東京 (28)
「自分で選んだんだろ?迷うなよ」(29巻より引用) そうか、『あひるの空』という物語の核はこの一文に尽きる。 もう何年も、何十周も、読み回しているけれども、ココにひっかかることはなかった。 「肯定をしてくれる」って感想はよく見かけるんだ。自分もそっち寄りだったのかもしれない。『ハミングバード』だってもう何回も聴いてる。でも、最近何か違和感があった。 そして、それとセットで思い出されるシーンがある―― 「今度も許されるのを待つのか?」(12巻より引用) 千秋が百春に投げかけた言葉だ。 肯定されたから何なのか。 誰かに肯定されたからやるのか? 最近の僕はそんな問いに行きつく。 「迷うなよ」 この一言は「肯定」ではないはずなんだ。 コータは何にハッとしたのだろう。 その孤独で勇敢な選択をしているのは"一人"ではなかったんだ。 コータにとってそう気づかせてくれる言葉だったのではないだろうか。 そして、「迷うなよ」と言ったのが高橋先輩だったからハッとできたのではないだろうか。 『あひるの空』はこんな「迷うなよ」に似たハットワードで溢れている。 彼ら、彼女らの言葉で、今日も僕は同じドアをくぐれる。
2020年 04月 27日