透明度の高いシアンカラーの海、水平線で緩やかに海の色と交わり合うミディアムブルーの空…。日本が誇る最高のリゾート地、沖縄からお送りするのが本作『海色マーチ』です。
国内有数の内陸県である埼玉県から引っ越してきた少女・小波周(さざなみあまね)。新生活初日で訪れた海で、褐色が特徴的な生粋の沖縄少女・比屋定珊瑚(ひやじょうさんご)と出会います。
沖縄の海で初めて出会う2人の少女。作品が違えばここからロマンスが始まってもおかしくないようなキラキラしたシチュエーションですが、本作ではそう上手くはいきません。この出会いこそが2人のバトルのような日常の始まりなのですから。
なかなか"アグレッシブ"な2人の関係
表紙に描かれている女の子は穏やかな表情で、見るからに幸せな物語を予感させます。しかし、浜辺で寝ていた珊瑚の生存を確認するために周が口にヒトデを突っ込んだせいで全てが台無し(褒め言葉)になりました。
かつてこんなに真剣な顔で他人の口にヒトデを突っ込む中学2年生の女の子がいたでしょうか。僕は見たことがありません。
しかし、周の破天荒な振る舞いはまだ始まったばかりです。時には珊瑚の顔を怖がり、名前を聞けば勢いの付いた失礼を叩きつけます。お母さんは彼女をちゃんと叱ってあげて欲しい、そう思わずにはいられません。
この衝撃的な程失礼な出会いは、珊瑚が周に対して圧倒的な塩対応を貫くきっかけとなりました。
珊瑚には手心を加えて欲しいと思いながらも、「そりゃそうでしょう…」と零してしまうような、2人のデコボコな関係が魅力的です。
作中で登場するのは本格的な海の危険
珊瑚が周に対して少し強く当たるのには、周があまりにアグレッシブなコミュニケーションを強要してくることだけが原因ではありません。
作中でも所々で語られているように、海はキレイなだけでなく同じくらい危険も多く潜んでいることを、長く沖縄に住んでいる珊瑚はよく知っているのです。
沖縄の海がキラキラで美しい存在ということを十分に理解しながらも、すぐそばには思わぬ危険が潜んでいることを啓発する作品はなかなかありません。
周に厳しく当たる珊瑚は「もしかすると沖縄の危険性を知った上で、心から好きになって欲しいのかもしれない…」などと考察するのも、楽しみ方の1つなのではないでしょうか!
細部に込められた沖縄の魅力
物語の舞台となる「宇御島」は、実在する島ではありません。しかし、宇御島のモデルには沖縄県に実在する離島・奥武島が採用されており、奥武島での実生活が細かに描画されています。
奥武島は作者であるミナミト先生の地元であり、実体験した奥武島での生活が作品にも反映されているのです。
特に作中で登場する天ぷらは非常に魅力的で、思わず近所に取り扱っている店舗がないか確認してししまうほど食欲をそそられる描画でした…!
また、沖縄と言えば西表島のイリオモテヤマネコが有名です。ですが、奥武島も猫好きには外せないほどの猫天国の島であり、島の至る所に猫がごろごろと寝ています。
残念ながら珊瑚は猫が苦手なようですが、昨今の猫ブームを考えると海や名産物だけではない観光目的が増える理由を理解せずにはいられません。
『海色マーチ』には、つい沖縄旅行の情報誌を購入したくなるような、リアルな島暮らしの魅力が描画されているのです。
シュノーケリング部として本格始動!
物語の中盤からは始業式を終え、本格的な学校生活がスタートします。
これまでは趣味として遊んでいた海もシュノーケリング部として通うようになり、新たに友達となった仲村渠姫(なかんだかりひめ)を加えた3人のマリン生活が新たな幕を開けるのです!
そしてシュノーケリング部の新たな目的地リーフ(珊瑚礁)に足を運び、彼女たちの物語が次のステージへと進みます。
2020年8月27日には最終刊である第2巻の発売が予定となっています。危なっかしい周、厳しく突っ込む珊瑚、2人を優しく見守る姫の活躍に、最後まで目が離せません!!
コミックス第2巻は2020年8月27日発売予定!この夏のおうちマンガにオススメです!
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