3行でわかる忘却バッテリー
中学のトッププレイヤーの投手・清峰葉流火と智将とも呼ばれた捕手の要圭は名バッテリー。しかし、圭は記憶喪失になってしまい野球は素人に!そして二人は無名の弱小高校に進学する。
同じくその2人によって自信をなくした2人のプレイヤーもその高校に!素人だらけの野球部に、天才たち4名が集まった。
記憶がなく素人同然の圭は完全なアホになっているが、智将の片鱗がたまに見え隠れする。ギャグ要素も多いが、熱い高校野球マンガ!
作品概要
『忘却バッテリー』はみかわ絵子(みかわえこ)先生による高校野球を題材とした作品です。
「少年ジャンプ+」にて2018年4月より連載中(隔週木曜に更新)。
「次にくるマンガ大賞2019 Webマンガ部門」第6位。2020年10月11日に開催された「ジャンプスペシャルアニメフェスタ2020」にて初めて映像化されました。
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あらすじ
中学時代、怪物バッテリーと恐れられた清峰葉流火(きよみねはるか)と要圭(かなめけい)。その圧倒的な実力で図らずも、対戦した球児たちの自信を奪ってきました。
ところが「智将」と呼ばれた捕手の要は、突然の記憶喪失によりラブ&ピースを愛するアホの子になり、野球を完全拒否!
さらに、数々の強豪校からのオファーに目もくれず近所の「都立小手指高校」に入学。要と一緒に野球がしたい清峰も彼を追って同じ都立へ…。
清峰は発足したばかりだという愛好会のような野球部に入部します。
そして、そんな弱小の都立野球部で天才バッテリーに自信を奪われ、愛する野球に背を向けたはずの才能たちが出会うことに。
野球を愛するからこそ野球に翻弄される、そんな球児たちの明日はどうなる!?
主な登場人物
都立小手指高校
清峰葉流火(きよみねはるか)
一年。投手(ピッチャー)。圧倒的な身体能力から繰り出される140キロの豪速球が武器。バッティングも優れていてエースで4番。努力量はもちろんですが、生まれながらに才能の塊のような人。自分が強くなることしか考えていない唯我独尊ヤロー。
要圭(かなめけい)
一年。捕手(キャッチャー)。シニア(中学生)時代はキレキレのリードで打者を圧倒し「智将」と呼ばれていましたが、記憶喪失により現在は素人同然。
ラブ&ピースな青春を謳歌するため野球はやらないと宣言するも、オレ様な清峰の要求になんだかんだ付き合ってあげる優しい人。
藤堂葵(とうどうあおい)
一年生。遊撃手(ショート)。強肩によって放たれる豪快なスイングが武器。「野球は根性と身体(フィジカル)」がモットー。シニア時代、清峰・要のチームとの対戦での自らのエラーを気に病みイップス(精神的な理由などにより思い通りのプレーができなくなる症状)となり、一塁送球がでません。
千早瞬平(ちはやしゅんぺい)
一年。二塁手(セカンド)。盗塁を得意とする俊足の持ち主。野球では不利といわれる小柄な体格を、努力によって培われた技術と理論でカバーする頭脳派。ファッションや音楽、紅茶など多趣味。
山田太郎(やまだたろう)
一年。高校で要と同じチームになったことで捕手から一塁手(ファースト)に転向。作中では語り手であり、クセの強いキャラたちをまとめるツッコミ役。決して目立つ選手ではないけれど、穏やかな人柄と堅実なプレーでチームに貢献し、仲間に慕われています。
土屋和季(つちやかずき)
二年。中堅手(センター)。脚の速さが武器。過去に軟式野球をやっていましたが、気弱な性格に所謂「体育会系のシステム」が合わず野球から逃げていました。2次元を愛するオタク。
私立帝徳高校
国都英一郎(こくとえいいちろう)
