもぞんざいに扱われ、戦では裏切られ…。素直で思慮深く、努力家の少年なのにどうして…と、見ていて胸が痛くなるほどです。なぜ彼はこのようなひどい扱いを受けてしまうのでしょうか?
また、物語のはじめ、大きな戦の前に「アルスラーン殿下は、国王陛下に似ているかどうか?」という、“あからさまな質問”が出てきます。この質問が示唆するのは一体…?
序盤から、『アルスラーン戦記』は一貫して「主人公は何者なのか」を解き明かしていきます。これが良い塩梅で進んでいくので常に先が気になる!
多彩で安心感のあるキャラクター達
物語もグッと惹きつけるのですが、その途中で出会う仲間達もこれまた魅力的なキャラクターなんですよ。
主人公の右腕!圧倒的安心感の「ダリューン」
主人公に忠誠を誓う頼り甲斐100%の側近キャラ「ダリューン」。大将軍の甥で、常にアルスラーン殿下の元にいたこともあり忠誠を誓っています。まだ若い殿下の度量に感服することも。戦闘では、獅子の如く敵をなぎ倒していきます!登場したら基本的に勝ちが確定する安心感がハンパないキャラクターです。
画家が夢、知将の「ナルサス」
ダリューンの親友でヘンテコな絵を描きながらも画家を夢見る軍師「ナルサス」。殿下と出会い、宮廷画家としてむかえ入れるように言われ、その奇抜な発言に度肝を抜かれました。変な性格なんですけど、発言一つひとつが確信を突くのでハッとさせられます。戦闘ではシチュエーションごとに機転を利かせた戦術で、次々と困難を脱していきます。
ナンパ楽士や絶世の美女、殿下に惹かれるキャラ達が!
その他にも、ナンパ大好きの美形楽士や女神官といった...あらゆる属性のキャラクターが多く、目が離せません。はじめうつけ者扱いをされるアルスラーン殿下も、持ち合わせたカリスマ性によって仲間を増やしていきます。
アルスラーン陛下を慕う仲間達それぞれの個性は読み進めるとハッキリしてくるのですが、中でも「このキャラ同士の組み合わせって、なんだか新鮮かもしれない!」といったキャラ同士の掛け合いが面白みの一つです。例えば、知将ナルサスとゾット族のアルフリードの掛け合いが...。
1巻読み終えるのがあっという間、テンポの良い展開!
目的がはっきりしているマンガって、途中で物語がなかなか進まなかったりしてダレちゃったりするんですよね。でも、荒川先生は物語の緩急を上手くコントロールしてくれているから飽きずに読めちゃいます。
1から5巻あたりまでは一難去ってまた一難。とにかく、気が休まることがありません。そして、5巻を過ぎたあたりから各国の状況が変化していきます。まさにカオス!
そして、1巻では真実を知る「ヒルメス」がキーマンとして登場し、アルスラーン殿下の「自分は何者なのか?」という問いを少しずつ解き明かしていきます。そのバランスが良いんですよね。
徐々に明かされていく「主人公の真実」に1巻読み終えるのがあっという間です!
それだけじゃなくて、丁寧に描かれているからすごく読みやすいってのもあるんですよ。丁寧っていうのは、絵が上手っていうことだけじゃなくて、その場面における人の立ち位置とか、しっかり考えられているってこと。コマの流れで読者が「?」ってならないようなっているんですよね。テンポ良く読めるから本当にストレスなくスラスラ読めちゃいます。
「『鋼の錬金術師』は読んだことがあるけど『アルスラーン戦記』はまだ!」という方はぜひ読んでみて下さい!一緒にアルスラーン殿下に忠誠を誓いましょう!
これを読めばきっと、荒川先生のファンになること間違いなし!