バスケ留学、ALS薬開発、競技かるた…マンガから生まれた基金 それは夢を支援する新しい力

2020年に入り、『ちはやふる』が競技かるたに関する基金を設立するというニュースが飛び込んできました。あまりにかっこいいので調べていると、かるた支援の他にも、バスケットボール留学、ALS治療薬開発など様々な夢を、名作たちが経済的にもサポートをしていました。どんな思いで基金が創立されたかと思うと胸が熱くなります！

ちはやふる基金

『ちはやふる』

2008年からマンガ連載が始まり、アニメや映画化もされている『ちはやふる』。小学6年生で競技かるたに出会った千早（ちはや）が高校生になり、再会した幼馴染たちと競技かるたを軸に成長していく物語です。百人一首の美しさ、競技かるたの技や駆け引き、仲間との繋がりだけでなく、登場人物の覚醒、天才の感覚すらも読者に感じさせる凄まじい作品です。

ちはやふる

ちはやふる基金とは？

競技人口がこの10年で約3倍に増加したにも関わらず、大会運営や活動の資金が追いついていない競技かるた、そしてかるたそのものをサポートする基金です。作者の末次由紀先生が、ちはやふる基金への思いをマンガで描かれているので、ぜひこちらをお読みください。先生の気持ちにグッときます。必読です。

この基金の最初の大きな活動は令和2年2月23日（日）に開催される「ちはやふる小倉山杯」。基金が賞金100万円を供出したこの大会は競技かるたのタイトル保持者、A級優勝者が集う大注目の対戦です。

ちはやふるファンならグッとくるかわいいグッズや詳細は公式サイトを。

スラムダンク奨学金

『SLAM DUNK』

1990年から1996年まで週刊少年ジャンプに連載された『SLAM DUNK』。赤毛の不良少年 桜木花道がかわいい女の子に出会ったことをきっかけにバスケットボールを始め、インターハイまで進んでいきます。30年前のマンガにも関わらず、湘南の廃校を舞台に「1億冊ありがとうファイナル」イベントを行ったり、2019年には主人公の桜木花道がシュート練習をするアプリがリリースされ話題になるなど、ファンの心を掴んで離さない作品です。

スラムダンク奨学金とは？

ドラフト1巡目指名で八村塁選手がワシントン・ウィザーズと契約して、日本のバスケファンの胸を熱くした2019年。バスケットボールの本場アメリカへの留学を支援しているのが、スラムダンク奨学金です。

井上雄彦先生の「この作品をここまで愛してくれた読者とバスケットボールというスポーツに、何かの形で恩返しがしたい」という志で始まったこの奨学金は、高校2年生の男子を対象に、アメリカのプレップスクールでバスケットボールを学ぶ経験とそのための資金を提供します。奨学金の原資は、『スラムダンク』の印税の一部および、有限会社アイティープランニング、株式会社 集英社の拠出金です。

2008年に第一号を送り出したこの奨学金、現在は第13回奨学生モサク オルワダミロラ 雄太 ジョセフさんが研鑽を積んでいます。彼のプレーは井上雄彦先生のTweetで見ることができます！

せりか基金

『宇宙兄弟』

2008年から『モーニング』で連載されている本作。子供の頃から宇宙が好きな南波兄弟のうち、先に宇宙飛行士の夢を叶えたのは弟。夢を諦めていた兄も宇宙飛行士を目指しはじめ…というストーリーです。アニメ・映画化され、各地で宇宙兄弟展が開かれるなど、子供も大人も宇宙の広大さと作品の奥深さへ夢中になってしまう作品です。

宇宙兄弟

せりか基金とは？

基金に冠された「せりか」は兄 六太と一緒に宇宙飛行士を目指す女性で、父親をALS（筋萎縮性側索硬化症）という難病で亡くしています。ALSは、手足はおろか呼吸機能といった運動神経系が徐々に衰えていく難病で、日本だけでも約9000人の患者がいるとされています。小さな頃から南波兄弟を宇宙に導いてきたシャロンもこの病に侵されており、せりかは国際宇宙ステーションでALS研究を行うため、宇宙飛行士を目指しています。

宇宙兄弟

2017年に創設されたせりか基金の寄付金はALS治療薬開発に使われます。年一度行われる「せりか基金賞」に選ばれた研究者に治療研究資金が提供されており（第1回は計650万円、第2回は計700万円！）、せりか基金のサイトでは、ALSの患者さんや、研究者のインタビューなどを読むことができます。（わかりやすい！）

マンガの向こうにかなう夢がある

面白いマンガを創り出すだけでもすごいのに、さらに人の夢を具体的に後押しして、育てていくなんて、マンガ家の先生たちってどこまで素晴らしいんだ！と思ってしまいます。

自分には何かできるかな？と考えると、基金に寄付するのはもちろんですが、日々マンガを楽しんでお金を落としていくのが一番無理なくハッピーだなーと思いました！

好きなマンガを応援していたらいつの間にか、誰かの夢を助けることになったら素敵ですね★