育児マンガが共感を呼ぶ背景とは。SNS作家・さざなみさんにインタビュー


二人の育児をしながら、Twitterで育児マンガを投稿される、SNS作家のさざなみさん(@3MshXcteuuT241U)。作品をご紹介させていただくとともに、制作の背景を伺い、育児マンガが共感を集める理由を探りました。

『長女の夜泣きの思い出🧸🎀』











育児の孤独を、マンガの発信が埋めてくれた

ーーインタビューをご快諾くださり、ありがとうございます。今回の投稿は18,000RT、78,000いいねと、ものすごく伸びていましたね。いつ頃から育児マンガを描かれているのでしょうか?


さざなみ:育児マンガを本格的に描き始めたのは、2019年からです。育児をしていると、大人だけでゆっくり話をできる機会が少ないんです。人と会っても子どもの面倒を見続けなければならず、どうしても雑な会話になってしまう。

けれど、育児の体験をマンガで描き、誰かに見てもらえると、外の世界とつながったような感覚が得られるんです。それで、よく育児マンガを描くようになりました。


ーーコミュニケーションとしてマンガを描かれている側面もあるんですね。作品で描く対象として、「育児」をテーマにされたのはなぜでしょうか?


さざなみ:育児マンガは、家族や友人としか共有しないような些細なやり取りばかりが描かれる一方、かなり多くの人から読まれますよね。Twitterで伸びた投稿に多くの人が「癒された」と共感している様子を見て、こんな風に読まれると楽しそうだと思ったんです。


ーーなるほど。主に実体験をもとにしたストーリーを描かれていますよね。


さざなみ:はい。時間が経っても何度も思い出す印象的な出来事をネタにしています。記憶の中で無駄な要素が削られ、エピソードとして洗練されてきたものを拾い上げていくんです。そのほうが、自分の中でも考えが整理され、客観的な視点から描けるんです。

あと、作品と自分とを切り離しておきたい気持ちがあるので、作中に登場する人物や土地の造形には嘘を織り交ぜたりしています。


ーーいつ頃から、今みたいにTwitterの投稿が伸びるようになったのでしょうか?


さざなみ:最初に1万RTを超えたのは、褒められると泣いてしまう長女のエピソードを描いたときです。全部で8ページと、自分にしては長めの作品を描き、投稿しました。



さざなみ:普段だったら細かいエピソードに分散させて描くか、文字だけでツイートして終わりなんですが、そのときはマンガの形にしてみたくなったんです。

構成も深く考えずに描いたんですが、予想をはるかに超えて読まれました。個人的なとりとめのない悩みがここまで共感されると思わず、戸惑いました。


ーー読者さんからのリプライは、どういう反響が多かったでしょうか?


さざなみ:「すごく分かる!」とリプライをいただくことが多かったです。他にも「上手く言葉にできなかった自分の悩みと同じことがマンガで描かれていて、考えが整理されました」といわれることもあり、驚きました。

Twitterでの発信だからこそ、誰もが読みやすい工夫をする

ーーその後、どのような流れで、多くの方に作品を読まれるようになっていったんでしょうか?


さざなみ:長女に関する悩みをマンガに描くと、最初に投稿が伸びたときにフォローしてくださった方たちが、どんどんRTしてくださり、すごい勢いでフォロワー数が伸びていきました。

一つの投稿が伸びるたび、同じようなコンテンツを求めている方々がまたフォローしてくださり、2,000人くらいずつフォロワー数が増えていったんです。もともと5,000人くらいだったフォロワー数が、今は16,000人ほどになりました。


ーーフォロワーさんはもともと5,000人ほどいらっしゃったんですね。育児マンガを描かれる前は、どういった投稿をされていたのでしょうか?


さざなみ:育児のノウハウを、イラストで発信していました。子どもと遊ぶアイデアや、怪我をしてしまったときの対処法など、調べたり発見したりしたことを図解するんです。



さざなみ:それだけでも「5,000人もの方々が見てくださっているのか!」と思っていたんですけど、マンガに対する反応や広がりのスピードがすごくて驚きました。


ーーもともとお仕事でもイラストを描かれていたのでしょうか?


さざなみ:まったくしていないです。幼い頃から絵やマンガは好きでしたが、少女マンガやアニメの絵を真似して、趣味で描くくらいでした。お金をもらったり、数万人に自分の絵が見られたりする機会は、これまでなかったです。


ーー普段からマンガを投稿されていて、読まれる作品とそうでない作品の違いは、何かありますか?


さざなみ:サムネイルで見たとき、読みたいと思えることでしょうか。たとえば私は投稿するとき、Twitterの本文で短いタイトルをつけます。洗練されていなくとも、『長女の夜泣きの思い出🧸🎀』のように、何が描かれるのか一目で分かるようにしています。

何について描かれているか分からないと、そもそも画像を拡大して見てもらえません。あとは、絵と文字のバランスも大切です。文字がぎっしり詰まっていると、読まれにくいと思います。


ーーたしかに、TLに流れてきたマンガのサムネイルが文字だらけだと、読む気が起きにくいかもしれません。他にも、制作で気をつけられてるポイントはありますか?


さざなみ:多くの人が「これは自分かもしれない」「これは自分の子どもかもしれない」と、同化したような感覚で作品を読めるように工夫しています。たとえば、人物の身体はしっかり描きますが、顔からはあまり個性や感情が出ないよう、かなり単純化して描いています。




ーー誰がどういう風に読むのか深く考えながら、描かれているんですね。


さざなみ:そうですね。また別の話かもしれませんが、Twitterで投稿した作品は自分の目の届かないところまで、どこまでも流れていきます。誰に読まれるか分からないからこそ、どんな立場の人が読んでも傷つかないよう、気をつけています。

あとがき

僕もTwitterなどで育児マンガをよく読みます。さざなみさんの作品を読まれた方々と同じように、読んで癒されることが多いです。また、育児の経験はないながら、その苦労が描かれた作品を読み、「大変そうだなぁ」と感じることもありました。

しかし、これだけ多くの人に読まれる背景として、さざなみさんが「育児マンガを読んでもらうことで、外の世界とつながれた」と話されていたように、育児の影響で人と会えない人たちのコミュニケーションとして機能している側面があるように思います。

それは発信する側だけでなく、受け取る側にとっても同じです。育児マンガを読まれる多くの方が、彼女と同じように、育児によって孤独を感じているのかもしれない。それをマンガが和らげるのであれば、希望が持てる話ではないでしょうか。

そんな風に、育児に取り組む方たちの背景に思いを馳せるインタビューになりました。

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