激動の2020年がもうすぐ幕を閉じます。日々変わっていく情勢に、膨れ上がる不安と終わりの見えない我慢の日々。
厳しい現実からほんのひと時解放してくれたのは、欠かさずに読んできた多くのマンガ達でした。
今回のテーマは「#読んで良かったマンガ10本 2020」です。生まれてこの方、出会い別れ出会ってきたマンガの数々から選んだこの10本、選り抜かれた作品はそのまま選者のクセ、個性、視線…色々なものを映す鏡になるのでしょう。
目次
- 『SKETCHY』
- 『ランド』
- 『ブランチライン』
- 『自転車屋さんの高橋くん』
- 『きのう何食べた?』
- 『かしましめし』
- 『マロニエ王国の七人の騎士』
- 『ねこでよければ』
- 『違国日記』
- 『ちはやふる』
- 2020年の年末はマンガで締めくくろう
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『SKETCHY』
『いつかティファニーで朝食を』の作者・マキヒロチ先生の最新作『SKETCHY』。
恋、夢、仕事、ひたむきに頑張っていても、順調な時ばかりではありません。
現状に疑問や葛藤を抱えていても、大人には毎日やってくる仕事の時間。トラブル、人間関係、日々の疲労で問題をなんとなく先送りにしてしまう。
物語の主人公・憧子(あこ)も、いつの間にか停滞した日々を送っていました。
そんな時、憧子が出会ったのは「スケートボード」で空を舞うように疾走する、1人のガールズスケーター。
可愛くて格好いいガールズスケーターに、一瞬で心を動かされるのはきっと憧子だけではありません。
前に進めば、転んでケガをするかもしれない。それでも1歩踏み出したいとき、背中をそっと押してくれるマンガです。
まるで、自分がスケボーに乗っているかのように風を感じる爽快なシーンの数々。思わず真似したくなるお洒落なガールズスケーター達のファッションにも大注目です!
『ランド』
壮大な物語が紡がれていった先には、読後感の良い最高のクライマックスが待っていました。
「アンと杏」「和音と天音」2組の双子を中心に、多くの謎を含んで始まった山下和美先生の長編ファンタジー『ランド』。
物語は「文字」がまだ存在していない、ある村から始まります。
ここで生まれた2人の主人公「アン」と「杏」は、父親の手によって引き裂かれ、まったく異なる運命に翻弄されていきます。
人間の持つ「光と闇」に、集団心理、恐怖、欲望、愛、とさまざまな角度から迫っていく物語。
現実世界も厄災に包まれてしまった2020年、本当に恐ろしいのは「災い」か「人間」かを問いかけるこのマンガ、是非読んでください。
『ブランチライン』
タイトルにある「ブランチ」という言葉には枝、支流という意味があります。
人は毎日少しずつ成長し、あるいは老いていきステージを変化させていきます。たとえ家族であっても、一度離れたらまったく同じ場所には戻りません。木が成長し枝分かれしていくように、川が本流と支流に分かれていくように。
物語は4姉妹と実家を1人で守る母。そして彼女たちの大切な宝物、シングルマザーとなった長女の息子・岳のこれまでと、これからの暮らしが描かれていきます。
どんなに願ってもどうにもならないことがある、それでも懸命に生きる家族の姿が切なくて尊い。
現在はほどよく離れて暮らす家族。それぞれの過去が少しずつ明かされていく、これから注目の作品です。
『自転車屋さんの高橋くん』
見た目は少しヤンチャだけど心優しい自転車屋さんの高橋くんと、なかなか本音を周囲に言えない会社員・ともちゃんが少しずつ心を通わせていくほっこりラブストーリー。
大人になると空気を読み、我慢してやり過ごすことを覚え、自分で自分を苦しめてしまうことがあります。ともちゃんも、そんな1人。
高橋くんはそんなともちゃんに不器用ながらもまっすぐ向き合います。本当のやさしさに触れ、自分の殻を破っていくともちゃんを思わず応援したくなる。自分を大切にしようとあらためて思える作品です。
『きのう何食べた?』
2020年は在宅ワーク、リモートによる授業などで自宅で過ごす時間が増えました。そして増えたお家ごはん、頭を悩ませるのが毎日「何を食べるか?」。
そんなとき重宝したマンガが、よしながふみ先生の『きのう何食べた?』です。
主人公・シロさんの作るメニューは季節を感じられる一汁三菜。作る手順までしっかり描かれており、実際に作ってみて失敗はありませんでした!全部美味しいのです!
