『マージナル・オペレーション』は、紛争のリアルを指揮官の立場から描いたミリタリーマンガです。芝村裕吏先生による同名小説をキムラダイスケ先生がコミカライズしました。
民間軍事会社に採用された日本人男性・アラタが、戦闘をモニター越しに指揮する戦術オペレーターとして紛争に参加していく物語です。彼が指揮するのはなんと子供たち。
少年兵を指揮し、傭兵稼業でお金を稼いでいるのです。批判を受けながらも、アラタは子供たちを戦地に送り込み続けます。はたしてその理由とは？
作品の魅力を語るために第3巻までの内容を記事化しています。ネタバレにご注意下さい。
職を失った青年が見つけたのは民間軍事会社の求人
主人公のアラタは、会社が突然倒産してしまい路頭に迷います。そんな中見つけたのが民間軍事会社の求人募集でした。
給料の高さに惹かれたアラタは興味本位で応募。面接を突破した彼は、早速中央アジアへ赴任させられます。
戦場で知る非情な現実
キャンプ施設についたアラタに待っていたのは、長時間の訓練でした。モニターを前に、戦争シミュレーションゲームを延々受けさせられたのです。
架空の兵士に指示を出し、敵を倒していきます。
元々ゲームが得意なアラタは好成績を記録。上司からも褒められました。
しかし、その後アラタは衝撃の事実を知ります。シミュレーションだと思っていた戦争ゲームは、実は実際の戦闘だったのです。アラタの指揮により多くの人命が失われていました。
罪悪感に苦しめられますが、仕事を続けることを決意。しかし現実は更に過酷でした。次の戦闘でアラタが指揮することになったのは、少年兵だったのです。
捨て駒として最前線に送り込まれていく少年兵たち。日本では考えられない非情な現実をアラタは見せつけられます。
アラタは子供たちを自ら率いる
「こんな現実間違っている！」とアラタは思うものの、少年兵を今ここで解放しても、行き場を失った子供たちはまた戦場に戻されるだけです。
彼が出した結論は、会社から独立して傭兵組織を立ち上げ、自ら少年兵を率いることでした。
子供たちの命を守るために、また、自由にさせるための資金を稼ぐために、アラタは自らの命令で子供たちに再び銃を持たせたのです。
そんなアラタは「子供使い」として傭兵業界で有名になり、次第に国際政治の大きな渦に飲み込まれていきます。
江口ひろ
国際紛争の政治テーブルにつくアラタ
戦わない指揮官の戦闘シーンが刺激的！
戦争や紛争を題材にしたマンガでありながら、主人公のアラタは銃を持ちません。得意とする交渉術や分析力を武器にして勝利をもぎとります。
モニター越しに的確な指示！
実際の戦闘ではアラタはモニターで戦況を分析し、各戦闘員に行動を指示します。どんな複雑な状況でも俯瞰的に戦況を把握し、的確な指示を出していきます。
この姿がとってもクールでカッコいいのです！
しかし、アラタの指示を受けている子供たちは死と隣り合わせの危険な戦闘を行っています。
そのギャップに現代の戦争の怖さを感じます。
交渉や駆け引きで戦いを優位に進める！
戦いの規模が大きくなれば、政治的交渉が必要になります。アラタは政府の要人や敵のリーダーと駆け引きを行い、戦いを優位に進めていきます。
戦闘に勝利するための戦術を実行するだけでなく、戦いを優位に終わらすための戦略も描く。彼のマネージメント能力の高さにシビれます！
子供たちを自由にするために、矛盾と闘い続ける
このマンガの最大のテーマは、「アラタは子供たちに自由を与えられるのか？」です。
前述したように、過酷な環境にいる少年兵を救い出すために、アラタは自ら傭兵組織を立ち上げ子供たちを率いました。
そんな彼の行動に対しては非難の声が上がります。彼はその非難を受け止めつつも、「いつか来る理想の未来のためには、今はまだ戦争が必要なんだ」という考えのもと子供たちを戦地に立たせ続けます。
明らかに間違っていると感じるこの選択ですが、この作品を読んでいると理想論では片づけられないシビアな現実を私たちは知ることになります。
果たして、彼の選択は正しいのか？子供たちにはどんな未来が待っているのか？
私たちが知っている世界の外側に存在するかもしれないリアル。その物語をぜひ目撃されてみてください。
アラタの選択は正しいのか？
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