今週の天気は全国的に梅雨空の日が多く、スッキリしない天気が続くとみられています。梅雨入り本番を感じさせる空模様に気持ちが沈みがちな方も多いのではないでしょうか?
ですが、雨は日によって降り方を変え、その日その時しか見られない風情があります。そんな雨の日ならではの風情や魅力を感じられたら、梅雨の時期も楽しく過ごせるかもしれません。
そこで、今回は、梅雨入り本番を迎える今だからこそ注目したい魅力的な雨のシーンが登場する作品をご紹介します。作品ごとに色を変えてしっかりと表現されている"マンガの雨"に注目してください!
『3月のライオン』
若きプロ棋士・桐山零が、厳しい将棋の世界に身を投じていく物語『3月のライオン』。プロ棋士たちの魂がぶつかり合うアツき戦い、そして零を支える周囲の仲間達との暖かな交流を描きます。
圧倒的な強さから「神」と畏怖される宗谷名人と新人戦の記念対局をすることになった零。対局後、台風に見舞われ、雨の中近くの宿泊施設に2人で向かいます。こちらは道中に零と宗谷名人が雨の中で見つめ合うシーンです。
下に向かって真っ直ぐ突き刺さるような繊細な線は、2人のもとに降り注ぐ激しい雨の様子が伝わってきます。そして、零と宗谷名人の周りだけぼんやりと発光したような演出がされています。激しい雨、高まる湿度、息苦しくなる空気...まるで水の底にいるような空間の中だけれど、零と宗谷名人の息づかいを感じさせます。
『水は海に向かって流れる』
高校進学を機に親戚の叔父さんのシェアハウスに下宿することになった直達。同居人である26歳のOL・榊さんとの出会いをきっかけに、直達は今まで知らなかった家族の秘密を知ることになります。本作は、個性的なメンバーが集うシェアハウスを舞台に、それぞれが色々な思いを抱えながら秘密と向き合っていく様子を描きます。
こちらは、出会ったばかりの直達と榊さんが一緒にご飯を食べるシーンです。同居人だからといっても高校生の直達にとって榊さんは大人の女性です。何を話したら良いかわからず、様子を伺う直達の空気感。そして2人の間に流れる静寂を遮るかのように、家の中に雨音が響き渡ります。例え会話がなくとも、BGMのように鳴り響く雨音によって不思議と心が落ち着くような安心感があります。
『あげくの果てのカノン』
崩壊した世界を舞台に既婚の先輩をひたすら想いつづける...。そんなSF×不倫の異色の恋愛を描いた『あげくの果てのカノン』。
先輩のことは諦めるべきだと頭では分かっていても煮え切らない主人公・カノン。そんな彼女は、雨が降る街の中を散歩しながら自分の恋愛について自問自答します。まるで全ての悩みを洗い流すかのように降り注ぐ雨...。雨の日だからこそじっくりと自分と向き合ってみたくなる、そんな印象的なシーンです。
『映像研には手を出すな!』
3人の女子高生が「最強の世界(映像)」を創るために奔走するクリエイター群像劇『映像研には手を出すな!』。
吹き出しにパースが付いているのは本作の特徴であり、マンガであるにも関わらずまさに"映像"を見ているかのような奥行き感が味わえるところが魅力的です。雨のシーンもこのように吹き出しが斜めになっています。
上からのアングル、そしてまだ濡れていない地面という描写で雨の降り始めを表現したこちらのシーンは、瑞々しい空気が街を覆うような雨の降り始めならではの独特な空気感を感じます。
雨の日を受け入れる
雨の日も悪くない...。そんな風情を感じさせてくれる魅力的な"マンガの雨"たち。
憂鬱な雨をじっくり観察してみることで風情だけではなく、儚い美しさに気付かされることもあることでしょう。
そして、雨の日といえばちょっぴりドキドキなイベントが起こるかもしれません。
雨の日を受け入れ、少しでも梅雨の時期を楽しく過ごせると良いですね。