今週の「ジャンプ+」には、集英社のマンガ投稿サイト「ジャンプルーキー!」出身作家の読切作品が続々と掲載されています!
本日(2021年4月25日)の読切作品は、北野棃也(きたのりや)先生による『勇者の寓話』です!
SNSに翻弄される現代版勇者の姿を描いた物語です。
本作の魅力を、そして先生の過去作を、この記事ではご紹介していきます!
『勇者の寓話』のあらすじ
魔王の登場によって魔物が出現するようになった現代の日本。社会を救うために集結したのが、かつての勇者一行の血を引く子孫たちでした。魔法使いの子孫や格闘家の子孫などがいる中で、本作の主人公は、勇者の子孫である田中学と巫女の子孫であるタユタです。
勇者の子孫である田中は、強いものの、地味な見た目からSNSで批判されます。エゴサをして落ち込む毎日です。
一方のタユタは、巫女の子孫は嘘の設定で、実は魔王軍のスパイでした。
勇者にならざるを得なかった田中の苦労と、そんな勇者に心を動かされるタユタの気持ちの変化が、魔物との闘いの中で描かれます。
本作の魅力 〜現代のヒーロー像〜
本作を読んでいて興味深かったのは、勇者の姿です。現代版の新しいヒーロー像が描かれているように感じました。
私たちが普段イメージする勇者といえば、世界を救うために自ら立ち上がり、仲間と世間から支持され、誰もが憧れる勇者です。
本作の勇者はその真逆でした。
先祖が勇者だったから勇者をやらされ、世間からは地味だと批判され、エゴサーチして傷つき、周囲のやじに対しては「うっせえ」と反論しながら敵と闘っています。
ではなんのために、本作の勇者は闘っているのかというと、世間に嫌われてもいいから自分の役割を全うして半径数メートルにいる大事な存在を守るために闘い続けています。
自分が勇者の役割から逃げたら、世間の批判が家族や大事な人に向けられてしまう。だからこそ、田中は傷つきながら勇者であり続けています。
そんな人物をほんものの勇者と呼べるのか?と、思われるかもしれません。ただ、正義がいたるところで主張されている現代においては、これぐらい割り切って自分の役割を見出している人間ではないと、勇者であり続けられない社会になっているのだと思います。
現代社会を反映した新たなヒーロー像が本作では描かれているように感じます。まさにタイトル通り『勇者の寓話』です。
作者紹介
作者の北野棃也(きたのりや)先生は、ジャンプ+の掲載が今回で3作目です。
1作目は、2020年7月に掲載された『ゲドウツキ』です。
武器に宿った魂「ゲドウ」を退治する一族の家系に生まれた青年の闘いを描いた作品です。
2作目は、2020年11月に掲載された『神しばい』です。
生贄として山に捧げられた少年が山神と出会い、それぞれの運命を切り開いていく物語です。コメント欄に「連載してほしい!」という声が多数寄せられた作品です。
今回の『勇者の寓話』が掲載3作目です。今までの2作は日本古来の文化をベースに描かれていましたが、今回は勇者と魔王というRPG要素を取り入られていました。今までとは違った切り口で描かれているので、過去作と比べ読みしてみるとおもしろいです。
また、ジャンプルーキー!にも作品を投稿されているので、ぜひチェックしてみてください。
今週はジャンプルーキー!出身作家の読切作品weekでした!
2021年4月19日の『皆やっている』を皮切りに、今週は「ジャンプルーキー!」出身作家の読切作品が数多く掲載されました!
2021年4月19日:『皆やっている』Tamamushi先生
2021年4月21日:『子宝助成法』原作:高木無限先生 作画:中丸みつ先生
2021年4月22日:『ボーイ・ミーツ・シャーク』百世渡先生
2021年4月24日:『
イエローウォール号』櫻井りょう太先生
2021年4月25日:『勇者の寓話』北野棃也先生
アルではこれらの読切作品をレビュー記事にして応援をさせていただきました。
投稿サイト「ジャンプルーキー!」から、次々と新しい漫画家が見いだされていくシステムが完成されていることを実感する1週間でした。
この仕組みによって、過去には『ハイパーインフレーション』の住吉九先生や、『その淑女は偶像となる』の松本陽介先生が、ジャンプ+での連載を勝ち取りました。
今回ご紹介した先生の中からも、次なる話題作を生み出す先生がきっと現れるはずです。先生たちの次回作を楽しみにしていましょう!
OGP画像は、少年ジャンプ+告知ページ及び『勇者の寓話』紹介ページOGPより
https://rookie.shonenjump.com/info/entry/2021/04/19/1200https://shonenjumpplus.com/episode/3269754496288822655