はじめの一歩

森川ジョージ/著

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はじめの一歩の好きなところ

「はじめの一歩 126巻の好きなところ」 現実的な目でボクサーとしての幕之内一歩を評価すると、類まれなパンチ力はあるものの、国内戦で何度もダウンを喫するなど苦戦が多く、世界レベルで通用する選手ではない、というものになると思う。 引退という展開には驚いたけれど、このまま一歩が世界で勝ち続けるというのは、ボクシングジムのオーナーも務める作者には譲れないリアリティの線があったのではないか。それ故に、一歩がトレーナーを経験することで自分のボクシングを見つめ直すという展開は今後のためにも必要なエピソードなのだと自分は理解していた。 それにしても今回の鷹村戦のエピソードは鮮烈だった。序盤左の差し合いで勝てない相手にガードを高く上げ、カウンターにも構わず大振りの左フックを見せる。そして相手が余裕を持って左を差してきた所に右クロスを合わせ、怯むとみるやすかさず見慣れた左フック、に見せかけて左ストレートor左ボディでノックアウトする。現実のスーパーチャンピオンが一瞬の駆け引きで相手を斬って捨てた試合のような、そんなリアリティを感じさせる描写だった。思えばこれまで幾多の必殺ブローの飛び交った本作で、一番世界レベルのボクシングを描写した話だったかもしれない。 鷹村の試合を見て一歩が自分のボクシングの新たな可能性に気づく、というのは、来るべき世界レベルのボクシングの攻防を描くのに打たれた布石なのだろう。そして、ライバルの千堂、マルチネス、ゴンザレスが邂逅したこの巻。長い連載期間を誇る今作の中でも大きなターニングポイントになるのかもしれない。

2019年 10月 22日

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