ブス界へようこそ

河野大樹 / 著

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ブス界へようこその好きなところ

TwitterのTLでタイトルを見かけた、第一印象は「あー…」…でした。 ”ブス界”と言う言葉に引っかかってしまい、手を付けることも出来ない人は多いと思います。 私の場合、「題名だけで作品評価を決め付けるのも良くないか…とりあえず1話だけでも…」と、URLをクリックしました。 読んでみたらグイグイと作品世界に引き込まれ、読みながら何度も感極まって涙し。一気に最新話まで読み切りました。 第一章は1話から20話までですが、インディーズマンガらしく独特のリズム感で進行していき、物語が全く進まなかったり。 ツッコミどころは多いです。でも、ところどころにグッとくる、刺さる、この作品でしか読めないセリフが散りばめられている。 私が心を打ちぬかれたのは4話「救って、私の一番得意なこと」です。 主人公が自身の”黒歴史”を”自分の得意なこと”と解釈を変え、その”得意”に自分の生存を賭す場面。 何回読んでも、この場面では涙してしまいます。 *** ネタバレは避ける為、唐突に例え話をしますが。 宮崎駿監督の『千と千尋の神隠し』に登場する主人公・千尋は、『風の谷のナウシカ』のナウシカ、 『天空の城ラピュタ』のシータ、『となりのトトロ』のサツキ、『魔女の宅急便』のキキなどと比較すると、「美少女顔」ではありません。 特に冒頭は始終ブスっとした表情なので、外見だけで「かわいい」「魅力的」とは思いにくいキャラクターです。 しかし、油屋に迷い込み様々な経験を経る中で、千尋の表情は変化していき、魅力的な女の子に見えてくる。 千尋の外見(デザイン)は変わっていませんが、ラストシーンの千尋と、冒頭の千尋とは、視聴者が抱く印象が全く違っている筈です。 『ブス界へようこそ』も、作品を読む前と読んだ後とで、主人公への印象が変化します。 それだけではなく、自分の中にある「ルッキズム」や「ブスの定義」を打ち砕くような考え方や行動が示され、 作品を読むことで読者の現実世界をも変え得る力強さがありました。 タイトルに敢えて「ブス」という言葉を選んだ、挑戦した、作者の覚悟を感じました。 「ブス」という言葉に引っかかりを覚えたり、ルッキズム(身体的特徴や容貌による差別)に関心がある人に読んで欲しい漫画です。 長々書いて来ましたが、単純にバトルマンガとして読むとアツくなる名作だと思うので(特に第二章、21話~34話あたり) 沢山の人に読んで欲しいと思います。 基本無料で掲載(連載)してるサイト(マンガアプリ)も多く、Kindle、ニコニコ、LINEマンガに加えて、ピッコマやスキマでも読めるので、 検索してみてください。

2020年 09月 07日

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