一年。一塁手。一年でありながら「名門・帝徳」のレギュラーで4番のロングヒッター。冗談が通じないほど真面目で責任感が強く、チームメイトから信頼されています。シニア時代に対戦した清峰・要に憧れ、相当な努力をして帝徳の特S推薦を掴み取りました。
陽ノ本当(ひのもとあたる)
二年。投手。ピッチングだけでなくバッティングの才覚にも優れ、抜群の野球センスを持っています。温和な性格で彼とプレーしたくて帝徳に入った選手もいるほどチームメイトに慕われています。
飛高翔太(ひだかしょうた)
二年。投手。150キロ超えの豪速球を投げるエースですが、自分に自信がなく卑屈でめんどくさい性格。
岩崎監督
監督。帝徳の強さを支える策士であり勝負師。帝徳からの推薦を蹴った小手指の清峰、要、藤堂、千早を未だに欲しがっています。
氷川高校
巻田広伸(まきたひろのぶ)
一年。投手。パワーあふれる直球が得意。シニア時代は千早と同じチームでプレーしていて、今も勝手にライバル視しています。
桐島秋斗(きりしましゅうと)
二年。投手。多彩な変化球を持つ氷川高校のエース。よく巻田をおちょくって楽しんでいます。
作品の魅力
好きだからこそ逃れられない
本作に登場するのは天才と呼ばれる才能の塊のような存在から、ごく平凡な球児までさまざまです。彼らに共通しているのは野球を愛しているということ。当たり前ですが野球が好きな気持ちだけでは試合に勝つことはできません。
しかし、どんなに努力しても超えられない壁があり、圧倒的な実力差を見せつけられ、悩み、苦しむこともあります。
好きなことで上を目指せば楽しいだけでは済まない、だけどそれでも野球がしたい。好きだからこそ逃れられない。
そんな切実な球児たちの姿が描かれていて、何かをがんばったり諦めたりしてきた全ての人に刺さる作品なのではないでしょうか。
散りばめられたギャグ
シリアスな本筋の合間に散りばめられたギャグの数々が読者を飽きさせません。これにより読み手の心はいい意味で乱されっぱなし!
クセのある脇役たちも作品の面白さを支えています!
要圭の生態
「智将」モード
幼少期からアホの子だった要ですが、野球の楽しさを知ってからはストイックに努力を重ね「智将」と呼ばれるまでになります。試合のどんな局面でも冷静沈着、天才肌の清峰の実力をさらに底上げしたのも戦略的な彼の手腕があってこそ。
▼野球以外に興味はないけれど、そのできる男オーラに女子たちが黙っていません。
「アホ」モード
記憶喪失になってからはこちらがメインの姿です。元はアホだった性格は野球に打ち込むことで相当研ぎ澄まされていたにもかかわらず、どうして記憶を失うことになってしまったのでしょうか。その辺りが物語を追うごとに明らかになっていきます。
▼「智将」から「恥将」へと変わった彼の一発ギャグ「パイ毛」
アニメ化情報
2020年10月11日に行われた「ジャンプスペシャルアニメフェスタ2020」内で初めての映像化が実現しました。
制作を担当したのは『進撃の巨人 The Final Season』などを手掛けたアニメーションスタジオ・MAPPAです。
スタッフ
監督:篠原ぱらこ
キャラクターデザイン / 総作画監督:伊藤憲子
美術監督:赤木寿子
キャスト
清峰葉流火:細谷佳正
要圭:宮野真守
千早瞬平:松岡禎丞
藤堂葵:鈴木達央
山田太郎:福山潤
作者情報
作者のみかわ絵子先生は『red hospice』で「アフタヌーン四季賞2014年夏のコンテスト」準入選、『36歳の女子高生』で「ちばてつや賞」大賞を受賞されています。その後、good!アフタヌーンにて『のらりーまんとにーと姉ちゃん』でデビューされ、2017年に同誌で『ブタイゼミ』を初連載。
▼『忘却バッテリー』連載前に描かれた読み切り『SF男女物語』