もちろん素晴らしいのはレシピだけではありません。
シロさんと恋人のケンジがお互いを大切に想い合いながら一緒に暮らす様子は、読んでいて心がホカホカしてきます。平凡な日常の尊さを再確認できる、甘いけどちょっぴりビターな大人のラブストーリーです。
『かしましめし』
挫折、未練、叶わぬ恋、それぞれ痛みを抱えた男女3人が、ある出来事をきっかけに偶然再会。そして時間が合えば集まり、ごはんを一緒に食べるようになります。
包まない餃子、ミネストローネ、バターチキンカレー、出てくるご飯はどれも栄養がしっかりとれて、疲れた心と体に染みわたるメニューばかり。真似したくなるレシピは作り方も一緒に毎話登場します。
食べることは生きること、辛くて食欲さえも忘れてしまいそうなとき、温かい飲み物とこのマンガがあれば大丈夫。
美味しい記憶が明日を生きる糧になる!
『マロニエ王国の七人の騎士』
ページを開くと現れる、美しい自然と情緒溢れる街並み。
そこに登場するのは七人の騎士達。個性溢れる彼らによって紡がれていく物語は、ドキドキがとまらないロマンス、ワクワクする異国への冒険とアクション、ほっこりするコミカルなシーンとみどころ盛り沢山。
まだ物語は幕を開けたばかり。七人の騎士達の能力と謎が少しずつ解き明かされていきます。
次の国ではどんなロマンスがまっているのでしょうか?ファンタジーの世界を纏った王道少女マンガの世界へいざ!
『ねこでよければ』
人にはちょっと言いづらい悩みを抱えていませんか?その相談、話せるねこが聞いてくれます!
おっちゃんみたいなねこが、それぞれ悩みを抱えてやってくる人々の話をつっこみをまじえながら、聞いてくれます。
それぞれが抱える真剣な悩みに思わずウルッとしてしまうお話もたくさん。
答えを見つけるのは自分自身ですが、誰かに心のうちを話すことで自分の心と向き合えるのかもしれません。
もやもやしてるときに寄り添ってくれる1冊です!
『違国日記』
人と人は100%わかり合うことは難しい。たとえ血の繋がった家族であったとしても。それでも、お互いを尊重すれば寄り添うことはできるのかもしれません。
若くして両親を亡くしてしまい天涯孤独となった15歳の少女・朝と、姉である朝の母と確執があった槇生。本当は交わるはずのなかった2人が一緒に暮らし始めます。もちろん上手くいくことばかりではありません。
しかし、槙生が朝に投げかける言葉からは不器用ながらも誠意とやさしさが感じられ、朝を1人の人間として尊重している様子が伝わってきます。
相手を大切に思っているのに上手くいかない。尊重したいのにどうすればいいかわからない。そんなふうに家族や恋人との関係に悩んだとき、読みたい作品です。
『ちはやふる』
連載開始から10年以上の時をかけ、紡がれてきた「競技かるた」をめぐる物語がいよいよクライマックスに向けて動き出しました。
物語が始まったときにはまだ小学生だった主人公・千早は、競技かるたと出会い、情熱を知り、恋を知り、成長していきます。
血の滲むような努力、支える家族、仲間、ライバル。そして競技かるたに関わる全ての人の思い。その先に息を飲むような一瞬が…
少女マンガの枠には収まりきれない青春マンガ『ちはやふる』、家族みんなで楽める作品です。
2020年の年末はマンガで締めくくろう
今年の年末は帰省を断念する人も多いと思います。離れて暮らす親、親戚に元気な顔を見せられないのは残念ですが、今年は自宅でのんびりしませんか?
もちろんマンガがあなたに寄り添います。