『ラジエーションハウス』マンガ切っ掛けでも知っておきたい乳がん検査と日本女性の胸の特徴

2013年にハリウッドスターのアンジェリーナ・ジョリーさんが、両乳房を切除したのが話題になりました。アンジェリーナさんは遺伝子検査を受けた際、がん抑制遺伝子のBRCA1に変異が発見されたため、乳がんの予防として切除を決断したのでした。

乳がんの検査といえばマンモグラフィ。これらの検査を行う放射線技師たちを描いた医療マンガが『ラジエーションハウス』です。

最新医療や検査法などが紹介されているのも興味深いのですが、主人公の放射線技師・五十嵐唯織（いがらしいおり）が大好きな幼なじみの甘春杏（あまかすあん）ちゃんの挙動に一喜一憂しているところがとても可愛くて見どころです。

一番近くで支えたい人

放射線技師として働いている唯織くんですが、類まれな観察力と高い診断能力をもち、アンちゃんの医師としての信念をそばで支えたいという強い想いを持っています。

病気と向き合っている時に天才性を発揮する唯織くんですが、ふだんはちょっとコミュ障なところもあり、大好きなアンちゃんの前でワタワタしてるというギャップが最高にいいです。

ラジエーションハウスで使われた検査機器

2019年4月には窪田正孝さん、本田翼さん主演でドラマ化もされたのですが、撮影協力したのがキヤノンメディカルシステムズです。

マンモグラフィ、CT、MRI、超音波診断装置、医療用画像管理システムなどの画像診断機器がキャノンのサイトで解説付きで見られるので、最新設備に興味がある方はのぞいてみてください！

デンスブレストをご存じですか

『ラジエーションハウス』2巻の『雪原の白兎』という乳がんを患った女性のストーリーで出てくるのがデンスブレストです。日本語だと「高濃度乳腺(乳房）」ですが、なかなか聞き慣れない言葉ですよね。

マンモグラフィは乳房専用のX線撮影のことです。胸を挟んでつぶしながら撮影することで病変を見つけやすくしていまが、検査で何も見つからなくても、病気じゃない！ということは断言できません。検査では発見できないほど病変が小さかったり、発達した乳腺のために病変が見つけにくくなったりしていることがあるからです。

マンモグラフィでの乳がん診断を困難にしている要因の一つがデンスブレストです。デンスブレスト自体は病気ではありません。デンスブレストは胸の中に乳腺がぎっしりな状態のことで、X線撮影すると白っぽく写るんですね。胸の中には乳腺以外に脂肪などがあるのですが、脂肪が多いとX線では黒く写るんです。

乳がんはX線では白く写るため、黒く写る脂肪が多い場合は発見しやすく、もともと白く写る乳腺が多い場合だと、まぎれて見つけにくいのです。特に若い世代に多く、年齢が上がると乳腺濃度は低くなる傾向にあります。

デンスブレストに隠された乳がんを探すというのは、まさにこの話のタイトル「雪原の白兎」のように、雪山で白兎を探すくらい大変になるのです。

自分の胸の特徴を知ろう

乳がん発生の危険性を高める要因としては、初経年齢が低い、閉経年齢が遅い、出産経験がない、初産年齢が遅い、授乳経験のないことが言われています。

『ラジエーションハウス』に出てくる女性のように、もともと乳がんの既往歴があり、胸の状態がデンスブレストの場合には、マンモグラフィ検査だけでなく、超音波検査と合わせて検査すると検査の精度が上がります。

病気になったことはないし、家族に乳がんになった人もいないわという方は、マンモグラフィ検査の際に、自分の乳腺の濃度はどのくらいなのか、というのをお医者さんに聞いておくという選択肢もあります。自分の胸の特徴を知っておけば、心配な時にもうちょっと詳しい検査を受けてみようかな、など考えられますよね。

最近では、病院に『ラジエーションハウス』仕様の啓蒙ポスターが貼られているところもあるようですよ！一緒に胸について学びましょう！

元気な時に考えておくということ

日本人女性の11人に1人が発症すると言われる乳がん。がんの治療にもいろんな選択肢があります。

アンジェリーナさん自身も予防的に切除するのがいいと言っているわけではなく、何が自分に合った選択肢なのか考えて欲しいと訴えています。麻酔をかけるというのは、それだけでリスクもありますし、アンジェリーナさん自身もいろんな人の意見を聞きながら調べ、悩み抜いた上での決断のようです。

👨‍⚕️👩‍⚕️いろんな検査法を学べる！

病気にかかってからだと、なかなか落ち着いて考えたり調べたりできなくなってしまうかもしれません。『ラジエーションハウス』を通じ、物語を楽しみながら、身体のことについて学んでおくといいかもですよ！

『ラジエーションハウス』はテーマごとに完結しながら進むオムニバス形式の物語です。デンスブレストのお話は2～3巻に載っているので、まずそこだけ読みたい！という方は2巻から買ってもおもしろく読めるのでお勧めです！

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